タンパク質により生み出されるヘムの多機能性の起源の解明
Project/Area Number |
23K05707
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43040:Biophysics-related
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
近藤 寛子 北見工業大学, 工学部, 助教 (60700028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷹野 優 広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (30403017)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
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Keywords | ヘムタンパク質 / 分子力場 / データベース / 構造機能相関 / 機械学習 / 分子シミュレーション |
Outline of Research at the Start |
ヘムタンパク質には,ヘムが活性中心として働き酸素運搬や化学反応触媒を担うもの,ヘムをリガンドとして結合することで自身の活性を調節するもの,ヘムを結合することで鉄を貯蔵するものなど様々なタンパク質が存在する.個々のヘムタンパク質についての研究は数多く存在するが,ヘムの機能制御メカニズムの解明には至っていない.そこで本申請では,タンパク質がヘムの多機能性を生み出すメカニズムの解明を目的とし,ヘム結合部位の立体構造および動態とタンパク質機能の相関を解析する.
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Outline of Annual Research Achievements |
ヘムタンパク質はヘムを結合するタンパク質の総称であり,様々な生命機能を担っている.タンパク質によってヘムの機能が制御されるメカニズムの解明は,タンパク質の機能デザインにもつながる重要な課題である.構造既知のヘムタンパク質を対象とした網羅解析の結果からは,フォールド(立体構造)も機能も非常に多様であることがわかっている.本申請では,タンパク質がヘムの多機能性を生み出すメカニズムの解明を目的とし,ヘム結合部位の立体構造および動態とタンパク質機能の相関を明らかにする.データ科学と計算科学の双方を用いて,多様なヘムタンパク質を包括的に解析することで,タンパク質機能に重要な特徴量を抽出するとともに,その物理的な根拠を解明することを目指す. 2023年度は,計算科学およびデータ科学によるヘムタンパク質研究を推進するための基盤整備を進めた.まず,分子動力学計算を用いてタンパク質動態の解析を行うための汎用性の高いヘムの力場の開発を目的として,ヘムの分子力場がタンパク質およびヘムの動態に与える影響の解析を行った.解析対象は,2つのヒスチジン(HIS)を軸配位子とするヘムbとした.解析の結果から,ヘムの力場パラメータがタンパク質動態に与える影響は小さいことが示唆された.ヘムの分子構造(実験構造)をある程度再現することにも成功しており,現在論文執筆を進めている.また,機械学習および分子シミュレーションのためのヘムタンパク質構造データベースの構築も進めており,2024年度中の公開を目指している.作成したヘムの力場パラメータの公開も検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請研究で実施を予定している課題は以下の3つである: [課題1]ヘム結合部位の構造的特徴,プロピオン酸の配向との相関の解明,「課題2]ヘムの汎用力場の開発,[課題3]タンパク質機能に関わるヘム結合部位の動的特性の解明 課題2については,ヘムbを対象に,軸配位子ごとに力場パラメータを作成する予定である.軸配位子としては,存在割合の多いHIS-HIS, HIS, システイン(CYS)を対象とし,3種類の力場パラメータの開発を目指す.現時点で,ヘムの力場パラメータがタンパク質およびヘムの動態に与える影響の解析および,HIS-HIS力場の開発が完了しており,HIS,CYSについても同様に進められる見込みである. 課題1と課題3では,機械学習および分子シミュレーションで使用するタンパク質構造が必要になる.Protein Data Bank (PDB)に登録されている構造は生物学的単位とは異なっている場合や欠損が見られる場合,構造解析のための非標準アミノ酸を含む場合などがあり,そのまま構造を利用することができない.この問題を解決するために,生物学的単位を事前に計算し,欠損や非標準アミノ酸部分を補完した構造データの作成を行った.これと上記のヘム力場の開発により,課題1と課題3の基盤整備が整ったといえる.課題1のプロピオン酸の配向の解析は完了しており,現在は整備した構造データをもとにタンパク質ポケットとの相互作用の解析を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
下記の課題1から3について,今後の推進方策について記述する. [課題1]ヘム結合部位の構造的特徴,プロピオン酸の配向との相関の解明,[課題2]ヘムの汎用力場の開発,[課題3]タンパク質機能に関わるヘム結合部位の動的特性の解明 課題1のヘム結合部位の構造的特徴の解析については,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)による構造機能相関を解析をもとに行う予定である.ヘム結合部位の立体構造からタンパク質機能(酸素結合・酸化還元反応触媒・電子伝達)を高精度に予測することには成功しているが,今後は入力の作成方法を変更し,並進回転によらないデータを作成したいと考えている.プロピオン酸の影響の解析については,整備したタンパク質構造データをもとにタンパク質ポケットとの相互作用の解析を進める. 課題2については,HISまたはCYSを軸配位子とするヘムbの力場開発を行う.2025年度には,ヘムの力場作成用のアプリケーションの実装も進める予定である. 課題3については,課題1, 2がある程度終了次第,タンパク質を機能ごとに分類するなどして分子動力学シミュレーションによる解析を実施する予定である.
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)