Project/Area Number |
23K05552
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42020:Veterinary medical science-related
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
中川 敬介 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (90853250)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 新型コロナウイルス / Reverse zoonosis / 野生動物 / COVID-19 / Reverse Zoonosis / One Health / 疫学 |
Outline of Research at the Start |
最近、新型コロナウイルスが野生オジロジカに伝播・定着しつつある証拠が北米で示された。このようなヒトの病原体が動物に伝播する「Reverse Zoonosis」が起こり続けた場合、特定の動物が新たな自然宿主(自然界で病原体を維持する動物)となる懸念がある。どのような動物が新型コロナウイルスの自然宿主となり得るか知ることは、感染対策を講じる上で極めて重要な情報となるものの、日本の野生動物における新型コロナウイルスの保有状況については一切情報がない。本研究では、野生動物を対象とした新型コロナウイルスの感染実態調査を通じ、どのような動物が公衆衛生上のリスクとなり得るのか明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は新型コロナウイルスが野生動物に伝播・定着しているか否かを調査し、野生動物が本ウイルスの新たな自然宿主となり得るか否かを検討するものである。本年度は岐阜県猟友会の協力の下、野生動物(鹿、狐、イノシシ、猿、ハクビシン、アナグマ、タヌキ)の血清や糞便サンプル、気道スワブの採取を主に進めた。その結果、糞便サンプル(約400サンプル)、気道スワブ(約100サンプル)、血清(約80サンプル)を採取することが出来た。そのうち、糞便サンプル100サンプル、気道スワブサンプル50サンプルについてはRT-PCRにより新型コロナウイルス遺伝子の検出を試みたものの陽性個体は今のところ見つかっていない。今後、現在蓄積したサンプルから新型コロナウイルス遺伝子の検出を試みる予定である。一方で、まさに感染している個体からしか遺伝子は検出できないため、感染歴も検討できる血清調査も併せて検討する予定である。すなわち、実際に新型コロナウイルスを用いた中和試験を実施するとともに、それらの血清を用いた感染細胞へのウェスタンブロットを実施し、野生動物の感染歴を検討する予定である。R5年度に集まったサンプルの解析をR6年度も解析を続けるとともに、現在流行している新型コロナウイルスのS遺伝子を搭載したレンチウイルス(シュードウイルス)を作製し、鹿をはじめとする野生動物への感染可能性を実験的に示すことも検討する予定である。集めた野生動物サンプルからウイルス遺伝子が検出されないことも、重要な知見だと考えられるため、現在集まったサンプルと今後集まるサンプルも含め、解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた野生動物のサンプルは集まったことに加え、当初予定していなかったコウモリのサンプルも集まりつつある。また、アブラコウモリについては岐阜県の許可のもと、生け捕りの上、血清を含めた新鮮なサンプルを採材することが出来ている。すなわち、初年度は貴重なサンプルを十分に蓄積することが出来たと考えている。たとえ、これらサンプルから新型コロナウイルス遺伝子が見つからなかったとしても、それは野生動物への新型コロナウイルスに種間伝播が起こっていない証拠になるため、その知見の重要度は高いと考えている。今後行う血清疫学に必要なサンプルも集まっていることから、R6年度はこれらサンプルをさらに解析し、野生動物への新型コロナウイルスの伝播状況を明らかにしていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに集まった野生動物のサンプルから新型コロナウイルス遺伝子の検出を進めるとともに、野生動物の血清から実際に新型コロナウイルスを用いた中和抗体の検出を実施する。また、新型コロナウイルス感染細胞に対する、野生動物血清を用いたウェスタンブロットを実施することで、野生動物のウイルスへの感染歴を実験的に確かに示すことを目指す。 一方、採取した野生動物サンプルからウイルス遺伝子の検出が叶わなかった場合、現在、流行している新型コロナウイルスのS遺伝子を搭載したレンチウイルス型シュードウイルスを作製し、鹿を含めた野生動物の培養細胞、あるいは鹿由来受容体蛋白質ACE2を発現した培養細胞への感染効率を定量化する。
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