Project/Area Number |
23K05462
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41040:Agricultural environmental engineering and agricultural information engineering-related
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
吉田 龍平 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (70701308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 照久 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (30374896)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 気候変動 / 高温不稔 / 低温ストレス / 冷害 / 水稲生育 / 高温障害 |
Outline of Research at the Start |
近年,東北のコメの作況指数は100を上回っており,深刻な冷害は2003年を最後に過去20 年発生していない.一方で九州では2000年以降も100を下回る年が継続して発生している.一等米比率の違いはより顕著で,東北では品質が向上しているものの九州では同様の傾向は見られない.今後の東北で冷害が発生せず,九州では高温障害が増加する場合,気温の上昇に適応した水稲栽培を実施する必要がある.しかし耐高温品種は低温・低日照に対して脆弱であり,低温の発生はより深刻なリスクとなりうる.本研究は地球温暖化の進行に伴う冷害と高温障害の変化を定量化し,安定したコメ生産を達成するための方法を明らかにする.
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Outline of Annual Research Achievements |
気候変動が著しい場合と緩和した場合の2つの温暖化シナリオを用いて,東北と九州のコメ生産額の将来見通しを算出した.産業革命以前と比較して世界の平均気温が4℃昇温する場合,いずれの地域においても品質の悪化によって生産額が低下し,九州では収量の減少も寄与した.昇温が2℃に抑えられる場合には,東北では二酸化炭素の施肥効果と低温ストレスの緩和で生産額が増加するものの,九州では品質の低下によって生産額は低下した.生産額が低下した地域は毎年の生産額が不安定化する地域と対応した.移植日の調整による生産額低下への寄与を算出すると,移植日の晩期化による品質の向上と比較して早期化による収量の増加が生産額の向上・維持に対する効果が大きかった. 東北ではヤマセによる低温が水稲生育を阻害する要因である.ヤマセには定量的な定義がなく,そのため複数の指標が提案されている.さらに、地点データである気象官署の観測値に基づいたものがほとんどである.そこで,異なる指標を用いた場合であっても抽出されるヤマセの気圧パターンが同様であることに着目し,全球大気再解析データに基づいた新たな指標の構築を行った.作成した指標は既存の指標と同様にオホーツク海の高気圧偏差と日本の南海上の低気圧偏差を示した.また,この指標が表現する気温場を解析した結果,北日本の脊梁山脈を境にした気温の違いをよく再現することがわかった.ヤマセの指標に必要なデータを,地点データから格子データへの置き換えが可能であることが明らかになった.つまり,ヤマセの変動を全球大気再解析データを用いて簡潔に表現することが可能となり,解像度の低い気候予測データから,将来のヤマセの出現頻度や強度を把握することができるようになった.大規模アンサンブル気候予測データベース(d4PDF)・結合モデル相互比較プロジェクト(CMIP6)の気候モデルデータを整備し、解析を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
気候変動による水稲生育とコメ生産額への影響を論文としてとりまとめ,査読者からの指摘に対する修正を行っている.格子データに基づく新たなヤマセの指標の構築についても,大気再解析データの解析をとりまとめることができた.現在は,大規模アンサンブル気候予測データベース・結合モデル相互比較プロジェクトの気候モデルデータの整理・解析を進めており,来年度中に結果を取りまとめて学術雑誌に投稿することを目指している.この結果は当初の研究計画に沿ったものであり,研究は概ね順調に進んでいる.また,今後の研究を進める上での問題は生じていない.
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Strategy for Future Research Activity |
生産額の評価に関して,移植日の早期化による収量の確保が水利権の観点からどの程度現実的であるのか定量的な評価を行う.ヤマセの指標はこれまで行ってきた大規模アンサンブル気候予測データベース(d4PDF)に基づく極端現象の評価に加え,結合モデル相互比較プロジェクト(CMIP6)の気候モデル群を用いたヤマセの将来変化と予測の不確実性の評価に取り組む.着目する点は,ヤマセの発生頻度・低温域の将来変化・将来気候の気温に対する低温偏差の程度・品種の生育に関わる気温のしきい値の変化である.これらの結果を取りまとめて,学術雑誌に投稿する.
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