Project/Area Number |
23K05324
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40010:Forest science-related
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
安藤 裕萌 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (20824410)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 樹木病原菌 / 侵入病害 / ゲノム解析 / 遺伝的多様性 / スギ |
Outline of Research at the Start |
スギ赤枯病は、スギ苗木の最重要病害である。近年の再造林施業に向けたスギ苗木の需要の高まりとともに、本病の流行が懸念されている。本病は、北米から持ち込まれた侵入病害と考えられているが、遺伝的にどれほど多様な集団が侵入し、国内に分布しているのかは不明である。本研究では、国内に分布するスギ赤枯病菌のゲノム情報の解読と遺伝的多様性を明らかにし、本病原菌が国内でどのように分布拡大をしたのかを推定するとともに、遺伝的に異なる系統の生態的特性を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
スギ苗木の重要病害である赤枯病の病原菌Passalora sequoiaeは、1900年代初頭に北米から日本に持ち込まれた侵入樹木病原菌と考えられている。日本では、これまでに沖縄県を除く46都道府県で本病の被害が報告されているが、遺伝的にどれほど多様な集団が侵入し、国内に分布しているかは不明である。本年度は、日本国内における本菌の遺伝的多様性を把握するため、1950年以降に国内の21都道県で採取された保存菌株28株を取り寄せ、rDNAのITS領域およびLSU領域・translation elongation factor 1-alpha(tef-1)遺伝子・actin遺伝子・RNA polymerase II second largest subunit(rpb2)遺伝子の部分塩基配列を解読した。その結果、 rDNAのITS領域・LSU領域、tef-1遺伝子の塩基配列は各菌株間で完全に一致したものの、actin遺伝子およびrpb2遺伝子で僅かな変異があり、国内に少なくとも2系統が分布することが示された。この結果から、日本に分布する本病原菌の遺伝的多様性は非常に低いと予想され、本病原菌が侵入種である可能性が高いと考えられた。 また、これら2系統からそれぞれ1菌株を選出し、ドラフトゲノムを解読した。これらのゲノム情報を基にSSRマーカーの設計を進めていく。 さらに、国内3県4地点で採取した試料から、合計354菌株の新規の分離菌株を確立した。これらの菌株の集団遺伝解析を進めていくことで、局所的な集団内における遺伝的な多様性も把握していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当所の計画通り、複数遺伝子の塩基配列に基づいて本病源菌の国内における遺伝的多様性を把握するとともに、SSRマーカーの設計を進めるためのドラフトゲノムを解読した。加えて、局所的な集団における遺伝的多様性を把握するための新規分離菌株も確立することができた。これらの成果を基に次年度も計画に沿って遂行していけることから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度得られたドラフトゲノム情報を基に集団遺伝解析に用いるSSRマーカーの開発を行い、本年度に供試した保存菌株と新規分離菌株の集団遺伝解析を進めていく。また、新規分離菌株の収集を行っていく。
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