Project/Area Number |
23K05771
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44010:Cell biology-related
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
杉浦 歩 順天堂大学, 大学院医学研究科, 講師 (70784974)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | ミトコンドリア由来小胞 / ミトコンドリア / ペルオキシソーム |
Outline of Research at the Start |
ペルオキシソームとミトコンドリアは細胞内代謝の中心的オルガネラで、様々な機能や機能調節因子を共有しているが、その意義や分子機構は明らかになっていない。本研究課題では、両オルガネラ間を繋ぐミトコンドリア由来小胞(MDVs)を解析する。MDVsには少なくとも2種類の経路が存在し、一つはミトコンドリアからペルオキシソーム前駆小胞が新生されるde novo合成、もう一つは既存のペルオキシソームへの輸送である。哺乳類培養細胞を用いてMDVsの制御因子やカーゴを同定し、その実態を明らかにすることにより、ペルオキシソームとミトコンドリアの相互制御機構とその意義を解明することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアとペルオキシソーム間を輸送されるMDVs(mitochondrial-derived vesicles,ミトコンドリア由来小胞)は少なくとも2つの経路が存在するが、当該年度は主にペルオキシソームde novo合成に関するMDVsを対象として、形成や放出に関わる制御因子やカーゴの同定を試みた。予備的な網羅的解析により同定されていたMDVs膜タンパク質の結合タンパク質について細胞内局在を確認した。候補因子の蛍光タンパク質融合型発現ベクターを遺伝子導入し、ミトコンドリア・ペルオキシソーム間のMDVs誘導下で免疫蛍光染色を行なったところ、候補因子の一つについてミトコンドリア上で形成された小胞様の構造への局在が確認された。この候補因子は成熟したペルオキシソームや野生型の細胞ではペルオキシソームへの局在は観察されなかった。 ペルオキシソームのde novo合成は関連遺伝子をノックアウトした細胞に当該遺伝子を導入することにより誘導できる。この過程において、ペルオキシソーム前駆小胞が起源となる膜構造から形成・放出されるが、哺乳類ではその一部がMDVsとしてミトコンドリアから放出される。ペルオキシソームde novo合成におけるMDVsの多様性あるいは普遍性を調べるために、脊椎動物ではない生物種の培養細胞を用いて、MDVsの解析モデルを構築した。非脊椎動物由来培養細胞に対してCRISPR/Cas9システムを用いてノックアウト細胞を作製した。この細胞はペルオキシソームを消失していたが、当該遺伝子を導入することによりde novo合成が誘導され、再び成熟ペルオキシソームが形成された。これらの初期過程において、当該遺伝子産物の局在等を解析することによりペルオキシソーム前駆小胞とMDVsの関連を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
網羅的解析により得られた候補因子が実際にMDVsに局在することが確認され、これまでの実験系が期待通りに働いていることが確認できた。また、新たに培養を始めた細胞種についても培養、遺伝子導入、遺伝子ノックアウトの実験系が確立され、全体的に概ね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
De novo合成経路に関して予備的な結果より得られた候補因子についての検証実験を引き続き行う。また、もう一つのペルオキシソームへのMDVs経路である既存ペルオキシソームへのMDVsに対しても、膜タンパク質を免疫沈降しプロテオーム解析を行うことにより結合タンパク質の同定を試みる。一部のタンパク質との結合だけでなく、より網羅的なMDVsの特性を決定するためにMDVs自体を生化学的に単離・精製し、プロテオーム解析を行う。同定された候補制御因子に対して遺伝子発現の抑制実験などを行い、MDVsの形成や放出過程における役割の解明を目指す。非脊椎動物培養細胞に関しては、ノックアウトによりペルオキシソームが消失する別の遺伝子を対象としたノックアウト細胞を作製する。当該遺伝子の発現ベクターも作製し、ノックアウト細胞に遺伝子導入することによりde novo合成誘導システムを構築する。同システムを用いて、イメージングによるMDVsの細胞内動態や、免疫沈降等により精製・単離後に網羅的な解析を行い、生化学的な特性を明らかにする。哺乳類細胞で得られた結果と比較解析することにより、MDVsの多様性や普遍性の理解を目指す。
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