Project/Area Number |
23K05396
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40040:Aquatic life science-related
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
西木 一生 宮崎大学, 農学部, 助教 (70817048)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | Lactococcus garvieae |
Outline of Research at the Start |
本申請研究ではブリ類およびシマアジ養殖場で新たに発生した新興レンサ球菌症の原因細菌について、比較ゲノム解析、分類学的再検討、抗原解析を行い、疫学的な知見を蓄積する。また、感染試験による養殖魚への病原性の評価を行う。上記の研究結果から総合的に判断してワクチン候補株を選出し、効力試験を行うことで、本疾病を防除可能なワクチンの開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
ブリ類養殖は日本の海面養殖業生産量の約半数を占める重要な産業である。Lactococcus garvieae (LG) によるα溶血性レンサ球菌症はブリ類養殖事業を持続不可能にするほどの被害をもたらしたが、ワクチンが開発されて以来その被害は激減した。現在ではブリ類養殖産業においてワクチンによる予防手段は不可欠となった。しかしながら、2021年に市販ワクチンを接種した養殖カンパチとシマアジから従来のLGとは異なる血清型 (抗原性) をもつ新興LG (LGIII) 感染症が確認された。LGIIIはカンパチに対して非常に強い毒性があり、市販の混合ワクチンでは感染予防効果がなく、一部の抗菌薬へ耐性化していた。本症は最初の発生が確認されてからわずか1年余りで全国のブリ類養殖場に広がりを見せており、大きな問題となっている。本研究では、この新型LGの養殖場における感染拡大の状況を把握するとともに細菌学的性状や遺伝学的な特徴を詳しく調査し、疫学的な知見を深めることを目的としている。本年度はまず、九州、四国および中部地方の養殖魚から分離されたLGIIIを収集した。収集したLGIIIからDNAを抽出し、ゲノムショットガンシークエンスによりゲノム配列を取得した。一部の菌株についてはロングリードシークエンスにより完全長ゲノム配列を取得した。各株のゲノム配列を比較したところ、LGIIIは遺伝学的に非常に均一な細菌集団であることが示唆された。また、系統解析の結果から、LGIIIは従来のLGIとは遺伝学的に異なる集団であることを明らかにした。薬剤感受性試験の結果、LGIIIは発生当初からリンコマイシンに耐性であった。養殖場においてよく使用されているエリスロマイシンに耐性を示す株は確認されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において、本年度は菌株を収集し、それらの株に対してゲノム配列の取得、ゲノム解析および薬剤感受性調査を行う予定であったが、そのいずれも達成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、引き続き各県の協力のもとで菌株を収集しつつ薬剤感受性試験などの疫学調査を継続する。また、収集した菌株の抗原性解析に着手し、株間における抗原性の違いについて検討していく。抗原解析には既に作製したウサギ抗血清による凝集素価測定や凝集試験を用いる。抗原性の異なる株を見出した場合はゲノム解析を実施し、どのような遺伝子が抗原性に影響を与えるのか調査する。可能であれば、遺伝子破壊株の作出を行い、当該遺伝子の機能解析も実施する。さらに、最終年度に予定しているワクチン試験に備えて感染試験の条件検討を行うとともに、ワクチン株および攻撃株を抗原性とゲノム情報から選別する。
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