Project/Area Number |
23K05501
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41050:Environmental agriculture-related
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
西田 正志 崇城大学, 工学部, 教授 (00310029)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 硝酸態窒素除去 / 地下水浄化 |
Outline of Research at the Start |
地下水汚濁物質として環境基準値レベルの比較的低濃度の硝酸態窒素を簡易かつ選択的に除去する手法として、優れた硝酸資化性と環境安全性をもつ日本由来の硝酸資化性酵母を多糖ゲルに包括固定化したビーズをバイオリアクター素子に用いる硝酸態窒素の連続除去装置を作製し評価する。そのために、硝酸資化性酵母の菌体数と硝酸態窒素除去量と炭素源消費量の関係の定量化、連続除去システムのためのラボスケールの装置の作製と窒素除去能の評価、および実際の熊本県地下水を用いた連続除去試験を実施し、システムの実用化に向けた評価を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
硝酸資化性酵母のRhodotorula graminis (NBRC0190, 以下R.gra)を多糖ゲル中に包括固定化したビースを反応素子に用いる水中の硝酸態窒素の連続除去装置を作成するに先立ち、R.graと硝酸態窒素濃度が10mg/Lのモデル地下水との反応において菌数の増殖速度、硝酸態窒素除去速度、炭素源のグルコースの消費速度の関係を検討した。菌数、硝酸態窒素濃度、グルコース炭素濃度は反応時間に対し一次関数で高い相関の変化を示し、R.gra菌体当たりの硝酸態窒素除去速度と炭素消費速度の比較から包括固定化していないR.graでは硝酸態窒素除去に要する炭素源が炭素窒素質量比でC/N=27が望ましいことが示された。次いで、R.graを包括固定化する多糖ゲルとしてアルギン酸ゲルまたはκ-カラギーナンゲルを用い、硝酸イオンの多糖ゲル内への浸透性、包括固定化ゲルの硝酸態窒素除去能を水中の全塩濃度が100㎎/Lレベルの低塩濃度試料水と4000㎎/Lレベルの高塩濃度試料水で検討した結果、2種類の多糖ゲルで硝酸イオンの浸透性や硝酸態窒素除去能に明確な差異は認められず、多糖ゲルの素材の違いで固定化されたR.graの活性は変化しないことが分かった。その一方で、アルギン酸ゲルでは高塩濃度試料水に2週間反応させるとゲルの膨潤が起きて脆くなることが観測された。従って、地下水のような低塩濃度の水では包括固定化法の簡便さや調製コストの面からアルギン酸ゲルで十分であるが、植物工場排水など高塩濃度が予想される水ではκ-カラギーナンゲルを用いる必要があることが分かった。 また、反応槽が100mLの単槽式の連続反応装置の作成とモデル地下水での硝酸態窒素の連続除去を検討し、1週間程度の短期間では硝酸態窒素を高度に除去するが、これを超えると除去能の低下が起こり、長期間の連続処理に必要な条件を見出すには至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画初年度として、連続除去システムにフィードバックできる反応条件を評価する目的に対し、硝酸資化性酵母を固定化していない系(遊離R.gra)での量論関係の評価を行い、菌体数、硝酸態窒素除去量、炭素源消費量が反応時間に対して一次関数的に変化すること、得られた速度から硝酸態窒素に対する炭素源の添加量の量論関係を得た点では当初計画の目的を達成できたが、再現度のあるデーター収集に時間を要したため、計画に掲げていた今年度内の成果の公表に至れなかった点が遅れていると判断した。 R6年度計画に先立ち、R.graの包括固定化単体として研究計画に記載したアルギン酸ゲルが包括固定化担体として適するかについて、κ-カラギーナンゲルを包括固定化担体として用いた場合との硝酸イオンの多糖ゲル内への浸透性、包括固定化ゲルの硝酸態窒素除去能の比較から、地下水中の硝酸態窒素除去に用いるアルギン酸ゲルで明らかに出来たことは当初の計画以上に進展したと判断した。 単槽式の連続装置を作成して基礎的な条件を行う目的に対し、100mL恒温ジャケット付きビーカーを単槽式の反応槽として用いた連続反応装置を作成し、アルギン酸ゲルに包括固定化したR.graを反応素子として用いてのモデル地下水の硝酸態窒素の連続除去を検討することは計画通りに実施できたが、短期間の反応では実用十分に足る窒素除去反応性を示したものの、1週間を超える長期間での窒素除去反応性が低下する想定外の現象が起こり、この原因の特定に至っておらず、計画に掲げた菌体量、空気や炭素源の供給方法の最適化に至らなかった点が遅れていると判断した。 以上の理由を総じて進捗状況がやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
連続除去システムにフィードバックできる反応条件の評価を目的とする検討として、アルギン酸ゲルに硝酸資化性酵母固定化した系(固定化R.gra)に代えて、菌体数、硝酸態窒素除去量、炭素源消費量の量論関係を評価する。研究方法や反応条件は菌体を未固定の系(遊離R.gra)で検討した方法を参考にし、反応速度や硝酸態窒素除去に伴う炭素源の消費量を明らかにし、遊離R.graにて得られた関係と比較すると共に、連続除去システムの反応条件へ反映させる。 連続反応装置によるモデル地下水での硝酸態窒素除去の検討において、長期間での窒素除去反応性が低下する原因の特定を検討する。原因としては、好気性環境の不維持、炭素源の過剰供給による活性変化を予想しており、反応槽が100mLの単槽式の連続反応装置において硝酸態窒素除去に及ぼす通気量の影響、炭素源添加方法の影響を先ず検討してこれらの最適条件を明らかにする。次いで、反応槽を直列に2槽並べた反応装置の作成と種々の濃度のモデル地下水中の硝酸態窒素除去を検討して2槽式での処理条件を最適化する。また単槽式での結果との比較により処理効率の向上効果について明らかにする。
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