Project/Area Number |
23K05799
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44030:Plant molecular biology and physiology-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
尾之内 均 北海道大学, 農学研究院, 教授 (50322839)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 上流ORF / 翻訳制御 / 環境ストレス / 栄養欠乏 / シロイヌナズナ |
Outline of Research at the Start |
植物が環境ストレスに曝されたり栄養欠乏に陥った場合に、タンパク質合成を全般的に抑制してエネルギー消費を抑える必要がある。一方、そのような状況においてもストレスや栄養欠乏に対処するためのタンパク質は合成する必要があり、その機構にmRNAの5'非翻訳領域に存在する上流ORFが関与する可能性が考えられる。本研究では、植物種間で保存された上流ORFの中から、ストレスや栄養欠乏に応答した翻訳制御に関わる上流ORFを探索し、その翻訳制御機構の解明を目指す。また、リボソームタンパク質と似たアミノ酸配列を持ち、ストレスに応答して発現が誘導される「偽リボソームタンパク質」が翻訳制御に関与する可能性を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
1. ストレス応答性uORFと栄養欠乏応答性uORFの探索 植物においてストレスや栄養欠乏に応答した翻訳制御に関与するuORFを探索するために、植物間で保存されたuORFを含む5′非翻訳領域の下流にルシフェラーゼ(LUC)遺伝子をつないだレポーターコンストラクトを作製した。各レポーターコンストラクトをシロイヌナズナのプロトプラストに導入し、ストレス条件や栄養欠乏条件で細胞を培養した後、一過的発現解析を行った。その結果、栄養欠乏に応答してuORF依存的に主要ORFの翻訳が促進される遺伝子を2つ、抑制される遺伝子を1つ見出した。そのうちの翻訳促進がみられた遺伝子はそれぞれの5′非翻訳領域にuORFを1つのみ持つが、翻訳抑制がみられた遺伝子の5′非翻訳領域には2つのuORFが存在する。その2つのuORFのうち少なくとも下流側のuORFが栄養欠乏に応答した翻訳抑制に必要であることを明らかにした。
2. 偽リボソームタンパク質の解析 研究代表者のグループはこれまでに、リボソームタンパク質と似たアミノ酸配列を持ちストレスに応答して発現が誘導される「偽リボソームタンパク質」をシロイヌナズヌナにおいて同定した。ストレス応答に関与するある転写制御因子の過剰発現によってその偽リボソームタンパク質の発現が促進されることをこれまでに見出していたが、令和5年度の研究ではその転写制御因子の欠損変異株を用いた解析により、ストレスに応答した偽リボソームタンパク質の発現誘導がその転写制御因子に依存することを明らかにした。さらに、栄養欠乏によってもその偽リボソームタンパク質の発現が誘導されることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は、当初の予定通りにストレス応答性uORFおよび栄養欠乏応答性uORFの探索を行い、3つの栄養欠乏応答性uORFを同定することができた。また、栄養欠乏に応答した主要ORFの翻訳制御にそれらのuORFが必要であることを明らかにした。 偽リボソームタンパク質の解析では、ストレスだけでなく栄養欠乏によってもその偽リボソームタンパク質の発現が誘導されるという重要な知見を見出した。 そのような研究成果が得られたことから、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. uORFが介する栄養欠乏応答性の翻訳制御機構の解析:令和5年度に同定した栄養欠乏応答性uORFが関与する翻訳制御機構を明らかにするために、翻訳制御に重要なシス配列とトランス因子を同定する。シス配列を同定するために、uORF周辺の領域に変異を導入したレポーターコンストラクトを用いた一過的発現解析を行い、翻訳制御への変異の影響を調べる。また、トランス因子を同定するために、栄養欠乏応答性uORFの下流につないだレポーター遺伝子を持つ形質転換シロイヌナズナを作出し、レポーター遺伝子の発現に影響を与える遺伝子の遺伝学的探索を行う。
2. 栄養欠乏に応答して翻訳が誘導される遺伝子の機能解析:令和5年度に同定したuORFにより栄養欠乏に応答して翻訳が促進される2つの遺伝子は、栄養欠乏下における機能が知られていない。そこで、それらの遺伝子の栄養欠乏下における生理学的役割について解析する。
3. 偽リボソームタンパク質の生理学的機能解析:ストレスに応答して発現が誘導される偽リボソームタンパク質の生理学的役割を明らかにするために、その偽リボソームタンパク質の過剰発現株と機能欠損変異株を作出し、植物の生育および翻訳への過剰発現や変異の影響を解析する。
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