Project/Area Number |
23K05670
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43020:Structural biochemistry-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
村木 則文 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (20723828)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | ヒドロゲナーゼ / 金属酵素 / 複合体構造 / 結晶構造解析 / クライオ電子顕微鏡 |
Outline of Research at the Start |
NiFe型ヒドロゲナーゼは水素からプロトンと電子を生成する反応を可逆的に触媒する有用な金属酵素である。このような反応には酵素に含まれる金属錯体が寄与している。本研究では、NiFe型ヒドロゲナーゼがもつ金属錯体が作られる仕組みの解明を目指している。研究代表者はこの錯体に必須の一酸化炭素を生合成する酵素HypXの構造を世界にさきがけて発表した。本研究では、一酸化炭素が金属クラスターに組み込まれる仕組みの解明と金属クラスター形成に関わる未知タンパク質の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
NiFe型ヒドロゲナーゼは分子状水素の酸化を可逆的に触媒する金属酵素である。本酵素の活性中心には金属錯体があり、ヒドロゲナーゼに金属錯体が生合成されて組み込まれる過程は成熟化と呼ばれている。これまでに、研究代表者はNiFe型ヒドロゲナーゼの成熟化において一酸化炭素を生合成する酵素HypXや、錯体生合成の足場として一酸化炭素を受け取るタンパク質HypC, HypDの結晶構造を決定した。しかし、これらのタンパク質が互いにどのように協調して機能するかは明らかにできていなかった。 2023年度、HypC, HypD, HypXの3者で形成された複合体(HypCDX複合体)のクライオ電子顕微鏡単粒子解析に成功した。HypCDX複合体は結晶化が困難であったため、質量分析や小角散乱による構造解析を試みていたが、複合体を構成する分子のおおよその立体的配置はわかったものの、原子レベルで構造を議論するには至らなかった。今回得られたHypCDX複合体構造はこれまでの実験結果と一致するとともに、3.2Å分解能という近原子分解能の実験構造であり、予測できなかった知見を得ることができた。HypXとHypDの相互作用面には疎水性コアが形成されている一方で、同じく相互作用面を形成すると思われたHypXのC末端tail領域がHypDに近接することでdisorderしていることがわかった。また、HypCDX複合体を構成するHypDの構造をHypD単体の結晶構造と比較したところ、複合体形成に伴って構造変化している領域が見出された。現在、これらの構造的差異の原因と生化学的意義について考察している。最終的には、HypXからHypC/Dへの一酸化炭素輸送機構および金属クラスターへの組み込み機構の解明を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の第一目標であるHypCDX複合体の構造解析を初年度で達成することができた。これは非常に大きな成果である。当初の予定では、次の目標はHypCDXとHypEから構成された4者複合体構造解析であった。しかし、予想と反してHypCDXとHypEが安定な複合体を形成しないことがわかった。そこで、HypCDとHypEの複合体の調製を試みたが複合体を得ることはできなかった。HypCDE複合体はこれまでにも複数の生物種で報告があり、古細菌では結晶構造も報告されている。本系において、HypCDE複合体を形成できない原因について究明中である。 また、NiFe型ヒドロゲナーゼの金属クラスター生合成に関わる未同定の成熟化因子の探索をすすめている。これまでの知見から、ほとんどの成熟化因子が過渡的な複合体を形成することで物質輸送することがわかっている。そこで、既知の成熟化因子をbaitとして未同定因子の検出を試みたが、baitとなるタンパク質がおよそ半日で凝集・変性したため、困難となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、HypCDX複合体の構造機能解析について学会発表および論文発表をおこなう。 第二に、研究環境の整備が挙げられる。研究代表者は一昨年度の途中から現所属に移ったため、いくつかの試料について問題解決が必要な状況になっている。特に、精製後に沈殿を生じる不安定な試料の対策が急務である。また、NiFe型ヒドロゲナーゼの金属クラスター生合成に関わる未同定の成熟化因子の探索には、実際にバクテリアを用いた嫌気実験系が必要とある。次年度内に研究環境を整備したい。 既知の成熟化因子を利用して新規な成熟化因子を検出する方法については代替策を講じている。既存のデータベースを基にin silicoで成熟化因子を探索しており、すでにいくつかの候補が得られている。今後はこれら候補タンパク質を欠損した大腸菌株を入手して、新規な成熟化因子を特定したい。
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