Project/Area Number |
23K05427
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41020:Rural sociology and agricultural structure-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久野 秀二 京都大学, 経済学研究科, 教授 (10271628)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 総合的地域食政策 / ガバナンスの政治過程 / ベルギー / オランダ / イタリア / 食政策協議会(フードポリシー・カウンシル) / 都市レジーム論 / 政策言説分析 / ヨーロッパ諸都市 |
Outline of Research at the Start |
近年、持続可能で公正な社会への転換に向けて、食を切り口に/食の多面的機能を根拠に、健康と環境と社会のあり方をガバナンスする、都市圏を中心とする総合的地域食政策に関心が集まっている。本研究は、欧州諸都市で形成・展開する地域食政策を政治過程と捉え、オランダ・ベルギー・イタリア・デンマーク・英国等の諸都市の先進事例を対象に、諸主体の行動と当該地域の政治経済的構造や社会文化的背景との相互規定性に注目しながら、地域食政策ガバナンスの動態を詳細に分析し、ガバナンス上の課題を国際比較的に論述する。その成果は、周回遅れの日本の諸都市における地域食政策の構築に向けて重要な示唆となるだろう。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、欧州諸都市で形成・展開する総合的地域食政策を政治過程と捉え、諸主体と当該地域の政治経済的構造や社会文化的背景との相互規定性に注目しながら、その形成と展開の動態を批判的に分析し、国際比較的に論述することを目的としている。とくに、これまで国内では見過ごされてきた、オランダやベルギー、イタリア、デンマーク等の先進事例を反映した国際比較の視点を確立することを企図している。 2023年度は、総合的地域食政策に関連した既存研究の渉猟に努めるとともに、①本研究課題の開始に先立って2023年3月にイタリアで実施した、ミラノ市食政策局の担当者へのインタビューと、ローマ市で都市食政策の策定と食政策協議会の設立に関わってきた研究者グループおよび食政策協議会に参加する食農関係者との意見交換会ならびに食政策担当副市長へのインタビューを踏まえた論文を作成・発表したほか、②2023年9月には、ベルギー・ヘント市で新旧の食政策担当者へのインタビューを実施し、同市の都市食政策の実施状況および食政策協議会の運営状況を把握することができた。 ①については、行政主導(トップダウン型)のミラノ市と、研究者・市民主導(ボトムアップ型)のローマ市との間で、地域食政策に対する考え方とアプローチに明確な違いが見られた。両都市の行政機構や政治文化などの違いが反映していると思われる。ローマ市では食政策協議会が正式に発足し、主導権が行政に移ることになったが、これまで中心的役割を果たしてきた研究者・市民グループとの関係性に関心が集まっている。②については、ミラノ市と同様に、ヘント市では行政が強い主導権を発揮してきたが、その中心となってきた食政策担当副市長が退任したり、あるいは市長の交代や市議会の再編で市の政策が変化したりしても、これまでの食政策を発展的に継続できるような環境づくりが行われてきたことが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りにベルギー(ヘント市)で調査を実施できたほか、当初は予定していなかったイタリア(ローマ市、ミラノ市)での調査を前年度末に実施する機会を得たため、その成果を2023年度に整理し、論文として発表することができた。その一方で、2022年度で終了する予定だった研究課題「オランダにおける地域食農政策の展開と食料市民の形成に関する研究」を、コロナ禍の影響で2023年度まで期間延長した関係で、ベルギーの事例とともに、国際都市間比較のための分析枠組みを構築するための素材と位置づけていたオランダの事例を引き続き調査・整理する必要があったため(その成果として、エーデ市の食政策について論文を発表)、2023年度の課題だった分析枠組みの構築については、2024年度に引き続き作業を進める予定にしている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、オランダとベルギーの諸都市で実施してきた調査および文献研究を踏まえて、総合的地域食政策と都市食政策ガバナンスの多様な展開過程を横断的に比較するための分析枠組みの構築を進めるとともに、2025年度にかけて、デンマーク・コペンハーゲン市(もしくはノルウェー・オスロ市)および英国・ブリストル市で調査を実施する。以上を踏まえ、各都市の政策過程を国際(都市間)比較の視点から詳細に分析し、国内外の学会で発表する。その最終的な目的は、日本でも紹介されてきた北米(例えばカナダ・トロント市)の事例とは異なる多様な総合的地域食政策および都市食政策ガバナンス、その構成要素であり実施の成果でもある多様な市民的食農イニシアチブの経験から、日本の研究者・食農市民と都市自治体が何を学べるかについて示唆を与えることである。そのための情報の発信と議論の喚起にも務めていきたい。
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