牛伝染性リンパ腫の発症に寄与する細胞内シグナル分子の解析
Project/Area Number |
23K05583
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42020:Veterinary medical science-related
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
安藤 清彦 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 主任研究員 (70806752)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 牛伝染性リンパ腫 / BLV / EBL / CD44 / 牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV) / 牛伝染性リンパ腫(EBL) / 細胞増殖抑制シグナル |
Outline of Research at the Start |
本研究は、牛伝染性リンパ腫ウイルス感染に起因するウシのB細胞腫瘍と、細胞増殖抑制シグナルを伝達する分子であるCD44の関連性に着目し、細胞膜タンパク質CD44の下流ではたらく細胞増殖抑制シグナル経路の破綻がウシB細胞の腫瘍化に寄与する可能性を検証するものである。本課題では、フローサイトメトリーを用いてウシリンパ球のCD44発現動態を明らかにするとともに、RNA干渉等によるシグナル経路の阻害実験を実施することで、当該シグナル経路がウシリンパ球の増殖性や腫瘍化に果たす役割を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、細胞膜タンパク質CD44の下流ではたらく細胞増殖抑制シグナル経路の破綻が、牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)感染によるウシB細胞の腫瘍化に寄与するか否かを検証するものである。今年度は、牛伝染性リンパ腫(EBL)症例から分取した腫瘍細胞が健康牛の末梢血単核球(PBMC)と比較して有意に低いCD44 mRNA量を示すという予備解析の結果を裏付けるため、(i) EBL症例由来腫瘍細胞、 (ii) 健康牛由来PBMC、及び(iii) ウシB細胞株を用いて、リンパ球サブセット毎のCD44発現動態をフローサイトメトリーで解析した。また、CD44に対するリガンドであるヒアルロン酸を添加した培地でCD44陽性ウシB細胞株を培養し、ヒアルロン酸によるCD44シグナル経路の刺激が細胞の増殖性を変化させるか検証した。 フローサイトメトリー解析の結果、健康牛由来PBMC中のリンパ球はIgM陽性B細胞とCD3陽性T細胞どちらもCD44を発現していることが確認された。その一方で、EBL症例の腫瘍組織から分取した腫瘍細胞(IgM陽性B細胞)においては、CD44をまったく発現していなかった。ウシB細胞株を用いた解析では、2種類の細胞株BL3.1とBL2M3のどちらもCD44を発現していることが確認された。 CD44の発現が確認されたBL3.1細胞を用いて、ヒアルロン酸添加培地で培養して増殖性を評価した結果、添加するヒアルロン酸の濃度依存的に細胞の増殖性が低下することが明らかとなった。ヒアルロン酸刺激したBL3.1細胞のトランスクリプトーム解析の結果から、細胞の代謝にかかわる遺伝子群が有意に発現低下している傾向が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ウシリンパ球のCD44発現動態についてフローサイトメトリーによる解析が完了した。その結果、EBL症例の腫瘍組織から分取した腫瘍細胞では、正常なB細胞では発現しているCD44の発現が完全に失われていることが明らかとなった。さらに、ヒアルロン酸添加培養試験により、ヒアルロン酸によるCD44刺激がB細胞株の増殖性を低下させること、ヒアルロン酸存在下では主に細胞の代謝にかかわる遺伝子群が発現低下することが明らかとなった。これらの結果は、CD44が正常に発現しているB細胞では細胞増殖抑制シグナルが機能しているが、腫瘍化してCD44の発現を失ったB細胞ではこのシグナル経路が機能しなくなっていることを示唆しており、CD44を介した細胞増殖抑制シグナル経路の破綻がB細胞の腫瘍化に寄与するという当初仮説を支持するものと考えられる。以上の状況から、当初の計画どおり順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究結果により、ヒアルロン酸によるCD44刺激がウシB細胞の増殖を負に制御することが確認されるとともに、腫瘍化したウシB細胞ではCD44の発現が完全に失われていることが明らかとなった。次年度は、BLV感染ウシB細胞においてCD44の発現動態の変化を制御する分子メカニズムの解明に取り組むとともに、CD44を介した細胞増殖抑制シグナルの下流にある因子を組換え発現させて解析を行い、細胞増殖制御に寄与する因子の詳細な解析を行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)