Project/Area Number |
23K05502
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41050:Environmental agriculture-related
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
中島 泰弘 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 高度分析研究センター, ユニット長 (10354086)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 一酸化二窒素 / 硝酸イオン / 安定同位体 / 重窒素トレーサー / 重酸素トレーサー |
Outline of Research at the Start |
陸域生態系における温室効果ガスである一酸化二窒素(N2O)の農業生態系における動態の把握が必須である。また農業流域での硝酸態窒素汚染の解決のためには主たる汚染源の把握と水田・湿地帯等による脱窒量の把握が重要である。 それらの問題の解決のため、重窒素トレーサーに加えて重酸素トレーサーを用いた土壌培養試験を行い、窒素酸化物等(N2OやNO3-など)の動態解明のために、重窒素トレーサー法の持つ欠点を解消した新たな発生源解析手法を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
森林や水田・畑地等で構成される陸域生態系では反応性窒素の増大により富栄養化、地下水の硝酸態窒素汚染、亜酸化窒素発生による温暖化など様々な地域および地球規模の環境負荷をもたらしている。温室効果ガスである一酸化二窒素(N2O)の農業生態系における発生は、複数の窒素源から複数のプロセスを経る複雑な過程を経ており、その発生削減には農業生態系での動態の把握が必須である。 この問題の解決のため、重窒素トレーサーを用いた動態解析手法がNO3-汚染の負荷源解析や脱窒作用の評価、N2Oの生成プロセスの解明等のために用いられている。N2Oの生成プロセスの解明のための試験においては硝化と脱窒の2つの生成プロセスを区別する必要があり、それぞれの基質であるNH4+とNO3-を区別するために重窒素で標識するが、NH4+は硝化によってNO3-に変化するため、培養途中でNH4+とNO3-の両方が重窒素で標識されてしまうという問題があった。この問題を回避するため、従来は同じ環境で異なる窒素源を標識した実験を複数回行い、各窒素源由来のN2Oの生成量を求めていた。しかし、この方法では同じ環境を用意しても実験AとBで同じ窒素源から異なる量のN2Oが生成されることが多く、見積精度が低いのが問題となっていた。従来法の問題点は「大きなN2O生成量のブレが予想される実験を複数回繰り返す」ことにあるため、これを解消するため1標識2回実験から2標識1回実験へ根本的な改善を実施した。その結果、1度の実験でN2Oの窒素及び酸素安定同位体比から窒素源毎の発生割合を見積もることが可能であることが明らかとなった。今後は高濃度標識試薬の使用および培養のスケールアップを行い、精度改善を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は必要とする2種のトレーサーのうち重窒素(15N)トレーサーについては市販の塩化アンモニウムを使用し、重酸素(18O)トレーサー(硝酸ナトリウム)については特注品を発注した。納品には半年程度要するため、代替品として所持していた重酸素(17O)トレーサー(硝酸ナトリウム)で小スケールにて土壌培養試験を実施した。 あらかじめ土壌に重窒素(15N)トレーサーを含むNH4+および重酸素(17O)トレーサーを含むNO3-を混和しておき、土壌中のNH4+バックグラウンドのδ15N値およびNO3-バックグラウンドのδ17O値を高い状態にした。培養後、発生したN2Oの安定同位体比(δ15N、δ17O)を安定同位体質量分析器で測定した。発生したN2Oの安定同位体比(δ15N、δ17O)は15Nおよび17Oを両方とも含み、15N―NH4+および17O―NO3-由来のN2Oが発生したと考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度以降は2023年度と同様の土壌培養試験を特注した重酸素(18O)トレーサー(硝酸ナトリウム)を用い、高濃度・大規模に行う。すなわち、あらかじめ土壌に重窒素(15N)トレーサーを含むNH4+および重酸素(18O)トレーサーを含むNO3-を混和しておき、土壌中のNH4+バックグラウンドのδ15N値およびNO3-バックグラウンドのδ18O値を高い状態にする。前培養後、一定時間経過後のNH4+、NO 3-残存量をオートアナライザーで、N2OおよびCO2の発生量をガスクロマトグラフで、発生したN2O、NO、N2、H2O、CO2の安定同位体比(δ15N、 δ18O)を安定同位体質量分析器で測定する。N2O生成量を全体N2O生成量、15N216Oaを15NH4+由来N2O、14N218Onを14N18O3-由来N2Oとする。NO生成量を全体NO生成量、15N16Oaを15NH4+由来N O、14N18Onを14N18O3-由来NOとする。また15N2aを15NH4+由来N2とする。14N18O3-を由来とするN2は大気N2と区別できないため、15N2Oa :14 N218On比から推定するか、またはC18O2+H218Oから推定する。
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