Project/Area Number |
23K05596
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42030:Animal life science-related
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
小川 秀 長岡工業高等専門学校, 一般教育科, 准教授 (40435417)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 個体再生 / 自然免疫 / レクチン / 遺伝子発現 / 生体防御 / 環形動物 / 細胞認識 / C型レクチン |
Outline of Research at the Start |
ヤマトヒメミミズは顕著な個体再生能力をもつ環形動物である。しかしその個体再生過程での炎症応答や生体防御機構の多くは未解明である。本研究課題は病原菌感染のリスクの高い土壌環境中において本生物種が高頻度で個体再生を遂げる背景で機能すると考えられる自然免疫に着目する。特に自然免疫の初期段階で病原菌細胞の認識に関与する糖結合タンパク質(レクチン)を特定し、機能解明を目指す。候補分子として、本生物種より見出したmMBP(メチル化マンノース結合タンパク質)及びその関連タンパク質Ejrup3、C型レクチン様タンパク質に焦点を絞り、微生物共存下、非共存下での個体再生過程における各候補分子の発現動態を解析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ヤマトヒメミミズの個体再生過程における炎症応答、生体防御機構について明らかにするために自然免疫での微生物細胞認識への関与が推測される10種のレクチン様タンパク質遺伝子を単離し、塩基配列の決定を行った。10種の遺伝子には、既に本生物種より単離しているEjmMBP(メチル化マンノース結合タンパク質)遺伝子及びその類縁タンパク質であるEjrup3遺伝子に加え、新たに単離した5種のC型レクチン様遺伝子(EjCTL1~EjCTL5)、リポ多糖やβ-1,3グルカンへの結合性を有するタンパク質CCF(coelomic cytolytic factor)様遺伝子(EjCCF)およびLBP/BPI(Lipopolysaccharide-binding protein and bacterial permeability-increasing protein)様遺伝子(EjLBP1, EjLBP2の2種)を含む。 無傷個体および人為的切断後の再生個体(切断後3hr、同6hr、同12hr、同1日、同2日、同4日)から抽出した全RNAを試料とし、リアルタイムPCRによって上記10種のレクチン様遺伝子の発現量を解析した。その結果、10遺伝子は以下の3パターンに分類された。 切断前に比較して、個体切断後の再生過程において数倍の発現上昇がみられる遺伝子;Ejrup3、EjCTL1およびEjCTL5 特に個体再生前後で発現量の変化しない遺伝子;EjmMBP, EjCTL2, EjCTL3, EjCTL4, EjLBP2 発現量が個体再生に伴って減少する遺伝子;EjCCF, EjLBP1 今後は培養微生物を添加した微生物感染を模した条件で個体切断を実施し、その個体再生過程での上記10種の遺伝子発現量を解析する。これらの結果をもとに個体再生過程での自然免疫に関与するレクチンを特定していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に先行研究で実施したヤマトヒメミミズの無傷個体及び個体再生1日目由来のRNAシーケンスデータを利用し、RACE法によって自然免疫における細胞認識への関与が推定される10種のレクチン様遺伝子の単離と塩基配列を明らかにした。10種の遺伝子としては、本生物種から新規に見出したメチル化マンノース結合タンパク質(mMBP)とその類縁タンパク質(EjRUP3)の各完全長cDNA、5種のC型レクチン遺伝子、およびミミズの自然免疫において微生物細胞の認識過程に関与することが報告されているCCF(coelomic cytolytic factor)やLBP/BPI(Lipopolysaccharide-binding protein and bacterial permeability-increasing protein)それぞれの全長をコードするcDNAである。 培養微生物無添加の条件下における個体再生過程でそれら10種の遺伝子発現量の解析を実施した現段階では、個体再生過程機能との相関が強く示唆されるような遺伝子は目下得られていない。しかし今後は微細物細胞無添加条件での個体再生過程における各遺伝子発現量と微生物細胞を添加した条件下での個体再生過程における各遺伝子発現量を詳細に比較解析することにより、本生物種の個体再生過程での自然免疫機能に関与するレクチン遺伝子の特定につなげる。
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Strategy for Future Research Activity |
本生物種から非自己認識に関与すると予想されるレクチン遺伝子候補を10種単離した。その中から自然免疫における初期の非自己認識に関与する分子種を特定したい。特に個体再生過程で微生物感染を防ぎ、本生物種が顕著な個体再生を遂行する上での機能との相関をもつ分子種を明らかにすることを目指す。 上記目的のために、本生物種の個体切断時に培養微生物を添加した条件で個体再生を行った際の各10種の遺伝子発現レベルを解析し、微生物無添加での遺伝子発現レベルとの比較もよって、個体再生過程における生体防御に関わるレクチンを特定することを目指す。 次に個体再生過程を通じて各10種のレクチン様タンパク質をコードする遺伝子の時間的空間的な発現状況をホールマウントin situ ハイブリダイゼーションによって解析し、遺伝子の発現部位や遺伝子産物の機能に関する知見を得たいと考える。 上記の培養微生物添加の効果を明確に解析するためには、本生物種の生体内に直接培養微生物を注入することが確実ではあるが、本生物種は微小であるため特殊なインジェクション装置が必要となる。従って第一段階としては、本生物種の人為的切断を培養微細物添加条件下で実施し、個体再生過程の試料を使用することを考えている。この疑似的微生物感染試料において、培養微生物無添加条件での各種遺伝子発現状況との相違がみられない場合は、細なガラスキャピラリーによるインジェクションを用いた培養微生物の生体内への注入を検討したい。
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