Project/Area Number |
23K05806
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44030:Plant molecular biology and physiology-related
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
朝比奈 雅志 帝京大学, 理工学部, 教授 (00534067)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 組織癒合 / 接ぎ木 / 傷害応答 / 時空間的解析 / シロイヌナズナ |
Outline of Research at the Start |
植物の胚軸や茎が部分的に切断されると、切断された組織はそれまでの細胞機能を転換し、一過的にメリステマティックな状態へと移行し、細胞分裂を開始して失われた組織を分化させ、元の組織同士を癒合させることで個体機能を回復させることができるが、その分子機構は不明な点が多い。 本研究は、傷害から組織癒合に至るまでに生じる組織再生のプロセスに注目し、ANAC071ファミリーと植物ホルモン等を中心とした組織再生と細胞リプログラミングを誘導する分子機構、再生プロセスに関わるエピジェネティック制御といった、個体としての恒常性を維持するための組織再生の時空間的制御機構の解明を目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
傷害を受けた組織は、傷害のシグナルと同時に空間位置情報を受容し、幹細胞の新生を得て部位に応じた組織再生を行うことで、個体としての 恒常性を維持する。本研究は、傷害によって誘導される多能性幹細胞の新生と時空間的制御のメカニズムを解明することを目的とする。 モデル 植物であるシロイヌナズナ胚軸・花茎の接ぎ木、傷害治癒は約一週間で完結し、その過程は、1傷害の認知、2細胞分裂の誘起、3細胞の分化 、4細胞間の接着と相互作用の成立、5増殖・分化の停止からなる一連の生理反応からなる。本研究では、微細構造観察・機器分析・オミックス解析等と、申請者が確立した時空間的グループセル解析法を融合させ、幹細胞化する細胞の特定、遺伝子発現や代謝系の時空間的制御など、 高度な時空間分解能での傷害応答・組織再生のメカニズムとANAC071ファミリーの機能解明を目指す。 今年度は、シロイヌナズナANAC転写因子やそのターゲット遺伝子のひとつであるDOF転写因子の機能破壊株・多重欠損体などの解析を行い、DOF転写因子が維管束細胞分化に重要な役割をもつことを示唆した。また、切断組織の癒合とVISUALの過程では、異所的な木部・篩部細胞の再分化誘導機構が異なる可能性を示した。さらに、ANAC転写因子の下流因子の探索を目的に、ANAC071過剰発現培養細胞の作出と選抜を行った。現在、これらの株を用いたトランスクリプトーム解析を進めている。 このほか、原形質カロース結合タンパク質の一種であるPDCB2が、組織癒合過程におけるオーキシン輸送に関与するという新たな知見も得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度行った研究成果から、ANAC型転写因子がDOF転写因子を介して維管束再分化を制御している可能性を示唆し、更にANAC071過剰発現培養細胞を用いたトランスクリプトーム解析に着手することができた。今後、これまでに行ったレーザーマイクロダイセクションによるシロイヌナズナ切断花茎の時空間的遺伝子発現解析結果との統合解析を試みている。 また、原形質カロース結合タンパク質の一種であるPDCB2に関した共同研究を展開し、PDCB2が組織癒合過程におけるオーキシン輸送に関与することで、細胞分裂・分化を調節しているという新たな知見も得た。この他、Ca2+など傷害ストレスに応答するシグナル分子の時空間的変化の解析については関連した共同研究を開始し、解析を進めているところである。 その一方、ANAC071ファミリー遺伝子や下流因子のヒストン修飾やクロマチンリモデリングなどのエピジェネティック制御の関与については検討段階であり、大きな進展は得られなかった。 以上のことから、研究の進行は当初の予定からはやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)シロイヌナズナ切断花茎や胚軸間接ぎ木過程におけるROSやCa2+など傷害ストレスに応答するシグナル分子の時空間的変化についての解析を進める。また、癒合部組織のメタボローム解析やホルモノーム解析も展開することで、ANAC071ファミリーと傷害シグナルの応答機構について検討する。 2)ANAC071過剰発現培養細胞を用いたトランスクリプトーム解析と、LMDによるシロイヌナズナ切断花茎の時空間的遺伝子発現解析結果との統合解析を進めることで、ANAC071ファミリーのターゲット因子と制御機構について検討を進める。 3)ANAC071ファミリー遺伝子や組織癒合応答遺伝子の転写制御に関与するヒストン修飾の量・質的変化を調査し、エピジェネティック制御の関与について検討する。
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