Project/Area Number |
23K05467
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41040:Agricultural environmental engineering and agricultural information engineering-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉田 弦 神戸大学, 農学研究科, 助教 (60729789)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 嫌気性MBR / 直接的種間電子伝達 / 液体畜産バイオマス / メタン発酵 / 微細藻類 / 膜分離 / 畜産バイオマス |
Outline of Research at the Start |
本研究では、酪農業でのメタン発酵導入の課題となっている、発酵設備の巨大さと消化液利用を解決するために、直接的種間電子伝達を援用した嫌気性MBRプロセスを構築する。直接的種間電子伝達に伴うメタン生成効率の促進と、膜分離による菌体や導電性物質の固定化により、従来の発酵速度を大幅に短縮するプロセスを確立する。また藻類培養や施設栽培に直接利用できるような高品質な膜ろ過消化液を生成する。本研究で構築を目指すプロセスにより、バイオガス化に要する期間が大幅に短縮されることで発酵槽が小型化し、導入コストの低下が期待できる。また、消化液の性状や外観、安全性が向上することで利用可能性が拡大する。
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Outline of Annual Research Achievements |
酪農業でのメタン発酵導入の課題となっている、発酵設備の巨大さと消化液利用を解決するために、直接的種間電子伝達を援用した嫌気性MBRプロセスの構築を目的に研究を実施した。直接的種間電子伝達に伴うメタン生成効率の促進と、膜分離による菌体や導電性物質の固定化を組み合わせることで、発酵速度の向上と消化液性状の改質を目指した。 嫌気性MBRを想定した高有機物負荷での連続メタン発酵試験において、バイオ炭や活性炭といった導電性材料の添加により、メタン収率が約27-45%向上した。またメタン発酵過程における中間生成物であるVFAの蓄積量は、導電性材料の添加により減少した。槽内微生物相の解析により、材料添加によりVFAを分解して酢酸や水素などを生成する細菌の割合が増加することが観察された。これらのことからバイオス炭などの導電性材料が発酵槽内の微生物間の電子伝達に作用することで、VFAの効率的な消費とそれに伴うメタン変換を促進する可能性を示した。 嫌気性MBRから回収した消化液を用いた微細藻類培養においては、海産性および淡水性のクロレラを対象とした試験を実施した。いずれの微細藻類も2-10倍程度に希釈された消化液中で市販培地と同等に増殖することが観察された。このことから嫌気性MBR消化液の藻類培養への汎用的な利用可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
嫌気性MBRと直接電子伝達を組み合わせたプロセスを構築するために、まずは導電性材料の効果を確認するためのバッチ試験と、嫌気性MBRを想定した連続試験を実施した。活性炭、バイオ炭、マグネタイトを添加して実施したバッチ試験において、特に活性炭とバイオ炭添加区でVFA濃度の顕著な低下が観察された。また液体酪農バイオマスなどを基質として高有機物負荷で運転した連続試験において、活性炭やバイオ炭の添加によりVFA蓄積量の低減とメタン収率の向上が観察された。また槽内微生物相の解析により、材料添加によりVFAを分解して酢酸や水素、二酸化炭素を生成する細菌の割合が増加することが観察された。高有機物負荷で活性炭 およびバイオ炭の添加により、菌叢が変化し、VFAの蓄積が抑制された可能性が示された。これらのことから酪農バイオマスを対象とした嫌気性MBRにおいて至適な導電性物質の種類などを把握した。また上記知見を基にラボスケールの浸漬平膜型嫌気性MBRを試作して、予備運転を実施した。 また、嫌気性MBRを試作し連続運転を実施した。回収した消化液を用いて微細藻類Nannochloropsis oculateおよびChlorella.sorokinianaの培養を行ったところ、いずれの藻類も10倍程度に希釈した消化液中で最大の増殖速度を示し、市販培地と同等の性能であった。このことから嫌気性MBR消化液は希釈のみで藻類培養に直接利用できる可能性が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は嫌気性MBRにバイオ炭などの材料を添加して連続運転を実施する。、HRTを短縮しながら運転を実施する。メタン収率などの処理性能を評価して、従来メタン発酵と同等の性能をHRT5日以内で達成しうる運転条件を明示する。また膜の目詰まり(ファウリング)に導電性材料添加が及ぼす影響を明らかにする。槽内の固形物濃度や微生物相などとファウリングの発生の関係を明らかにする。 また、嫌気性MBRの運転条件と微細藻類の成長特性の関係を明らかにする。種々の運転条件より得られた消化液を用いして培養試験を実施し、その性能を嫌気性MBRにフィードバッバックする。さらに、消化液の藻類利用を通して、トータルプロセスの炭素、窒素、リンなどの物質収支を明らかにする。
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