Project/Area Number |
23K05668
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43020:Structural biochemistry-related
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
高橋 栄夫 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 教授 (60265717)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 溶液NMR / 膜タンパク質 / 核磁気共鳴法 / 光照射 |
Outline of Research at the Start |
本申請研究は、光照射で活性化した光駆動膜タンパク質ロドプシンの溶液NMR解析により、光反応中間体の動的構造情報を取得し、機能発現との関わりを解明することを目的とする。これら中間体を安定化/不安定化させるアミノ酸残基の置換体作製およびその機能・構造解析より、中間体構造についての検証を行うとともに、その情報を活用し機能向上・制御した改変型ロドプシンの創製も目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
R.xylanophilus由来の光駆動プロトンポンプRxRを対象として、独自に確立した方法により調製した三重安定同位体(2H,13C,15N)標識試料を用い、基底状態におけるRxRの主鎖アミド基由来シグナルの帰属を進めた。重水素デカップリング/TROSY検出/非線形サンプリング等を組み合わせた三次元多重核共鳴測定法を活用することで、回転相関時間が30nsを超える分子量でありながら、今後のNMR解析の基盤となる主鎖アミド基由来のNMRシグナルの90%程度の帰属を完了した。帰属をもとに行った緩和分散解析およびH/D交換実験より、RxRは基底状態では剛直な構造をとると考えられた。 次に、光反応中間体の検出に必要な光照射NMRの条件検討を行った結果、適切な光照射条件では、分光学的に同定されているO中間体が検出できることが明らかとなった。一方で光照射状態では基底状態およびその他の中間体状態との間の動的平衡状態となることで、NMRシグナルが広幅化することも判明した。この問題については、データ取得期直前で光照射を停止することで軽減されることが明らかとなったが、さらに安定に光反応中間体の解析を行うために、光反応サイクルが変調する部位特異変異体を活用することを試みた。最初の試みとして、先行研究によりM中間体の寿命が顕著に長くなることが知られているD85N変異体を用いることとした。本変異体の光照射NMR測定を実施したところ、基底状態とは全く異なる、M中間体由来と考えられる明瞭なスペクトルを得ることに成功した。 今年度の研究の過程で、光照射NMRによる光反応中間体の検出、およびそのキャラクタリゼーションに関する論文をまとめた(Suzuki et al., JACS (2023))。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光駆動膜タンパク質RxRのNMR解析の基盤となる、主鎖アミド基由来のNMRシグナル帰属が進んだことから、全残基レベルでのNMR解析を実施するうえでの基盤が整った。GPCRを含む七回膜貫通型タンパク質で全残基レベルのNMR解析が実施されている例は数例しかなく、複雑な膜タンパク質制御機構を理解するうえで重要な足がかりとなる。 また、適切な光照射条件を検討し、顕著な温度上昇もなく光活性化状態のRxRのNMRシグナルが検出できるようになった。その一方で、光照射状態では、基底状態と中間体状態の動的交換が激しくなり、NMRシグナルが広幅化する問題が生じた。これに対し、光反応中間体の寿命を延長させる変異体を活用することで中間体状態を安定に解析できることが判明した。次年度以降、これらの解析を進めるとともに、他の中間体構造を安定化させる変異体の検討も行う。
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Strategy for Future Research Activity |
光照射状態の変異体のNMR解析を進めるうえでは、変異体のNMRシグナル帰属および光照射状態のNMRシグナル帰属が必要となる。特に後者の光照射状態の帰属は基底状態と同様の帰属アプローチでは長期にわたり光照射を行うことになるため安定な光照射が実現できるか不確実なところがある。これに対し、光非照射状態と照射状態をパルスシークエンス上で切り替える、交換系NMR測定を開拓することで、問題を克服できると考えている。
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