Project/Area Number |
23K05336
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40020:Wood science-related
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
吉延 匡弘 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 准教授 (40273924)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | 手漉き和紙 / 漉紙動作 / 紙料流動 / 地合形成 / 紙質発現 / 技術伝承 / 和紙 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,「手漉き(流し漉き)和紙」について,漉紙職人の「漉紙動作」およびそれによる「紙料流動」を解析するとともに,和紙の形態観察を行って「地合の形成挙動」を追跡し,物理特性,力学特性,水分収着特性および光学特性などの「紙質発現」の評価を行う。 評価結果から漉紙動作-紙料流動-地合形成-紙質発現を定量的に関連付けして伝承プログラムの基礎データを整理し,これを職人へフィードバックすることによって「伝承プログラム」の確立を目指すものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
我が国独自の発展を遂げた手漉き和紙は特有の紙質や風合いとともに,製造技術についても高く評価されている。一方,現在では手漉き和紙工房が減少しており,これは漉紙職人の高齢化および後継者の不足が原因であるため,後継者の育成は業界全体での課題となっている。漉紙職人が習得する技術は高度であるが,従来の技術伝承法では熟練職人の観察と模倣によることが主であり,効率的な育成が行われていない場合が多い。 本研究では,流し漉きによる手漉き和紙について,漉紙職人の「漉紙動作」およびそれによる「紙料流動」から「地合の形成挙動」を追跡し,これらと「紙質の発現機構」との関係を明らかにすることによって,「漉紙技術の効果的な伝承プログラム」を開発することを目的とする。 2023年度は,デモ撮影機材を手漉き和紙工房へ持ち込み実証予備試験を行った。これにより,一連の漉紙動作,すなわち漉き舟に入れた紙料(植物繊維,ネリおよび水)を漉き簀を敷いた漉き桁で必要量を汲み上げて簀全体に和紙の表面を形付け動作(「数子」),続いてさらに紙料液を汲み上げてから漉き桁を前後左右に揺り動かして求める厚さ・状態の湿紙を形作り動作(「調子」),目的となる厚さ・状態となったところで漉き簀の上に残った余分な紙料液を一気にふるい捨てる動作(「捨水」)に伴う紙料流動をハイスピードカメラ撮影によって追跡可能であることを確認した。このときの結果を基にして,ハイスピードカメラ,レンズ,照明等の購入機種の選定を行うとともに,手漉き和紙工房内での機材設置方法や撮影条件について漉紙職人と打ち合わせを行った。さらに,紙料の流動状態は目視レベルでは極めて微少であったが,ソフトウェアを用いてその定量的な解析が行えることを確認した。 以上の結果から,2024年度以降の研究計画が実施可能であると判断する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年8~9月に手術入院し退院後も治療を継続していたが,手術箇所の機能回復が十分に進まず研究遂行に若干の支障をきたしている。しかしながら,研究計画における予備実験は既に終えており,を2024年度以降はは実験補助員を活用するなどし,遅れを取り戻す計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度以降の研究課題推進方策は次の通りである。(1)ハイスピードカメラ撮影によって,漉紙職人の動作解析,紙料の流動状態を追跡し,動画解析を行う。(2)通常の漉紙による紙に加えて,漉紙途中で回収した紙,および任意の漉紙動作による紙(動作の大小,動作時間あるいは繰り返し数などを変えて漉いた紙)を製造し,それらの繊維の絡合,配向,積層,折れおよび曲がりなどの状態や形態を光学顕微鏡および電子顕微鏡の観察によって行う。(3)得られた紙の物理特性(坪量,密度),力学特性(引張強さ,引裂き強さ,耐折強さなど),水分収着特性(吸水量,吸水伸度,透湿度など)および光学特性(L*a*b*値,紫外線遮蔽率,反射率など)などを評価する。(4)漉紙動作-紙料流動-地合形成-紙質発現を定量的に関連付けする。(5)以上で得られる結果から漉紙動作-紙料流動-地合形成-紙質発現を定量的に関連付けし,伝承プログラムの基礎データとし,これを漉紙職人へフィードバックすることによって伝承プログラムを整備する。
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