Project/Area Number |
23K05804
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44030:Plant molecular biology and physiology-related
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
古谷 将彦 熊本大学, 国際先端科学技術研究機構, 准教授 (10432593)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | オーキシン / 液ー液相分離 / NPH3様タンパク質 / オーキシン排出輸送体PIN / 14-3-3 / リン酸化 / 液ー液層分離 / オーキシン輸送 |
Outline of Research at the Start |
PINタンパク質の局在制御因子として同定したNPH3様タンパク質MAB4が細胞膜上で液-液相分離を起こすことで、PINタンパク質の凝集およびオーキシン極性輸送が制御されることが明らかになりつつある。しかし、MAB4タンパク質の液-液相分離の制御機構については理解が進んでいない。本研究では、MAB4タンパク質の多量体化能、14-3-3との相互作用およびC末端のリン酸化に着目し、MAB4タンパク質の凝集および脱凝集機構を明らかにし、液-液相分離が担うオーキシン極性輸送の制御機構の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
NON-PHOTOTROPIC HYPOCOTYL 3 (NPH3)様タンパク質であるMACCHI-BOU 4 (MAB4)は、細胞膜上で液-液相分離を起こすことで、オーキシン極性輸送を制御することが明らかになっている。2023年度は、MAB4タンパク質の液―液相分離の制御機構を明らかにするため、MAB4タンパク質の相互作用因子である14-3-3の機能解析を行なった。シロイヌナズナには13個の14-3-3をコードする遺伝子が存在し、そのうち5個がイプシロン型、8個が非イプシロン型として分類されている。これまでにイプシロン型の14-3-3がオーキシン極性輸送に関与することが報告されている。RNAiによるイプシロン型14-3-3のノックダウン株においてMAB4タンパク質の局在を調べたところ、凝集化したMAB4タンパク質が劇的に減少することが観察され、イプシロン型14-3-3がMAB4タンパク質の凝集化に関与することが確認された。また、MAB4タンパク質のN末端に存在する14-3-3との結合配列に変異を導入し14-3-3と相互作用することができない変異型MAB4 (S8A)タンパク質を発現する形質転換植物を作製した。その形質転換体において、変異型MAB4 (S8A)タンパク質の局在および表現型解析から相補性を調べたところ、MAB4タンパク質の凝集化の著しい減少および機能性の低下が確認された。14-3-3が自身の二量体化に伴って相互作用因子の二量体化を促進することを考え合わせると、イプシロン型14-3-3がMAB4タンパク質のN末端に結合し二量体形成を促進することが、MAB4タンパク質の凝集化に必要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MAB4タンパク質の凝集化機構については、イプシロン型14-3-3とMAB4タンパク質のN末端領域との相互作用が凝集化に必要であることを明らかにすることができた。他にも、MAB4タンパク質同士の二量体形成が凝集化に果たす役割を明らかにする研究も同時並行で行なっている。 MAB4タンパク質の脱凝集化機構については、C末端領域のリン酸化に着目し、その生物学意義を明らかにする実験を行なっている。C末端領域のリン酸化部位に変異を導入した変異型MAB4ファミリータンパク質MEL1 (T/S12A)を発現させるベクターを作製し、機能欠損変異体に導入した。現在T2世代であるが、根の重力屈性における表現型を部分的に相補する傾向が確認された。また、変異型MEL1 (T/S12A)の局在性についても、細胞膜上で凝集化した様子が確認され、凝集化にはC末端領域のリン酸化は関与しないことが示唆された。今後は更なる系統選抜を行い、脱凝集化に対するMEL1 (T/S12A)変異の影響を局在性および機能性の面から解析する予定である。以上のように、2023年度は、MAB4タンパク質の凝集化および脱凝集化機構について良好な解析結果が得られ、また解析準備も概ね完了していることから、順調に進展しているとの自己評価となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に凝集化機構に関するin planta機能解析の準備は概ね完了したので、今後は形質転換体を用いて変異型MAB4タンパク質の局在および機能性について詳細な解析を行う予定である。また、MAB4タンパク質の凝集体をin vitroで再構成させる系を構築する。無細胞in vitroタンパク質合成系もしくは大腸菌において発現させ精製したMAB4および14-3-3タンパク質を混ぜ合わせ、凝集体を形成するか確認する。14-3-3と結合できない、もしくは二量体形成できない変異型MAB4タンパク質についても、in vitroで凝集体形成能を有するか確認する。 脱凝集化機構に関する解析については、生物学意義を明らかにする実験準備は概ね完了したので、今後はMAB4タンパク質のリン酸化に関与するリン酸化酵素および脱リン酸化酵素の同定に向けた準備を行う。MAB4タンパク質に近接依存性ビオチン標識酵素AirIDを結合させたMAB4-AirIDを発現する形質転換植物を作製し、相互作用因子の網羅的同定に向けた実験条件を検討する予定である。
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