Project/Area Number |
23K05451
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41030:Rural environmental engineering and planning-related
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
皆川 明子 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (70603968)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
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Keywords | 農業排水路 / 維持管理 / 土砂 / 魚類 / 水制工 / 農業水路 |
Outline of Research at the Start |
農業水路において、土地改良事業実施後にも水生生物の保全を図るために環境配慮施設の導入が行われてきた。一方で、農地集積の進展と農家数の減少・高齢化に伴い、水利施設全体に対して維持管理の担い手不足が深刻化し、環境配慮施設の機能維持が困難となっている。 そこで本研究は、農業水路に施工される環境配慮施設(魚溜工、ビオトープ)における維持管理の負担軽減を目指し、施設に堆積した土砂が水によって洗堀されやくなる施設形状を解明することを目的とする。そのために、集水域の地質・地形勾配の異なる2地域を対象として、①現地観測、②水理模型実験、③河床変動を考慮した水理解析を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
低平地に立地する三重県松阪市朝見上地区および中山間地に立地する山口県柳井市・田布施町の農業排水路に施工された魚溜工・ビオトープを対象として、堆積土砂の洗堀を促進させられる施設構造の検討を行った。柳井市の現場では、5月に施設内の土砂を全て浚渫した上で9月、12月に測量を実施して施設内の土砂動態を把握した。 シミュレーションソフトiRICの河床変動計算ソルバーNays2DHを用い、施設構造を変化させた場合の土砂動態の違いも検討した。松阪市の魚溜工では3パターン、柳井市の魚溜工では5パターン、水制工の配置を変え、両現場から採取した底質を用いて粒度試験を行い、得られた粒径加積曲線を河床粒径として与え、現場で観測した最大流量を流した。 松阪市の魚溜工では、断面拡幅部の流路を塞ぐように設置されたブロックが洗堀を阻害していると考えられたため、上流から流入する流路を塞がない位置にブロックを移動させた結果、洗堀が生じるシミュレーション結果が得られた。特に上流に30度傾けたバーブ工状の配置で最も洗堀量が大きくなった。 柳井市の魚溜工では、2023年度に流量の変動と上流からの土砂供給を考慮した計算を行う時間的余裕がなく、土砂が深み部分に満杯になった状態に対して観測された最大流量を1時間流すという条件での計算となったため、現地での測量から得られた降雨後の地形高と解析結果が一致しなかった。しかし、水制工の高さよりも長さが土砂の移動に対して効果的であることが示唆される結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
柳井市の魚溜工についてiRIC Nays2DHを用いて施設構造を複数パターン検討し、南周防地区の国営事業で最後の工区の施設計画に反映させられる知見を提供することができた。また、松阪市の魚溜工についても、複数の施設構造で土砂動態の違いをシミュレーションして学会発表するとともに、事業を実施した三重県に情報提供することができた。 一方で、松阪市の魚溜工については施設構造の複雑さから、柳井市の魚溜工および田布施町のビオトープについては時間的制約から、降雨時の流量の変化及び上流からの土砂供給を考慮した計算を実現できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現場が遠いこともあり、降雨時の調査が十分に実施できておらず、流入土砂量や流況の把握が十分に行えていないことから、次年度に降雨時を狙った調査を計画したい。また、濁度の測定を本格的に開始し、土砂動態を把握することに努める。 南周防地区については、柳井市の魚溜工では今年度の検討の結果、最も洗堀を増大させられると判断された水制工の形状を実際に再現して土砂動態を観察する予定である。田布施町のビオトープに関しては施設構造の複雑さから解析がうまく行っていないため、測量結果を適切にシミュレーション上に再現するところから改めて試みる予定である。 松阪市の魚溜工については、上流からの土砂供給を行っても計算が破綻しない条件を探るとともに、シミュレーションでは難しい部分については水理模型実験を組み合わせるなどして最も土砂の洗堀を促すことのできる施設構造を検討する予定である。
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