Project/Area Number |
23K05635
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43010:Molecular biology-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮川 さとみ 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授 (90291153)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 生殖細胞 / 前精原細胞 / DNAメチル化 / 転写因子 / piRNA / ES細胞 / 精子形成 |
Outline of Research at the Start |
マウスの胎生期精巣の配偶子形成過程において、前精原細胞に一過性に発現するDnmt3L、Miwi2、Tdrd9遺伝子に着目して、それらの遺伝子の発現を制御する転写因子の同定をおこない、前精原細胞でのDNAのde novoメチル化に必須な遺伝子発現制御メカニズムを明らかにする。さらに、雄性生殖幹細胞株であるGS細胞やES細胞から分化誘導したPGCLCに、同定した転写因子を導入してde novoメチル化のための十分性を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では胎生期の雄性生殖細胞におこるゲノムDNAのメチル化機構を明らかにするために、この時期特異的な遺伝子発現プログラムを制御する転写因子を探索する。マウスでは胎生期15-18日胚の精巣の前精原細胞において、精子形成に必須なレトロトランスポゾンの抑制や、受精後の発生に不可欠なゲノムインプリントの確立、に寄与するDNAのメチル化(de novoメチル化)が生じる。このメチル化には、piRNAとよばれる24-31ntの生殖細胞特異的小分子RNAが必須である。piRNAとde novoメチル化に関わる遺伝子は時期特異的に同調的に発現することから、これらの発現には共通の発現制御メカニズムが存在すると想定されるが、その実態は明らかではない。そこで本研究では、前精原細胞に一過性に発現し、de novo DNAメチル化に関与するMiwi2、Tdrd9遺伝子に着目して、それらの遺伝子の発現を制御する転写因子の同定をおこない、前精原細胞での遺伝子発現制御メカニズムを明らかにする。 具体的には、① Miwi2およびTdrd9遺伝子の発現を蛍光タンパクでモニターできるレポーター細胞を樹立し、これらを体外分化培養系により前精原細胞に分化誘導して、これらの蛍光タンパクの発現を確認する。② 発現パターンやKOマウスの表現型などをもとに候補の転写因子を選択し、発現ベクターを作製する。レポーター細胞に、複数の組み合わせで転写因子を発現させ、蛍光タンパクの発現によりMiwi2およびTdrd9遺伝子の発現誘導に十分な転写因子群を同定する。③ 同定した転写因子を欠損、あるいは過剰発現させたES細胞を作製し、解析をおこなう。④ 可能であればpiRNAを介するDNAメチル化を引き起こす細胞株の樹立をこころみる。今年度は、①②をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はまず、前精原細胞におけるde novoメチル化に関わる遺伝子の発現をモニターできるレポーター細胞を作製した。まず雄のES細胞に、Miwi2およびTdrd9遺伝子座にそれぞれVienusとtdTomato遺伝子をノックインしたMiwi2-Vienus/Tdrd9-tdTomato ES 細胞(MVTT-ES細胞)を樹立した。これらのレポーター遺伝子の前精原細胞での発現を確認するために、in vitro分化培養系(Ishikura et al. 2016 Cell Rep)によりES細胞を前精原細胞に分化させた。すなわち、ES細胞をEpiLC-PGCLCに分化させ、PGCLCをsortingで回収したのち、feeder細胞(m220-5細胞)上においてin vitro増殖をおこない、PGCLCを胎生12.5日胚の雄の生殖層から始原生殖細胞を除いた体細胞と混合培養した。しかし、このin vitro再構成系においては、VienusとtdTomato のこれらのレポーターの発現を確認することができなかった。そこで、MVTT-ES細胞を、偽妊娠マウスに移植して胎生16.5日胚の精巣を回収し、レポーターの発現を調べたところ、前精原細胞においてVienusとtdTomato の強い蛍光が観察された。すなわち、このES細胞は、Miwi2およびTdrd9遺伝子の発現を蛍光でモニターできることが証明された。 また、前精原細胞におけるde novoメチル化に関わる転写因子の候補として16遺伝子を選出し、DOXで誘導可能な発現ベクターを構築した。現在、スクリーングを開始したところである。
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Strategy for Future Research Activity |
作製したMVTT-ES細胞がMiwi2とTdrd9遺伝子の発現を蛍光でモニターできることが証明されたことから、この細胞に転写因子の発現ベクターをランダムに導入し、DOXで発現を誘導し、FACSにおいてスクリーニングをおこなう。まずは16遺伝子を全てMVTT細胞にトランスフェクションする。発現ベクターにはNeo遺伝を組み込んでいるため、G418で遺伝子導入細胞を選択した後、DOX添加し蛍光がシフトした細胞をFACSでsortingする。分離した細胞をさらに培養し、FACSを繰り返す。またはMEF上に薄くまきsingle colony をpick upし、ゲノムDNAを回収する。PCRにより、Miwi2やTdrd9の発現に必須な転写因子を同定する。 同定した転写因子を欠損、あるいは過剰発現させたES細胞やGS細胞を作製し、トランスクリプトーム解析や、レトロトランスポゾンやRasgrf1のゲノムDNAのメチル化の程度をBisulfiteシークエンス法により調べる。
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