「生きもの循環」から見る日本農法の実証的・理論的研究
Project/Area Number |
23K05436
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41020:Rural sociology and agricultural structure-related
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
徳永 光俊 大阪経済大学, 経済学部, 名誉教授 (30180136)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 生きもの循環 / 農術の内的発達法則 / 庄内農法 / 大和農法との比較研究 / 雑穀、畑作、有畜との統合 / 在地農法 / 内的発達法則 / 大和農法と庄内農法 / 天工農法 |
Outline of Research at the Start |
日本列島農法史の在地農法として6つの地域類型を考えているが、本研究ではこれまで研究してきた西南暖地・水田多毛作(大和農法)と、新たに実証研究する東北寒地・水田稲単作(庄内農法)との比較研究を行う。とくに水田中心から畑作の位置づけ、農家副業などを重視する。 天然農法⇒人工農法⇒天工農法という歴史的展開において、「生きもの循環」がどのように変容・歪曲していくか、作付方式の転換が何故、どのように起きたのかを明らかにする。 在地農法の内的発達法則である「いや地」を軸にして、生態―生活―生産―生存―生命を循環させる在地に根ざす伝統的な日本農法の「生命観」を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究費のかなりの金額を使って、庄内農法に関する史資料、日本農法に関する文献の蒐集に努めた。これらの史資料や文献を読むことによって、これまでの水田中心の見方から、雑穀、畑作や有畜も視野に入れることが出来た。 山形県庄内地域の調査に関しては、2023年6月24~28日に行った。鶴岡市郷土資料館で史料調査を行い、宝谷カブ・だだちゃ豆の産地を調査した。仙台の東北大学へ行き、庄内農村研究の大先達である細谷昂名誉教授より指導を受けた。庄内農村の史料を複写した。2024年3月28~30日に東北大学で開催された日本農業史学会、日本農業経済学会に参加した。最近の研究状況を知るとともに、三須田善暢岩手県立盛岡短期大学教授と庄内農村研究について、鈴木淳世東北大学東北アジアセンター助教と東北農村の畑作について、小川真如宇都宮大学農学部助教と日本農業の現状研究について、意見交換した。これらにより、庄内や東北の農法・農業に関して、より具体的なイメージを描けることとなった。 私が主宰する関西農業史研究会において、「庄内地域の水田の多数回中耕除草」、「庄内地域の在来作物の歴史と現状」などの実証的な研究報告、「有機農業の経済学的とらえ方」、「アフリカ農業から日本農業を見直す」、「精密(スマート)農業の世界的状況」などの理論的な研究報告を受け意見交換した。これらにより日本農法論の実証的・理論的な検討を深めることが出来た。 同会において、私は2023年8月19日に、「生きもの循環論にもとづく農術の内的発達法則による動態的農法論の試み」を報告し、意見交換をした。同内容に関して、「『庄内農法』研究事始―水稲反収の推移をめぐって―」(『歴史からみた経済と社会 日本経済史研究所開所90周年記念論文集』695~746頁 2023 思文閣出版)として刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
庄内農法の史資料に関しては、地元である鶴岡市の古書店より購入出来ている。日本農業に関する文献に関しては、「日本の古書店」などより情報を得て、購入出来ている。文献複写は、大阪経済大学と京都大学において問題なく行えている。 庄内への農村調査は1回のみであったが、地元の農家や研究者と交流できた。東北大学を訪問し、また学会参加することで、多くの研究者と交流でき、大いに刺激を受けた。 私が主宰する関西農業史研究会は、毎月研究報告を行っているが、日本農法の実証的・理論的研究の報告を聞くことにより、研究を深め広げていくことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
文献収集については、これまで十分検討してこなかった雑穀、畑作、畜産に関するものにさらに重点を置く。水田・稲作との統合的な農法の見方を構築していく。 農村調査では、庄内地域では温海町のカブの焼畑、岩手県軽米町の雑穀などの畑作、広島県三次市の和牛生産地域、北広島町の花田植などを調査する。 日本農法論のキーワードとして、三澤勝衛の「風土産業論」を考えていく。そのために三澤関係の文献収集に努めるとともに、長野県上諏訪の諏訪青陵高校にある「三澤記念文庫」を訪ねて現地調査をする。 これまでの研究に関しては、2024年度中に農法論と農学論に関して、2冊の本にまとめて出版を準備中である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)