Project/Area Number |
23K05703
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43030:Functional biochemistry-related
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
博多 義之 近畿大学, 医学部, 講師 (30344500)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | ウイルスRNA / APOBEC3 / RNA分解経路 / RNAエキソソーム複合体 / XRN1 / CRM1 / NXF1 / RNA分解 / 抗ウイルス遺伝子 / 感染抵抗性 / レトロウイルス |
Outline of Research at the Start |
宿主細胞が持つ数多くの抗ウイルス遺伝子産物は様々な分子機構を駆使してウイルスの複製を抑制している。再興・新興ウイルスの脅威に備えるためにはこれら抗ウイルス遺伝子産物の機能を体系的に理解する必要がある。これまでに私は、ウイルス複製におけるAPOBEC3(A3)タンパク質(抗ウイルス遺伝子産物の一つ)の機能を解明してきた。現在、A3がウイルスRNAの分解を特異的に促進するというこれまでに報告のない独自の機能を発見している。本研究では、分子生物学的・生化学的方法を駆使して、A3が制御するRNA分解装置の分子実体を解明し、当該機構が細胞レベルでどの程度ウイルス感染を抑制するのかについて明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
APOBEC3(A3)は、デアミナーゼ活性をもち、ウイルス複製の複数の過程を酵素活性依存的または非依存的に阻害する自然免疫の担当分子である。本研究は、A3が酵素活性非依存的にレトロウイルスRNAを分解に導くとの独自の観察に端を発しており、「A3が制御するRNA分解装置の分子実体」を解明することを目的としている。 細胞内ではRNAエキソソーム複合体やXRN1がRNA分解の中心的な役割を担っている。今回は、これらのmA3依存的RNA分解制御への関与を検討した。RNAエキソソーム複合体の構成因子またはXRN1をsiRNAでノックダウンした細胞を使用してA3s(mA3、hA3G、およびhA3F)によるウイルスRNAの減少をRT-qPCR法により調べたところ、検討した条件下では、依然A3sに依存したウイルスRNA量の減少が確認された。この結果からRNAエキソソーム複合体とXRN1はA3s依存的なウイルスRNAの減少に直接的には関与しないことが示唆された。 マウスレトロウイルス(MLV)のウイルスRNAゲノムはCRM1を介して核外輸送されると報告されている。核外輸送経路がA3依存的なウイルスRNA減少に関与する可能性を考え、CRM1とA3sとの結合を免疫沈降(IP)法により調べたが、結合は検出されなかった。一方、CRM1とは別のexportinであり、MLVのmRNAを核外輸送する可能性が示唆されているNXF1核外経路の因子とA3sとの結合がIP法により示唆された。 R6年度は当初の計画を進めるとともに、核外輸送経路に関与する因子を含めつつ、様々なRNA分解経路の主要因子を欠損させるなどした細胞で同様の実験を遂行し、A3が制御するRNA分解装置の実体にせまる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究申請段階において、「A3が制御するRNA分解装置の分子実体を解明する」という研究目的に向かうため3つの目標を掲げた。その1つの目標については、R6年度以降の予定実験を含む大部分の内容をR5年度中に達成することができた。これは研究期間全体を通して計画した内容のおよそ1/3程度であり、これまでのところ「おおむね順調に進展している」と考えられる。また、他の目標(ウイルスRNA分解に寄与するRNA側の責任領域の同定やマウス感染実験系など)については現在予備実験を行っている段階であり、R6年度以降引き続き完遂に向けて尽力し進展させる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
核内での転写後にサイトゾルへ移行したRNAの運命決定(細胞内局在、翻訳効率など)に核外輸送経路が影響することが知られている。R5年度を通して、A3依存的なウイルスRNA分解制御への核外輸送経路の関与を示唆する結果を得たが、示唆された輸送経路は当初の予想に反するものであった。MLVのウイルスRNAには、ウイルスゲノムRNAやスプライシングパターンの異なるウイルスmRNAなど、複数種あり、核外輸送経路はRNA種により異なるとされる。これまでに得ているA3と核外輸送関連因子との相互作用の解析結果から、分解の標的となるウイルスRNA種の検討をあらためて詳細に行う必要性が生じている。ウイルスRNA種の特定は、当初から計画しているA3依存的なウイルスRNA分解に必要とされるウイルスRNAの責任配列の決定にも大きく寄与する。また、RNAエキソソーム複合体やXRN1のはたらきが主として関与しないRNA分解経路について、その主要因子を欠損させるなどした細胞を用いて、A3が制御するRNA分解装置の実体を追求する。さらに、研究計画の通り、継代維持中のA3KOマウスとFLAG-mA3ノックインマウスを使用した感染実験系での解析を行うことで、A3依存的なウイルスRNA分解制御の生理的な意義を確認するとともに、in vitro実験系での結果を別の方法により追試、補完したい。
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