Project/Area Number |
23K05495
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41050:Environmental agriculture-related
|
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
小川 拓水 大阪公立大学, 大学院農学研究科, 講師 (00580367)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 大策 大阪公立大学, 大学院農学研究科, 教授 (10305659)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
|
Keywords | 微細藻類 / ユーグレナ / 嫌気呼吸 / 還元的TCA回路 / エネルギー代謝 / ワックスエステル / 呼吸鎖電子伝達系 / 光合成電子伝達系 / 葉緑体代謝 / 環境ストレス応答 |
Outline of Research at the Start |
微細藻類ユーグレナは、嫌気条件下において特殊なエネルギー代謝系を起動し、その副産物としてワックスエステルを生合成する。ユーグレナのワックスエステルはバイオディーゼル製造の原料として注目されているが、社会実装するためには生産コスト削減が課題となっている。本研究はユーグレナのワックスエステル生産量を最大化する方法を確立することを目的として計画した。そのために、ユーグレナに対してワックスエステル蓄積増強作用を示す化合物群の作用標的および作用機構を分子レベルで明らかにし、ユーグレナの嫌気条件下での炭素代謝に関する新知見獲得を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
微細藻類ユーグレナは、嫌気条件下においては、貯蔵多糖の加水分解により生じたグルコースをミトコンドリア内の還元的 TCA 回路を経由して代謝することでエネルギー産生を維持し、その最終産物としてワックスエステル (WE) を合成する。ユーグレナの WE は、バイオディーゼル製造の原料として注目されているが、製造コスト削減が課題となっている。我々は、市販の芳香族化合物ライブラリをスクリーニングし、ユーグレナの WE 蓄積量を 2 倍以上に高める作用を示す 9 つの化合物 (以下、活性化合物と呼称する) を発見した。本研究では、これらの活性化合物の作用機構を解析し、嫌気条件下におけるユーグレナの炭素代謝過程に関する新知見を獲得することを目的とした。 活性化合物の構造的特徴及び文献情報から、活性化合物は内生キノン類が関与する酸化還元反応に影響を及ぼす可能性が考えられた。この可能性を検証するために、細胞内エネルギー産生において主要な役割を担うミトコンドリアと葉緑体の電子伝達活性に対する活性化合物の作用を調べた。実験には3種類の活性化合物、1,8-dihydroxy-10H-anthracen-9-one (OATN003)、1,4-diaminoant hracene-9,10-dione (OATQ008)、2-methyl naphthalene-1,4-dione (ONAQ008) を用いた。呼吸鎖電子伝達活性はOATN003 処理で対照区の 1.5 倍に増加したが、OATQ008 又は ONAQ008 処理では変化しなかった。光合成電子伝達活性は、OATN003、OATQ008、又は ONAQ008 処理により処理濃度依存的に低下した。これらの結果より、供試した活性化合物はいずれもユーグレナの光合成電子伝達系に作用し、その電子伝達活性を抑制すると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和 5 年度の研究により、実験に供試した 3 つの活性化合物は、いずれもユーグレナの光合成電子伝達系に作用し、その電子伝達活性を抑制する可能性を示すことができた。この抑制作用とWE蓄積増強との関係を調査するために、種々の光合成阻害型除草剤をユーグレナ Z 株に処理し、WE 蓄積増強作用の有無を評価したところ、光化学系 II 複合体 (PSII) の還元側及びシトクロム b6f 複合体 (cytb6f) の酸化側での電子伝達反応をそれぞれ阻害する N′-(3,4-dichlorophenyl)-N,N-dimethylurea (DCMU) 及び 2,5-dibromo-3-isopropyl-6-methyl-1,4-benzoquinone (DBMIB) 処理により、処理濃度依存的に最大で対照区の 1.5 倍程度まで WE 蓄積量が増加した。以上より、活性化合物処理によって引き起こされる WE 生合成の亢進は、光合成電子伝達の抑制と密接に関連している可能性が示唆された。令和 5 年度の研究で得られた知見は、令和 6 年度以降に実施予定のメタボローム解析の結果を解釈する上で、重要な知見となる。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和 6 年度は、活性化合物処理によって誘導されるユーグレナの代謝変化を明らかにするために、CE-MS によるメタボローム解析を行う。本解析は、9 つの活性化合物のうち最も強い WE 蓄積増強作用を示す OATQ008 を対象とする。得られたメタボローム情報を解析し、OATQ008 処理により活性化または抑制される代謝経路を明らかにする。 また、活性化合物の作用標的となるタンパク質を同定するために、薬物アフィニティ応答性標的安定性 (DARTS) 法により活性化合物に結合するタンパク質を網羅的に探索する。ユーグレナ Z 株からタンパク質を抽出し、そこに活性化合物を添加して一定時間保温した後、プロテアーゼ処理を行う。SDS-PAGE により試料中のタンパク質を分離し、活性化合物存在下でプロテアーゼ抵抗性が増加するタンパク質バンドを探索する。目的のタンパク質バンドが得られた場合、ゲルからバンドを切り出し、LC-MS/MS 解析によりアミノ酸配列を決定する。得られたアミノ酸配列情報を基に、各種データベース検索を行い、活性化合物の結合タンパク質を同定する。
|