Project/Area Number |
23K05366
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40030:Aquatic bioproduction science-related
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
寺原 猛 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (70547059)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | バイオサーファクタント / 海底堆積物 / 細菌 / 微生物 / バイオフィルム |
Outline of Research at the Start |
バイオフィルムは薬剤耐性菌との関わりが知られており、その対処が重要である。界面活性物質(サーファクタント)の利用はバイオフィルムの除去手段の一つである。また、微生物が産生するバイオサーファクタント(BS)は一般的に毒性が低く、生分解性が高いことが知られている。本研究では、海洋サンプルからのBS産生微生物の分離培養やBSの諸性状に関する検討・評価を行い、薬剤耐性菌の防止に向けてBSの活用に繋げることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
微生物の産生するバイオサーファクタント(BS)は概して生分解性が高く、毒性が低い。本研究では、海洋試料からBSを産生する海洋微生物の分離・培養を行い、BS産生株の諸性状やBSの特性を解析し、それらの活用を目的とした。 初年度は、主としてBS産生微生物の分離および同定を行った。本学の練習船「ひよどり」により、東京湾の様々な場所でエクマンバージ採泥器を用い、海底堆積物を採取した。また、岩手県大槌湾ではスミス・マッキンタイヤ採泥器を用い、海底堆積物を採取した。NaCl濃度3%としたBushnell-Haas培地に唯一の炭素源としてオリーブ油やスクアレン(深海鮫の肝油から分離精製された化合物)などを加えた培地を作製した。堆積物サンプルを希釈し、作製したこれらの培地へ塗抹し、培養した。培地上に生じたコロニーを釣菌し、純粋分離を行い、約500株を得た。得られた分離株の振とう培養を行い、Oil spreading test(培養上清を油膜表面に滴下し、クリアゾーン形成の有無やその大きさの測定)により、分離株の産生するBSの活性を調べた。その結果、約100株のBS産生を確認した。さらに、BS産生株の16S rRNA遺伝子の部分塩基配列を解読し、得られた塩基配列データを用い、Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)により、同定を試みた。その結果、BS産生株は種々の細菌(Acinetobacter属、Marinobacter属、Photobacterium属、Pseudomonas属、およびVibrio属など)であることを明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに、東京湾(荒川や多摩川の河口域など)と岩手県大槌湾(鵜住居川の河口域や大槌湾の湾口付近)にて、海底堆積物の定期的な採取を行うことができた。初年度はバイオサーファクタント(BS)産生微生物の分離・同定を主に行うこととし、研究計画に沿って、海洋微生物を念頭に置いた種々の培地(NaCl濃度3%、海洋生物由来の疎水性基質としてスクアレンの添加など)を用い、採取した堆積物サンプルからの分離・培養を実施することができた。BS産生の海洋微生物の分離に適した培地については引き続き検討することが必要であるが、Oil spreading testにより、分離株の産生するBSの活性を調べたところ、約100株のBS産生株を得ることができた。さらに、16S rRNA遺伝子の部分塩基配列データに基づき、BS産生株を同定し、種々の属の細菌であることを明らかとした。BS産生株については、諸性状の解析を引き続き行うことが必要であるが、以上のことから、概ね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿って、バイオサーファクタント(BS)を産生する海洋微生物の分離・培養および同定を続けるとともに、BS産生株の諸性状やBSの特性についても解析する予定である。初年度と同様に東京湾と岩手県大槌湾にて、海底堆積物を定期的に採取し、それらを微生物の分離源として用いるとともに、更なる探索に向け、海洋生物からもBS産生株の分離・培養を試みることを検討している。また、16S rRNA遺伝子の塩基配列に基づいた同定により、BS産生株は種々の細菌であることが示されたが、2022年度に別途分離されたBS産生株の中に近縁種が存在することも示唆されており、それらの菌株も合わせて諸性状の解析を行い、比較・評価することも検討している。
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