Project/Area Number |
23K05518
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42010:Animal production science-related
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
杉山 稔恵 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10272858)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 骨 / 筋 / 細胞外小胞 / クロストーク / ニワトリ |
Outline of Research at the Start |
現在、肉用鶏においては脚弱が、卵用鶏においては破卵が頻発し、養鶏産業に多大な損失をもたらしている。これらは、成長期において十分な骨量や骨密度を有した骨格が構築されないため、急速な体重増加や高い産卵性に耐え切れず発症する。したがって、脚弱や破卵を防止するには、強健な骨格を構築することが不可欠である。本研究では、発育の異なる肉用鶏と卵用鶏の骨ならびに筋より分泌される細胞外小胞を単離して同定し、そのクロストーク機構を明らかにする。また、本研究で機能を解明した細胞外小胞を用いて、鶏胚や成体の強健な骨格の構築を試み、脚弱の防止や卵殻質の改善を図る。
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Outline of Annual Research Achievements |
現在、肉用鶏においては脚弱が、卵用鶏においては破卵が頻発し、養鶏産業に多大な経済的損失をもたらしている。これらの防止には、十分に成長・成熟した強健な骨格を構築することが必要であると考えられる。 骨は運動の刺激によって骨格筋から分泌されるマイオカインによって、骨量と骨密度が増加する。また、骨格筋は骨芽細胞より分泌されるオステオカインによって、筋量が増加する。したがって、骨と筋の間にはクロストーク機構が存在し、骨と筋の健全性を維持していると考えられる。 最近、組織間のクロストーク機構を担う因子の一つとして、細胞外小胞が注目を集めている。細胞外小胞は、細胞からエクソサイトーシスで分泌された小胞で、その中にmicroRNAやタンパク質を含み、標的組織へと取り込まれることで、細胞や組織の機能を調節する。したがって、骨と筋の間にも、この細胞外小胞が関与していることが考えられる。 本研究は、筋ならびに骨より分泌される細胞外小胞を単離して同定し、細胞外小胞が関わる骨と筋のクロストーク機構を明らかにするとともに、細胞外小胞を用いて強健な骨格を構築し、脚弱の防止や卵殻質の改善を図ることを目的としている。 本年度は、まず始めに、ニワトリ血清より、超遠心法、ペレットダウン法、フィルトレーション法でそれぞれ、細胞外小胞の分離を試みた。その結果、フィルトレーション法が得られる細胞外小胞の純度は最も高いが、回収量は超遠心法が多いことが示された。次に、各種分離法によって得られた細胞外小胞は直径10nm以下の小胞を含み、細胞外小胞特異的タンパク質が検出され、細胞外小胞の同定法を確立した。これらの成果は、令和6年度以降の研究に有用であり、家禽における細胞外小胞による骨とクロストーク機構の解明をもたらすものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度の研究計画の実行により、次の結果が得られた。 (1)ニワトリ血清より、超遠心法、ペレットダウン法、フィルトレーション法でそれぞれ、細胞外小胞を分離したところ、フィルトレーション法による分離が最も純度は高いが、回収量は超遠心法が多かった。 (2)いずれの分離方法によって得られた細胞外小胞は直径10nm以下の小胞を含み、細胞外小胞特異的タンパク質(PDCD6IP、CD9ならびにTSG101)が検出された。 (3)ペレットダウン法による細胞外小胞について、電子顕微鏡で観察したところ、球状の形態を有する細胞外小胞が観察されたが、その周囲にはペレットダウン法由来の均一で微細な基質のコンタミネーションが観察された。 以上のことから、ニワトリにおける細胞外小胞の分離法が確立され、同定法が示された。また、細胞機能(細胞培養)あるいは遺伝子解析(microRNA-seq)に適した分離法が示された。これらの成果は、R6年度以降に実施する細胞外小胞の機能解明ならびに遺伝子解析に貢献するものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度で得られた成果をもとに、研究計画に従い以下の実験を行う予定である。 1.ニワトリ培養筋芽細胞ならびに骨芽細胞より、超遠心法により細胞外小胞を分離し、培養液に添加することで、骨芽細胞における骨形成、筋芽細胞における筋形成への影響を明らかにする。 2.分離された細胞外小胞よりmicroRNAを抽出し、microRNA-seqにより遺伝子解析し、エクソソームデータベースと照合する。その結果、骨ならびに筋が特異的に有するmicroRNAを同定するとともに、その発現量から骨ならびに筋への影響を評価する。 3.肉用鶏ならびに卵用鶏の筋ならびに骨より細胞外小胞を単離し、microRNA-seqにより肉用鶏ならびに卵用鶏に特異的に発現するmicroRNAを同定する。 4.肉用鶏ならびに卵用鶏に運動による負荷を加え、その際に特異的に発現する細胞外小胞に含まれるmicroRNAを同定し、骨形成ならびに筋形成への影響を検討する。 以上の結果を総合的に考察し、家禽における細胞外小胞による骨と筋のクロストーク機構を解明する。
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