日本における種子産業の歴史的展開に関する実証的研究
Project/Area Number |
23K05429
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41020:Rural sociology and agricultural structure-related
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
阿部 希望 宮城大学, 食産業学群, 助教 (40824834)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2027: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 近現代日本 / 農業史 / 在来産業 / 技術史 / 野菜種子産業 / 稲種産業 / 農産物種子 / 歴史資料 / 種子産業 / 経済史 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、日本農業の近代化を支えてきた種子産業に着目し、近世から今日に至るまでの農作物種子供給の構造と展開を解明することを目的とする。 課題1では、これまで研究を進めてきた近代の野菜種子産業の検討を踏まえ、第二次世界大戦以降の野菜種子産業を中心的に牽引してきた種苗会社を対象とした聞き取り調査と史資料の分析を実施する。 課題2では、野菜種子産業の近現代史の比較研究として、近世より稲種生産が始まり、現在、全国の稲種受託生産量の約6割を占める富山県砺波市を対象に、史資料所在調査及び史資料の分析を実施する。総括として、課題1と課題2の実証研究を比較検討し、日本における種子産業の近代化の特質を考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本農業の近代化を支えてきた「種子産業」に着目し、近世から現代に至るまでの農作物種子供給の構造と展開を解明することを目的としている。上記目的を検証するため、令和5年度は下記の課題に取り組んだ。 課題1として設定した「野菜種子産業」の現代史の解明については、日本種苗協会等の協力を得て、史資料所在調査及び聞き取り調査の実施体制を整えつつある。また、第二次世界大戦以降の分析を進める基礎作業として、当時の社会経済状況を把握するための文献資料収集も開始した。今後は史資料の分析と聞き取り調査を進めていく予定である。 課題2として設定した「稲種産業」の近現代史の解明については、富山県砺波市を対象に史資料所在調査及び史資料の分析を実施した。この成果を2024年日本農業史学会研究報告会にて「近代における稲種産業の展開と構造-富山県砺波市を事例に-」(2024年3月29日)として報告した。加えて、富山県主要農作物種子協会への調査にも着手し、稲種産業の現代史の解明に繋がる新たな史料群を発見した。現在は、近代の稲種産業の展開について投稿論文を執筆中であり、今後は近代から現代にかけての通時的分析を進めていく予定である。 さらに、比較研究の可能性がある事例として「種苗交換会」、「種子生産普及振興」、「採種組合」などのキーワードに沿って史資料を収集しているところである。また、本研究課題を深化させるために、阿部希望(2024)「食と農の根源「種子づくり」の過去と未来をつなぐ」(湯澤規子・伊丹一浩・藤原辰史編『食と農の人文学』ミネルヴァ書房)103-114頁を刊行した。この成果は、地域史料の保存と利用への社会的関心を高める役割を果たした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初設定した稲種産業に関わる富山県砺波市における史料収集と撮影、分析を順調に進めることができている。具体的には、①「倉田英毅家文書」、②「寺井武夫文書」、③「今井潔家文書」、④「松田興一家文書」などの地方文書に加え、⑤JAとなみ野稲種センター所蔵史料群、⑥富山県立公文書館所蔵史料群、⑦富山県立図書館所蔵史料群、⑧砺波郷土資料館所蔵史料群を閲覧・撮影・分析してきた。 上記の調査分析結果は、2024年日本農業史学会研究報告会にて「近代における稲種産業の展開と構造-富山県砺波市を事例に-」(2024年3月29日)として報告し、議論を深めることができた。この成果を次年度には投稿論文にまとめるとともに、政治経済学・経済史学会2024年秋季学術大会における共通論題で発表を発展させる予定である。 また、近代から現代への稲種産業の通時的分析を行うため、富山県主要農作物種子協会での史資料所在調査も実施し、新たな史料群の撮影に着手しているところである。 このような調査・分析の状況を踏まえると、本研究課題はおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
①論文としての成果発表:近代の稲種産業の展開について「産地形成と産業組織」、「供給構造と制度的対応」をテーマとした論文を投稿する。 ②共通論題での報告と議論:「供給構造と制度的対応」をテーマとする研究成果については、政治経済学・経済史学会2024年秋季学術大会(2024年11月、北海道大学)の共通論題にて報告する予定である。 ③稲種産業に関する史資料の収集:稲種産業の近現代史の通時的分析を進めるために、引き続き、史資料所在調査を実施する。また、富山県主要農作物種子協会などの稲種産業の現代史に関わる史資料の目録化と撮影を行う。 ④野菜種子産業に関する史料収集と聞き取り調査:これまで研究を進めてきた近代の野菜種子産業の検討を踏まえ、第二次世界大戦以降の野菜種子産業を中心的に牽引してきた種苗会社を対象とした聞き取り調査と史資料所在調査に着手する。 ⑤事例研究の収集と分析:それぞれの事例研究を進めつつ、全体として農作物種子供給の構造と展開についての考察ができるよう、比較研究の視点を重視する。広く事例研究を収集しつつ、事例を相対的に意義づけるための基礎作業を蓄積する。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)