Project/Area Number |
23K05633
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43010:Molecular biology-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大谷 仁志 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (10627087)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | レトロトランスポゾン / 抗がん剤 / ゲノム編集 / 転写調節領域 / がん治療 / DNAメチル化 |
Outline of Research at the Start |
5-アザシチジン(DNA脱メチル化剤)は、血液腫瘍に対する抗がん剤として用いられている。近年、レトロトランスポゾンのRNAが、宿主の自然免疫系の活性化を伴うアポトーシスをがん細胞に誘導することが報告された。予備的な解析により、数種の自然免疫系遺伝子の上流に位置するレトロトランスポゾンが、プロモーター活性を示すことが分かった。従って、5-アザシチジンの抗腫瘍効果は、レトロトランスポゾン由来のプロモーターによってももたらされることが予測される。5-アザシチジンの抗腫瘍効果を規定する因子を同定することが出来れば、より効率的でリスクの低いがん治療法の開発に繋がると期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、血液腫瘍に対する抗がん剤として用いられている5-アザシチジン(DNA脱メチル化剤)の作用機序を解明することを目的としている。近年、5-アザシチジン投与により発現が促されたレトロトランスポゾンのRNAが、宿主の自然免疫系を活性化し、がん細胞にアポトーシスを誘導する機構の存在が報告された。一方で、レトロトランスポゾンには、プロモーターなどの転写調節領域として、近傍の宿主遺伝子の発現を直接的に制御する機能も備わっていることが知られている。従って、5-アザシチジンの抗腫瘍効果は、レトロトランスポゾン由来のRNAだけでなく、レトロトランスポゾン由来のプロモーターによってももたらされることが予測される。これまでに、CRISPR/Cas9系を用いて、ウイルスRNAレセプターであるRIG-Iの上流に位置するレトロトランスポゾンの欠損ヒト培養細胞を樹立することに成功した。レトロトランスポゾン欠損細胞に、5-アザシチジン投与を行った後、RIG-Iの遺伝子発現の変化が認められるかをRT-qPCRにより調査したところ、発現量の減少が認められた。さらに、がん細胞の表現系を評価したところ、5-アザシチジンによる抗腫瘍効果の減衰が見られた。自然免疫系活性化のトリガーであるRIG-Iの発現減少は、自然免疫経路に関与する多くの遺伝子群の発現に影響を与えることが予測される。そのため、今後、RNA-seqを行うことにより、自然免疫系遺伝子群の発現変化を網羅的に調査する。さらに、抗がん剤の生体内活性を評価するために用いられる異種移植モデルであるマウスXenograftを用い、より生体内に近い環境で5-アザシチジンの抗腫瘍効果の変化を評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、自然免疫系遺伝子の上流に位置するレトロトランスポゾンのプロモーター活性の調査、レトロトランスポゾンの欠失に伴うRIG-I及びSTAT2遺伝子発現変化の調査、RIG-I,STAT2の遺伝子発現減少が与える細胞表現型への影響の検証、マウスXenograftモデルを用いたIn vivo解析の4つのパートに大きく分けられる。これまでに、RIG-Iの上流に位置するレトロトランスポゾンの欠損ヒト培養細胞を樹立することに成功しており、細胞表現型への影響の検証も終えている。今後は、STAT2の上流に位置するレトロトランスポゾンの欠損ヒト培養細胞を樹立、およびIn vivo解析を行う必要があるが、現時点の進歩状況としては順調と捉えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、これまでに概ね順調に進行しているため、今後も申請書に沿って進め。まず、RIG-Iのケースと同様に、CRISPR/Cas9系を用いて、I型インターフェロンの産生により活性化される転写因子であるSTAT2の上流に位置するレトロトランスポゾンの欠損ヒト培養細胞を樹立する。レトロトランスポゾン欠損細胞に5-アザシチジン投与を行った後、STAT2の遺伝子発現の変化が認められるかを調査する。続いて、RNA-seqを行うことにより、自然免疫系遺伝子群の発現変化を網羅的に調査する。さらに、がん細胞の増殖能やアポトーシスの有無を観察することにより、レトロトランスポゾン欠損に伴う表現型の変化を評価する。これらの結果をin vivoで検証するため、レトロトランスポゾン欠損がん培養細胞における5-アザシチジンの抗腫瘍効果の変化を、マウスXenograftモデルにより評価する。以上の実験及び解析を通じ、5-アザシチジン投与後のがん細胞における、レトロトランスポゾン由来プロモーターの新しい機能の解明に迫る。
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