Project/Area Number |
23K05697
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43030:Functional biochemistry-related
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
茂谷 康 徳島大学, 先端酵素学研究所, 准教授 (70609049)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | STING / ACBD3 / オルガネラコンタクト / 細胞内輸送 |
Outline of Research at the Start |
小胞体に局在するSTINGはゴルジ体に運ばれることで自然免疫・炎症シグナルを活性化するが、そのオルガネラ間の輸送機構は不明である。本研究では、独自に見出したオルガネラコンタクト分子ACBD3に着目し、STINGとACBD3の相互作用動態やACBD3陽性小胞体-ゴルジ体コンタクトサイトの空間特性をライブセルイメージングや空間プロテオーム解析によって解明する。この研究により、細胞内輸送の新しい原理の発見や、STING経路の破綻に起因する炎症性疾患の病態理解と制御法の確立につながることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
小胞体膜タンパク質STINGは、細胞質DNAに応答して活性化するとゴルジ体へ移行し、自然免疫シグナルを誘導する。これまでに私は、STINGの輸送を制御する新規分子ACBD3を同定した。そこでACBD3を介したSTINGの輸送機構を明らかにするため、超解像ライブセルイメージングを行った。その結果、STINGが活性化に応じてゴルジ体タンパク質ACBD3と相互作用することで小胞体とゴルジ体の膜接触領域に集積し、その後ゴルジ体へ移行することを示した。一方、ACBD3欠損細胞を作製して解析した結果、ゴルジ体への移行は遅延するが完全には抑制されないことがわかった。このことから、ACBD3に依存しない別のSTING輸送経路が存在する可能性が示唆された。そこでACBD3が欠損した場合、活性化したSTINGはどのようにゴルジ体へと移動するのかを解析した。小胞体からゴルジ体への輸送は極めて高速に起こるため、その動きを正確に捉えることは困難である。そこで、brefeldin A (BFA)と呼ばれる阻害剤の投与により、活性化したSTINGが小胞体から脱出できない状態を人工的に作り出し、高解像共焦点顕微鏡を用いてその様子を可視化した。その結果、活性化したSTINGはACBD3が無い場合においては、小胞体膜上の特定の領域に集積することを見出した。一般的に、小胞体からゴルジ体へ輸送されるタンパク質は、小胞体出芽部位 (ER exit sites: ERES)と呼ばれる小胞体膜領域に一旦集められ、ゴルジ体へ運ばれることが知られている。今回見出したSTINGの集積領域がERESであるのか、小胞体-ゴルジ体接触領域であるのか、現在さらなる解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
小胞体とゴルジ体の膜接触領域におけるSTINGとACBD3のライブセルイメージングを行うことで、両者のおおまかな相互作用動態を追うことはできたが、どのようにしてゴルジ体膜側へ移っているのかなどの微細な現象を捉えることができていない。これは小胞体とゴルジ体間の空間が非常に狭く、当初予定していたイメージングの手法では空間分解に限界があるためだと考えられる。したがって空間分解能をさらに高める工夫をして解析する必要がある。また、STINGに蛍光タンパク質を融合してそれを過剰発現すると、小胞体からゴルジ体への移行速度が低下することが判明した。本来の分子の動きを忠実に再現するためには、融合する蛍光タンパク質の種類や融合する位置、発現レベルなどを考慮して解析し直すことが必要であると考えている。以上のことから本研究の進捗状況はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.近年開発された膨張顕微鏡法は、観察試料を固定・架橋後にゲル化して膨潤させることにより、特別な顕微鏡を用いることなく分解能を高めることができる画期的な手法である。したがって今後はこの膨張顕微鏡法と超解像顕微鏡を組み合わせて観察することにより、これまで小胞体-ゴルジ体接触領域内においてSTINGとACBD3が点状に重なってみえていただけのものが、より微細な構造体として可視化できるのではないかと考えている。 2.ライブセルイメージングにおいてはSTINGやACBD3の動きを正確に捉えるため、最適な蛍光タンパク質を選ぶとともに、蛍光タグタンパク質を目的の遺伝子座にノックインして内在レベルで発現させる方法を試みる。 3.近接ビオチン標識法を用いてACBD3非依存的にSTINGが小胞体から脱出する領域を特定する。
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