Project/Area Number |
23K05689
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43030:Functional biochemistry-related
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
深津 理乃 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, 研究員 (70600419)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | RNA-DNAハイブリッド / 複製 / 転写 / プラスミド / 安定DNA複製 / DNAポリメラーゼI / G4構造 / R-loop |
Outline of Research at the Start |
ヒトのゲノム複製は染色体上の何万カ所にも及ぶ部位から開始するのに対し、原核生物の複製は、通常DnaA-oriC複製系によりゲノム上の1カ所から効率よく開始される。しかし、大腸菌ではRNA-DNAハイブリッド/R-loop(RNH-RL)に依存すると考えられるDnaAに依存しない第二の染色体複製系が存在する。この複製系は塩基配列に強く依存しない、生物種を問わず保存された普遍的な複製系である可能性を持つ。 本研究では大腸菌plasmid DNAのRNH-RL依存性複製系をモデルに用いて、転写により形成されるRNH-RLによる複製開始のメカニズムを解明し、その普遍性を真核細胞を用いて検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
原核生物の複製は通常、DnaA-oriC依存的に効率よく開始される。しかし、大腸菌ではDnaAに依存しない第二の染色体複製システムの存在が知られており、特にRNaseHの非存在下では効率よく観察され、細胞の増殖を維持できる。本研究では、大腸菌のプラスミドDNAのRNA-DNAハイブリッド/R-loop依存性複製系をモデルに用いて、転写により形成されるRNA-DNAハイブリッド/R-loopによる複製開始のメカニズムの解明を試みた。 最も単純な複製システム、すなわちRNaseH変異体で特異的な複製を行うことが知られている大腸菌を宿主とするColE1型のpBR322プラスミドや、origin非依存的な複製をすることを新たに発見したpSC101プラスミドを用いた独自の解析システムを使用して、人工的に合成したT7 promoter-G4形成配列ユニットを用いてT7 promoterより転写されるRNA-DNAハイブリッド依存的なDNA合成をin vitro , in vivo両方で観察した。この合成産物を解析することにより、プライマーRNAの合成部位とDNA合成開始点のおおよその位置を特定した。また、この解析システムによるDNA合成はプラスミド全体に及ぶことを発見し、全体を複製し得ることも確認した。 大腸菌のRNaseH非存在下で起きる構成的安定DNA複製(cSDR)にはDNAポリメラーゼIの活性が必要であることは以前に報告されている。そこで、大腸菌KH5402-1にpolA欠損体を作製し、転写誘導性DNA複製に対するその必要性を調べた。報告されているように、KH5402-1 polA欠損株抽出液中でSDR依存的な増殖は障害されていた。T7pro-G4の複製はpolA,rnhA両欠損細胞抽出液中で弱くDNA合成できたがDNAポリメラーゼIには依存しないことを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
転写誘導的な複製をin vitro,in vivo両方で観察することができた。また、そのDNA合成開始点はG4構造の下流70bpの場所でDNA合成開始の主要な部位と考えられるが、G4構造の中央からこの場所まで、複数の箇所でRNAからDNAへと移行していることが明らかとなった。この複製ではプラスミド全体を複製していることも確認した。 これらの解析から、DnaA-oriCに依存しない複製様式でこれまで知られていた安定DNA複製(SDR)の他に、転写依存的に人為的に複製を誘導できることが示された。また、SDRで必要とされているDNAポリメラーゼIの関与について、転写誘導性DNA複製においてはDNAポリメラーゼIが必須ではない可能性を発見した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果を基に、 (1)転写依存的複製を生化学的に解析する。 (2)転写+RNA-DNAハイブリッド依存的なDNA複製を精製タンパク質を用いて再構築し、ColEIプラスミドやpSC101プラスミドの複製能を測定する。 (3)G4の複製開始における種を超えた普遍的意義を解明するため、生物固有の誘導型転写プロモーターの下流にG4形成配列を導入し複製ユニットを構築する。これまでの大腸菌とは別に、酵母と動物細胞において[転写promoter-G4形成配列]の人工複製レプリコンの複製能を検証し、転写/RNA-DNAハイブリッド/R-loop依存的な複製の真核細胞での普遍性を明らかにする。またこれらの生物で結論が出ない場合には、古細菌や植物などの他の生物種でも同様の方法で検討する。 (4)RNaseHの抑制、RNaseHの増産やG4リガンドの添加などの複製への影響、G4/RNA-DNAハイブリッド/R-loop形成の検証を行う。
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