Project/Area Number |
23K05656
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43020:Structural biochemistry-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
齊藤 恭紀 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 助教 (10808786)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 穀物 / 膜タンパク質 / ケイ酸 / 輸送体 / 構造解析 |
Outline of Research at the Start |
ケイ素はイネをはじめとする穀物の生育や生産性に大きく関わっている。イネは根から土壌中のケイ酸を吸収し、それを利用することで様々な環境ストレスへの抵抗性を得ている。イネの根におけるケイ酸吸収はケイ酸チャネルLsi1とケイ酸排出輸送体Lsi2が担っている。Lsi1のケイ酸透過機構は申請者らによって詳細に理解できるようになってきたが、Lsi2の構造研究はほとんど進んでいない。Lsi2の構造研究を通じたケイ酸輸送機構の理解は学術的にも農業応用的にも極めて重要である。 本研究ではX線結晶構造解析及びまたは単粒子構造解析によって穀物由来のLsi2の構造を解明し、ケイ酸輸送の分子基盤を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
ケイ素は土壌中に豊富に含まれる植物の有益元素であり、ケイ素を良く吸収するイネ科植物においてその有益性は顕著である。イネ等の穀物はケイ素を土壌中から取り込み、生物的・非生物的ストレスに対して耐性を獲得しているので、ケイ素を取り込む仕組みの理解は穀物の頑健性や生産性の向上に大きく寄与すると期待されている。穀物におけるケイ素の取り込みは、根の外皮細胞及び内皮細胞の細胞膜上に発現しているケイ酸チャネルとケイ酸排出輸送体が協同して土壌中のケイ酸を取り込むことから始まる。これらの膜タンパク質はケイ素の他にヒ素も亜ヒ酸の形で輸送するので、食料の安全性の観点から輸送基質の選択性を改変することが期待されている。そのためには、これらの膜タンパク質の構造を詳細に知る必要がある。これまでに研究代表者はイネのケイ酸チャネルの構造を1.8 Å分解能で解明し、詳細なケイ酸透過機構の一端を明らかにしてきた。しかしながら、ケイ酸排出輸送体の構造は未知であり、その輸送機構の詳細は全く分かっていない。本研究課題の目的は、穀物由来のケイ酸排出輸送体の構造解析を成し遂げ、ケイ酸チャネルの構造の知見と合わせて穀物のケイ酸・亜ヒ酸の輸送機構を原子レベルで理解できるようにすることである。 本年度では、4種類の穀物由来のケイ酸排出輸送体のホモログを精製し、それらの輸送体の生化学的特性を明らかにした。その結果、ケイ酸排出輸送体はホモログによって二量体や三量体で安定していることが分かった。それらを脂質膜中に再構成した状態で精製する条件を検討した。精製したケイ酸排出輸送体をクライオ電子顕微鏡で観察して単粒子像を得た。観察に適したグリッド条件の検討も行ったが、明瞭な平均像を得られなかった。その原因としてケイ酸排出輸送体のサイズが小さく、特徴的な細胞外領域を持たないことが原因ではないかと考え、構造認識抗体の作製を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、初年度にケイ酸排出輸送体の構造認識抗体の取得、結晶化、クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子構造解析のグリッド条件の探索を計画していた。 本年度では、ケイ酸排出輸送体の構造認識抗体を作製するため、ケイ酸排出輸送体を大量に精製してマウスに免疫したが、良質な構造認識抗体は得られなかった。そのため、マウスの免疫系を用いて構造認識抗体を作製することとは別に、試験管内で抗体を作製する方法を新たに取り入れ、抗体作製を進めている。ケイ酸排出輸送体の結晶化コンストラクトの改良を行い、結晶パッキングを改善させようと試みたが、まだ結晶パッキングは改善しておらず、さらなる試行錯誤が必要である。クライオ電子顕微鏡観察に用いるグリッド条件の探索は行い、観察に適した条件を把握することが出来た。 以上の結果を鑑みて、現在の進捗状況はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに、数種類の穀物のケイ酸排出輸送体の精製に成功し、その生化学的特性を明らかにして構造解析に適したホモログを選別することが出来ている。しかしながら、ケイ酸排出輸送体が小さく、膜外領域が少ないために構造解析を困難にしている。それを克服するため、マウスを用いて構造認識抗体の作製を進めてきたが、有望な構造認識抗体が得られないでいる。今後は、試験管内で抗体を作製する新たな技術を使ってケイ酸排出輸送体の構造解析を目指す。
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