Project/Area Number |
23K05565
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42020:Veterinary medical science-related
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
小西 美佐子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 上級研究員 (20355168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室田 勝功 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 主任研究員 (10791973)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 新興オルビウイルス / アルボウイルス感染症 / 診断法 |
Outline of Research at the Start |
オルビウイルス属ウイルス(オルビウイルス)は、吸血昆虫を介してヒトや動物に感染する。近年、わが国に3種の新興オルビウイルスが侵入していることが判明した。しかし、これらのウイルスの分離培養には昆虫細胞を要するため現場での検査が困難なだけでなく、哺乳類細胞に対する感染性や細胞毒性も不明である。そこで本研究では、これらの新興オルビウイルスについて現場で実用可能な診断法を開発し、これらを用いた疫学調査により各ウイルスの国内浸潤状況を明らかにする。また、哺乳類細胞を用いた分離培養法を確立し、ウイルスの細胞毒性等、病原性解明に重要な知見を得る。
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Outline of Annual Research Achievements |
1) 新興オルビウイルスの診断法確立と疫学調査 ウイルス遺伝子検査法として、Yunnan orbivirus (YUOV)、Guangxi orbivirus (GXOV)およびYonaguni Orbivirus(YONOV)のVP6(ヘリカーゼ)遺伝子を標的としたリアルタイムおよびコンベンショナルRT-PCR法を確立させた。各ウイルスは、リアルタイムRT-PCR法では解離曲線におけるTm値により、コンベンショナルRT-PCRでは増幅産物のサイズによって識別可能である。 蚊由来の株化細胞であるC6/36細胞(C6/36)を用いて各ウイルスの持続感染細胞を作出した。RT-PCRおよびC6/36に対する感染実験の結果、各持続感染細胞は培養上清中に感染能のあるウイルスを放出していることが判明した。 2) 哺乳類細胞を用いたウイルスの分離培養法の確立とウイルスの細胞毒性評価 各ウイルスの哺乳類培養細胞への感染能を検証した。まず、ハムスター由来株化細胞であるBHK-21細胞(BHK)をC6/36の培養温度である28℃に馴化させた後、各ウイルスを接種し、28℃で3代盲継代したところ、YUOVおよびGXOVを接種した細胞は3代目でCPEを示した。この培養上清を通常のBHKに接種し、37℃で培養したところ、両ウイルスを接種した細胞はそれぞれ1代目からCPEを示した。一方、YONOVを接種したBHKは28℃でもCPEを示さなかった。これら3種のウイルスは国内外で分離されているが、哺乳類培養細胞を用いた分離成功例はない。したがってこれらのウイルスの哺乳類培養細胞に対する感染能や細胞毒性等は不明である。今回、BHKで培養可能となったYUOVおよびGXOVは、両ウイルスの病原性等をin vitroで解析する上での有用なツールとなるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の目的は、1) 新興オルビウイルスの診断法確立と疫学調査および2) 哺乳類細胞を用いたウイルスの分離培養法の確立とウイルスの細胞毒性評価に大別される。1)については、リアルタイムRT-PCRおよびコンベンショナルRT-PCRによる各ウイルスのVP6遺伝子検出系を確立させた。両PCR法は、各ウイルスをTm値または増幅産物のサイズによって識別可能なため、今後条件検討を重ねることで、マルチプレックスPCRとして活用可能と考えられる。また、YUOV, YONOVおよびGXOVの持続感染細胞を作出することに成功した。今後、この持続感染細胞を用いることにより、間接蛍光抗体法による各ウイルスの抗体検出が可能となると考えられる。 2)については、これまでC6/36細胞でしか感染が成立しなかったYUOVおよびGXOVがBHK細胞に対して感染・増殖能を有していることを明らかにした。研究立案時には、ウイルス濃縮により力価の高いウイルスを大量にBHKに接種することや、培養継代数の限られる哺乳類初代培養細胞を用いることを計画していたが、BHKを低温培養することで、想定よりも早く哺乳類株化細胞(BHK)馴化ウイルス(YUOVおよびGXOV)を作出することができた。以上より、本研究はおおむね順調に進んでいるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 新興オルビウイルスの診断法確立と疫学調査 バキュロウイルス発現系を用いて、YUOV, YONOVおよびGXOVのVP7(内殻カプシド蛋白質)を組換え蛋白質として発現させる。現在、PCRにより各ウイルスのVP7遺伝子全領域をクローニング済みである。得られた組換えタンパク質を抗原として抗体検出エライザ法を確立させる(R6-7)。野外から牛の血清および血球を収集し、確立されたエライザ法とR5年度に確立させたウイルス遺伝子検査法を用いて、国内の新興オルビウイルス感染状況を調査する(R8)。 2)哺乳類細胞を用いたウイルスの分離培養法の確立とウイルスの細胞毒性評価 BHKに馴化したウイルスを用いて、他の哺乳類培養細胞(株化細胞または初代培養細胞)に対する感染能を検証する。YONOVについては、濃縮ウイルスまたは持続感染細胞との共培養等の手段を用いてBHKへの馴化を試みる。哺乳類培養細胞に馴化したウイルスについては、次世代シーケンシングにより全ゲノム配列を解析する。得られた配列をC6/36に馴化したウイルスのそれと比較し、異種細胞への馴化の過程で生じるウイルス遺伝子の変異を解析する。検出された遺伝子変異より、ウイルスが宿主細胞で増殖するために必要な因子の解明を試みる(R6-R8)。
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