Project/Area Number |
23K05792
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44020:Developmental biology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 真弓 京都大学, 医生物学研究所, 特定准教授 (50583457)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 神経幹細胞 / ニューロン分化 / 光作動性Tetシステム / bHLH型転写因子 / 遺伝子発現 / 細胞増殖 / NGS解析 / 振動発現 / 光操作技術 / NGS / 転写因子 / ニューロン |
Outline of Research at the Start |
光作動性Tetシステムを用いて、神経幹細胞において分化運命決定因子Ascl1のダイナミックな発現を人工的に光制御し、神経幹細胞の増殖およびニューロン分化過程におけるAscl1下流遺伝子を探索する。さらに、光操作技術を用いてAscl1やその下流遺伝子の発現を体系的に光操作し、これらの因子がどのように協調的に機能して、細胞増殖やニューロン分化を制御しているのかを明らかにする。さらに、脳組織中においてもニューロン分化運命決定因子群の発現の光照射を試みる。これらの解析は、ヒトの神経変性疾患・神経障害の治療や、再生医学に適応するための新規戦略の開発に繋がると期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
発生中の脳において、神経幹細胞から多種多様なニューロン、アストロサイトやオリゴデンドロサイトなどのグリア細胞が順次生み出され、複雑な脳組織が構築されていく。このような神経幹細胞の細胞増殖・分化過程で、分化運命決定を制御する遺伝子群が振動発現などのダイナミックな発現動態を示すことが明らかになってきており、それらが細胞増殖や分化の正確さやタイミングを制御する重要な役割を担っていることが示唆されている。しかしながら、bHLH型転写因子などの分化運命決定因子の発現動態変化が下流遺伝子の発現変化を導出し、細胞表現型を表出させる分子メカニズムは未だ明らかになっていない。本研究課題では光作動性Tetシステムを用いて、神経幹細胞において、bHLH型転写因子Ascl1のダイナミックな発現パターンを光操作により人工的に創出し、神経幹細胞の増殖およびニューロン分化過程におけるAscl1の下流遺伝子の探索を実施した。RNA-seq解析結果から、Ascl1の振動発現あるいは蓄積発現、または、いずれの発現モードにも応答する遺伝子をそれぞれ抽出した。さらにGene Ontology解析により、これらの遺伝子群の機能を推定した。また、Ascl1振動発現細胞において、同様の振動発現を示す遺伝子の同定を行った。次に、神経幹細胞においてAscl1下流遺伝子を強制発現あるいは発現抑制することにより、細胞増殖やニューロン分化への影響を調べた。また、Ascl1光操作細胞を用いて、ATAC-seq解析を行ったところ、Ascl1下流遺伝子の調整領域におけるクロマチンアクセシビリティーの変化を観察することができた。このような解析を通じて、神経幹細胞の制御メカニズムを明らかにすることにより、脳組織構築メカニズム解明という重要な基礎研究が発展するだけではなく、神経幹細胞を対象とした再生医療の発展が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光作動性Tetシステムを培養神経幹細胞に導入し、光照射かつドキシサイクリンによって、bHLH型転写因子Ascl1の遺伝子発現を制御可能な細胞を樹立した。3時間周期の光照射によりAscl1振動発現を誘導すると神経幹細胞の増殖が促進され、30分周期の光照射によりAscl1蓄積発現を誘導するとニューロン分化が促進された。このような実験系を確立したことで、光照射開始後の様々なタイムポイントにおいて、これらの細胞を回収してRNA-seq解析を実施することができた。細胞増殖あるいはニューロン分化過程において、Ascl1下流遺伝子の探索を行なったところ、既知のAscl1下流遺伝子に加え、多くの新規下流遺伝子を同定することができた。さらに、Ascl1の振動発現あるいは蓄積発現に対する応答性の違いから、Ascl1下流遺伝子をタイプ分けし、タイプ毎のGene Ontology解析や遺伝子ネットワークの推定を行うことができた。また、同様の実験系を用いてATAC-seq解析を実施し、細胞増殖や分化過程におけるAscl1下流遺伝子のクロマチンアクセシビリティーの変化を調べることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では遺伝子発現の光操作システムを用いて、bHLH型転写因子Ascl1のダイナミックな発現変動を人工的に制御し、RNA-seq解析を実施した。RNA-seq解析から、Ascl1下流遺伝子の探索を行った。Ascl1下流遺伝子候補として、転写因子、エピゲノム制御因子、各種の細胞シグナル因子等を同定した。今後は、このようなAscl1下流遺伝子について、詳細な発現解析および機能解析を実施する予定である。さらに、これらの遺伝子のネットワーク解析を実施する。Ascl1下流遺伝子の詳細な発現解析はライブイメージング技術を用いて可視化する。これまでのNGS解析結果から、Ascl1が振動発現する細胞では、その下流遺伝子も振動発現している可能性が高いと考えられる。そこで、Ascl1下流遺伝子の機能解析には、遺伝子発現の光操作技術を用いる。さらに、bHLH型転写因子とその下流遺伝子等の複数の因子の遺伝子発現を同時に制御するために、多色光を用いて体系的に光操作し、これらの因子がどのように協調的に機能して、細胞増殖やニューロン分化のタイミングを制御しているのかを解析する。さらには、オルガノイドや脳組織中においてもニューロン分化運命決定因子群の発現の光照射を試みる。このような解析や光操作技術の開発は、ヒトの神経変性疾患・神経障害の治療や、再生医学に適応するための新規戦略の開発にも繋がると期待される。
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