Project/Area Number |
23K05723
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43040:Biophysics-related
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
八木 俊樹 県立広島大学, 生物資源科学部, 教授 (40292833)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | ダイニン / 繊毛 / 微小管 / 変異株 |
Outline of Research at the Start |
繊毛運動の基礎はモータータンパク質・ダイニンによる微小管の滑り運動である。繊毛に存在する内腕ダイニン,外腕ダイニンは協調して 最速 100 Hz にも及ぶ波動運動を生み出す。7000 分子を越えるこれらダイニンがどうやって高速に ON/OFF スイッチされ,波動が生み出されるのかはよくわかっていない。繊毛の内腕,外腕ダイニン分子間には3種のブリッジ構造が観察されており,それらはダイニン間の活性を制御すると考えられている。本研究では,ダイニン変異株を用いて,外腕間に存在するブリッジの実態と機能を調べ,繊毛運動の制御に重要なダイニン間の協同的スイッチング機構を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
繊毛の高速振動運動の発生には,繊毛内に存在する多数の外腕ダイニン分子の協同的な on-off スイッチ機構の存在が重要である。しかし,その実態はよくわかっていない。私たちは,これまでに,緑藻クラミドモナスのダイニン変異株を用いた研究から,この高速スイッチ機構は,外腕を構成する3つのサブユニット(重鎖,中間鎖,軽鎖)のうち中間鎖に含まれる可能性を示していた。 本年度は,このスイッチ機構の実態を明らかにするするために2つの実験を行った。1)運動性が低下した外腕ダイニン中間鎖の点変異株の復帰株を単離し,その原因遺伝子を決定した。これまでに,この点変異により,外腕ダイニン分子の構造に異常はないものの,細胞の遊泳速度が野生型の約60%に低下した株を単離していた。この株の遊泳速度を野生株並みに復帰させる変異株を新たに単離し,それが,外腕ダイニン重鎖(α,β,γの3種が存在)のγ鎖に点変異を持つことを明らかにした。2)野生型ダイニンおよびこの中間鎖変異型ダイニンの微小管結合性の違いを電子顕微鏡により構造解析した。その結果,変異型ダイニンは野生型ダイニンに比べて微小管に結合しにくくなることと,変異型ダイニンは分子同士が密に並ばない傾向があることがわかった。一方,最近のクライオ電子顕微鏡構造解析の結果から,軸糸微小管上に密に並ぶダイニン分子の構造が明らかとなっている。それによると,隣り合うダイニン分子はその尾部と隣の分子の頭部が接触しており,ダイニン尾部に結合する中間鎖の新規変異はちょうど隣のダイニン分子の頭部β鎖およびγ鎖の近傍にあることが観察された。このことと本年度に得られた結果を合わせて考えると,中間鎖IC2 が隣接分子の頭部γ鎖と相互作用することにより,多数のダイニン間のモーター活性のON-OFFスイッチとして働く可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,遺伝学的,分子生物学的な実験を進めるとともに,電子顕微鏡を用いたダイニンの構造解析実験も行った。これら2つの実験から,ダイニン中間鎖サブユニットがダイニンの協同的なスイッチ機構のハブとして働くという当初の仮説を支持する実験結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究から,中間鎖の点変異はダイニン分子間の相互作用を乱している可能性が考えられた。そこで,R6年度以降は,この変異が軸糸上のダイニンにどのような影響を与えるのかその実態を解明したい。具体的には,軸糸レベルでX線構造解析を行い,軸糸微小管上のダイニン分子の配列が中間鎖の変異により変化しないか調べたい。 また,最近,クライオ電子顕微鏡構造解析により,軸糸微小管に並ぶダイニン分子間の相互作用に中間鎖のどのアミノ酸が寄与するか,その予測が可能となった。そこで,この構造情報を元に中間鎖のアミノ酸に変異を導入して,ダイニン分子間のスイッチ機構に関わるアミノ酸をマッピングする実験も行いたい。
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