Project/Area Number |
23K05794
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44020:Developmental biology-related
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
高鳥 直士 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (70404960)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 胚葉運命 / 細胞周期 / 核移動 / 原腸陥入 |
Outline of Research at the Start |
本研究の特色は、ホヤの胚発生において中・内胚葉細胞の細胞系譜が明らかになっていることを活かして、胚葉運命の分離に至る過程を、遺伝子発現・細胞形態・表層張力・細胞周期の制御といった様々な側面から調べ、一つ一つの細胞において統合して、胚葉運命分離に至る因果関係を理解することである。16細胞期で細胞周期のズレを作り出す因子を明らかにし、その局在の原因を1細胞期へと遡って探ることで、受精卵から胚葉運命分離に至る因果関係の連鎖を明らかにすることを目指す。本研究は、力・形態の制御と、発生運命決定に至る因果関係を統合して細胞レベルで理解する端緒の一つとなるであろう。
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Outline of Annual Research Achievements |
胚葉形成は,動物胚発生の重要な初期過程である.中胚葉と内胚葉は中内胚葉細胞から作られる.しかし,中内胚葉細胞の子孫細胞のうち,どれが中胚葉になり,どれが内胚葉になるのか決めている機構の詳細は,多くの動物で不明である.私たちは脊索動物のホヤを材料に,中内胚葉細胞の娘細胞の一方が中胚葉,もう一方が内胚葉になる仕組みを調べている.本年は,核移動の意義を検証する目的でNot mRNAの転写時期と核位置の関係を詳細に調べ,核が中胚葉側に移動すると同時にNot遺伝子の転写産物量が増加し,核が中胚葉側位移動した後も転写が続くことがわかり,今後転写時期の制御の解析が重要であることが示唆された.核移動方向の決定に重要であるPI3Kが原腸陥入に重要であることを見出し,詳細に解析した.従来説では胚全体の形態変化には植物半球のinvaginationが重要であり,動物半球はinvaginationに抵抗しているのみであるとされてきたが,半球単離実験と割球特異的な機能阻害実験により動物半球がPI3K依存的に自律的なepiboly運動を遂行していることを明らかにした.また,動物極付近でPI3K依存的な細胞張力が減少することが重要であること,それがSUMO化に依存していることを示唆する結果が得られた.従来説における動物半球の抵抗の分子的実体を明らかにするとともに,原腸陥入における動物半球と植物半球の細胞運動の関係の理解を一新させる成果であり,今後研究を続行する予定である.Notを含む局在mRNAの局在機構を解析するため,ショウジョウバエ胚で発生関連因子の局在発現に重要であるPumilioファミリー遺伝子のホモログを同定し,その発現パターンと機能の解析を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
wee1に関連してfzh1のクローニング、発現解析、機能解析が順調に進んでおり、細胞周期の制御を介した胚葉運命の決定に関する研究が順調に進んでいる。関連した内容として、原腸陥入時の外胚葉における覆い被せ運動と内胚葉の陥入を統合して制御する仕組みの一端を明らかにしつつあり、動植半球間の発生運命、力学の理解、という当初掲げた目標にむかって予想以上の成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は動物半球におけるPI3Kの発現制御機構を、PI3Kシグナル伝達経路の因子のSUMO化の空間制御に注目して進めていく予定である。このために、SUMO関連因子のクローニングと発現解析を早急に進める。反対に、PI3Kシグナル伝達経路の因子の発現が限局されていることが原因である可能性を考え、p85などの因子の発現と機能の解析を進める。動物半球における覆い被せ運動が植物半球の陥入に貢献するかというのは重要かつ興味深い問題である。従来説では貢献がない、とされてきたが、この点に関して従来説を覆す結果がすでに十分得られている。発表に向けてPI3Kシグナルの下流で働くアクチン細胞骨格制御因子の発現や修飾の解析を進めると同時に割球特異的な機能抑制を行い、より詳細な検証を続ける。
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