Project/Area Number |
23K05350
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40030:Aquatic bioproduction science-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山川 卓 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10345184)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 水産資源 / レジームシフト / 資源動態 / 時系列解析 / 状態空間モデル / 時変パラメータ / ベイズ推定 / 逐次的情報更新 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,レジームシフトに関する詳細なメカニズムの解明を待つことなく,現実に入手可能な情報を手掛かりに有効な管理を行えるシステムを,設計科学(目的と価値の実現をめざす科学)の俯瞰的視点に基づいて構築する。将来予測には不確実性を伴うことを前提に,ある管理行動を投入したときの,対象とする系(資源,生態系など)の状態の変化・応答を継続的にモニターしながら,管理の内容や程度を順応的に調節していく適応的管理の手法を応用する。そのような管理システムの実現のため,ベイズ推定による客観的手続きを用いた逐次的情報更新によって個別資源の動態を迅速かつ柔軟に再現する時系列統計モデルを開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
レジームシフトに伴って長期的に大きく変動する水産資源の動態の推定は,資源管理効果を大きく左右する重要課題である。互いに異なるレジーム間では資源の生産力が変化し,それに伴って管理効果も左右される。本研究では,資源の生産力を表すパラメータの値が経年的に変化すると仮定したうえで,毎年新たなデータが取得される度に更新される時系列統計モデルとして資源の長期的動態を再現するモデルを提示する。これにより,現実の資源管理に幅広く適用できる高性能で統計的客観性の高いモデルを開発する。 令和5年度は,(1)レジームシフトに伴う資源変動を再現するバイオマス動態モデルの開発およびプログラミング,(2)レジームシフトに伴って変化する再生産関係モデルの開発およびプログラミング,を行った。(1)は年齢構成を考慮せずに資源動態を再現する余剰生産モデルの改良版,(2)は年齢構成モデル内の親世代と子世代の量的関係(再生産関係)を表すモデルの改良版である。いずれも,資源の生産力に関わるパラメータがランダムウォークによって経年的に変化する(すなわち,時変パラメータである)ことを仮定した時系列モデルとしての状態方程式と,各年の観測データの発生過程をモデル化した観測方程式,を組み合わせた状態空間モデルによって表わされている。両モデルの状態方程式はいずれもシンプルなベキ乗式を基本とし,過剰な複雑性を排して必要最小限のパラメータでデータ系列に頑健に適合しうる節約的モデルとなっている。以上のモデルとベイズ推定による逐次的情報更新を組み合わせることにより,将来予測に不確実性が伴うことを前提とした客観的手続きを通じて個別資源の動態を迅速かつ柔軟に再現するシステムの開発・運用が可能になると期待される。パラメータ値の逐次更新のためのベイズ推定用プログラムは,RStanソフトウェアを利用して構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は上述の通り,(1)レジームシフトに伴う資源変動を再現するバイオマス動態モデルの開発およびプログラミング,(2)レジームシフトに伴って変化する再生産関係モデルの開発およびプログラミング,を行った。さらに,構築したプログラムについて,いくつかの資源・系群のデータを試験的に適用して解析したところ,正常に動作することが確認できた。 以上のことから,研究はほぼ予定通りであり,おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,(1)と(2)のモデルをさらに改良し,年齢構成を考慮した包括的な資源動態モデルへと発展させていく。当該モデルは年齢構成を有するシンプルな行列モデルとして構成し,共通形式の密度依存項を仮定することにより,(1)と(2)の両モデルを包含する統一モデルとして運用することが可能となる。さらに,レジームシフトに伴う急激な生産力変化にも対応可能とするため,時変パラメータのランダムウォークモデルに通常の正規分布型ではなくコーシー分布型モデルを選択可能なように改良する。 以上のモデルを,日本周辺海域の多獲性浮魚類(マイワシ,マアジ,マサバ,カタクチイワシ,サンマ,スルメイカ)の資源量-漁獲量データに適用して推定精度を検討する。さらに,多獲性浮魚類以外の資源(https://abchan.fra.go.jp/)や世界の多様な資源(RAM Legacy Stock Assessment Database,http://ramlegacy.org/)のデータにも適用し,幅広い資源への適用可能性の検討および性能評価を行う。
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