Project/Area Number |
23K05500
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41050:Environmental agriculture-related
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
甲元 一也 甲南大学, フロンティアサイエンス学部, 教授 (60388759)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | ベタイン / 抽出 / 食品廃棄物 |
Outline of Research at the Start |
食品廃棄物、特に植物系廃棄物に含まれる有用成分の抽出技術の開発が世界的に検討されている。イオン液体や深共晶溶媒のような新しい抽出溶媒が報告される中、申請者は最近、人体に無害なベタイン誘導体を含む水溶液が疎水性物質の水への飽和溶解度を最大数百万倍に上昇させることを発見した。本研究では、このベタイン誘導体水溶液を用い、様々な食品廃棄物からの有用成分の抽出実験と、溶液物性解析やコンピュータシミュレーションを用いたベタイン誘導体の水和構造及び疎水性物質の溶解機構の解明を並行して行い、イオン液体や深共晶溶媒に代わる新しい抽出溶媒としての可能性について検討を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、フードロスの解決に向け、食品廃棄物から環境にやさしい水系溶媒、具体的には申請者らが開発したベタイン誘導体水溶液を用いて有効成分を常温常圧で注出、回収する技術について検討を行うことを目的としている。 2024年度はウコン粉末を食品廃棄物のモデルとし、含有するクルクミンの抽出を行った。2.0 Mのベタイン誘導体(B5)水溶液にウコン粉末を加え、ボルテックスミキサーで撹拌したところ、速やかにベタイン水溶液が橙色に着色した。吸収スペクトルを測定したところ、クルクミンに由来する吸収が確認された。この抽出は、ベタインの化学構造、濃度によって変わり、構造ではB5が同一濃度において最も抽出能力が高く、濃度では高濃度であるほど、多くのクルクミノイドを抽出することが明らかとなった。この抽出能力を既存のものと比較するために有機溶媒やDESsをコントロールとした抽出実験を行ったところ、B5水溶液が最大の抽出量であった。 抽出はB5濃度に依存していたことから、抽出液を取り出し、水で希釈したところ、抽出されたクルクミノイドは析出し、遠心分離(固液戦場捜査を含む)を行うことで純度がほぼ100%のクルクミンを抽出することができた。また、希釈倍率(最終B5濃度)によってクルクミンの回収率も変わり、回収率は最大で88%となった。この回収率はDESsのもの(40%)の2倍以上あり、抽出においても、また回収においてもB5水溶液が優れていることが実証された。このような抽出・回収現象は、ウコンに限定されず、ココア、シークァーサー、生姜、エゴマ、カボチャでも同様に確認することができた。 さらにこの抽出、回収をシステム化するために繰り返し抽出を行ったところ、抽出回数が増えるたびに50%ずつベタイン誘導体が減ることがわかった。2024年度はこの回収効率を上昇させることを目指していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①(ア)DESsとベタイン誘導体水溶液における抽出成分種、量の違い、(イ)様々な食品残渣に対する適応性の検証、(ウ)抽出サイクルの実証、②(ア)ベタイン誘導体の粘度B係数の算出と温度依存性の検証、(イ)MDによる水和構造の推定のうち、2023年度は①の(ア)(イ)及び②の(ア)(イ)について検証する予定であった。担当者の研究時間を有効に使うために②のテーマは誘導体の合成を行うところまでにとどめ、2024年度にすることとし、代わりに①の(ウ)も検討を行った。年度進行の計画は多少入れ替わったものの、3年間の計画における成果としては2023年度分を十分に遂行したものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
①の(ウ)についてベタイン誘導体の回収効率が50%と低く、そこを改善し、80%以上にすることを目標として進めるとともに、準備していた②の誘導体を用いて、溶液物性解析およびMDについて実験を行っていくことを計画している。
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