Project/Area Number |
23K05641
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43010:Molecular biology-related
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
阿部 洋典 熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (20914964)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2027: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 精子形成 / 減数分裂 / 細胞周期 / 遺伝子発現調節 |
Outline of Research at the Start |
減数分裂は体細胞分裂を転用した特殊な細胞分裂と言える。しかし体細胞分裂の細胞周期と異なり減数分裂のタイムスパンは長期に渡るが、それを制御するメカニズムはこれまで知られていない。体細胞周期では転写因子 FOXM1 および MuvB がG2/M 期移行を制御している。一方で減数分裂における上記因子の関与は示唆されているが、その実体は不明である。本研究では FOXM1 および MuvB が減数分裂における減数第一分裂 M 期の開始を制御すると仮説を立て、生体マウスを用いて検証する。さらに減数分裂特異的な機能を付与する因子を探索し、体細胞分裂と減数分裂との違いを生み出すメカニズムの解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では体細胞分裂におけるG2/M期移行に重要な転写因子FOXM1およびMuvBは減数第一分裂前期進行を制御すると仮説を立て実験を進めている。Ddx4-Creを用いた生殖細胞特的なFoxm1ノックアウトマウスの解析からFOXM1欠損オスマウスは不妊であり、その原因として減数分裂が正常に完了しないことを示唆する結果を得た。しかしDdx4-Creは胚性期14.5日頃から生殖細胞で発現してノックアウトを誘導するため、減数分裂で観察された表現型がFOXM1の減数分裂期特異的な制御の消失によるものなのか、あるいは精母細胞の前駆細胞である精原細胞に生じた変化に由来するのもであるのか解釈が難しい。そこで詳細な機能解析のために減数第一分裂前期に特異的なloss of function マウスモデルを複数系統作成しており、既に幾つかのラインではマウスコロニー樹立に到達した。一方で遺伝子ノックアウトに用いる新規Creドライバーや迅速なタンパクノックダウンを誘導するauxion-inducible-degron 2 (AID2) 法に用いるOsTIR1ドライバーの最適化には至っておらず、問題点の洗い出しとマウスツール作出を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では従来の遺伝子ノックアウトによるloss-of-function モデルだけでなく、AID2法によるプロテインノックダウンを用いたタンパク機能解析を計画している。AID2法では標的タンパク質にminiAIDを付加すること、および標的タンパク質へのユビキチン化に機能する外来性OsTIR1を発現させる必要がある。また本研究では生化学的解析を目的とした精製タグとして3xFLAG-HAタグの導入を計画していた。本研究で扱うFOXM1やMuvB (Lin9/37/52/54) は細胞周期を駆動する遺伝子発現調節機構のコアと言える転写因子であり、体細胞分裂ではE2F4/5、Rbファミリータンパク、B-MYBといった他の重要な転写因子と共役している。したがって、FOXM1やMuvB因子へのタグの導入が転写因子としての機能や他の転写因子との相互作用を阻害し、細胞周期の撹乱、胚性致死や不妊を呈する可能性が十分に考えられた。これまでにFOXM1-HA-3xFLAGマウスおよびLIN37-HA-mAIDマウスが作出され、これらのノックインホモマウスの生体はバイアブルであり、かつ妊孕性も維持されていることが確認できた。既にFOXM1-HA-3xFLAGマウスを用いた共免疫沈降と質量分析に取り組んでおり、近日中に精母細胞においてFOXM1と相互作用する因子のリストを作成予定である。また減数第一分裂前期に特異的なOsTIR1ドライバーの開発にも取り組んでおり、loss-of-function モデル作出への目処をつけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
減数分裂特異的なFOXM1の相互作用因子同定に向けたFOXM1-HA-3xFLAGマウスを用いて減予備実験を開始している。一般的に転写因子の細胞内での発現量は低いことが知られており、さらにRNA-seqの結果から精母細胞内でFOXM1が発現している時期が減数第一分裂前期の中でも限られる可能性が高いことから、通常の精子形成サイクルが回っている精巣サンプルから同定される候補因子数が少ないことが予想される。その場合には薬剤を用いて精巣内の減数分裂を同期させ、FOXM1を発現した精母細胞を効率的に集めることで解決を図る。候補因子リスト作成後は減数分裂特異的な発現を示す因子や局在をもとに減数分裂制御に重要な因子の特定を行う。 本研究ではFOXM1やMuvB因子を標的としたChIP-seqやCut&Runを計画している。これらのアプローチには特異性の高い抗体が必須であり、既にLIN9/37について市販の抗体を確保することができた。また精母細胞においてLIN54に代わり MuvB複合体を形成する精巣特異的因子TESMINに対する自家製抗体の開発に成功した。一方でLIN52やFOXM1についてはマウスサンプルに有効な市販抗体の入手が困難であることが分かり、現在自家製抗体の開発を進めている。既に複数の動物種による抗体作成を試みたが有効な抗体の開発には至っていない。現在もマウスを用いて抗体作成を継続しているが、抗体作成が困難な場合は免疫する動物種の追加や免疫に用いる抗原断片の再検討を行う。 減数第一分裂前期に特異的なCreドライバーの新規開発ではドライバー候補遺伝子下流へのCreノックインや自己切断ペプチドの挿入、ドライバー遺伝子とCreとの置換などを複数の方法を試している。効率的に遺伝子ノックアウトを誘導できるマウスモデルの作出後は直ちに目的因子の機能解析に取り掛かる。
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