Project/Area Number |
23K05824
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44030:Plant molecular biology and physiology-related
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
梶川 昌孝 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (40594437)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 植物脂質科学 / ゼニゴケ / 特殊脂肪酸 / ゲノム編集 / 生殖成長 / 精子 / 植物脂質 / 生殖器官 / 代謝工学 |
Outline of Research at the Start |
基部陸上植物ゼニゴケの雄生殖器である雄器托内の造精器に、特異的かつ主要脂肪酸として含まれる新奇な水酸化脂肪酸 を見出した。造精器の脂肪酸組成は葉状体とは大きく異なり、4種類の脂肪酸のみから構成される。雄器托表面に水滴を滴下するとこれらの脂肪酸を含む中性脂質が精子と共に分泌されることから、コケ植物の生殖過程において重要な役割をもつ可能性がある。発現パターンから推定した生合成酵素遺伝子の遺伝子破壊変異体の造精器では、当該脂肪酸が完全に消失することを確認した。表現型解析をさらに進めることで、コケ植物の水酸化脂肪酸の生殖過程における生理的な役割を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
植物には水酸化脂肪酸やエポキシ脂肪酸など特殊な脂肪酸を含むものがあるが、これらの脂質分子の生理的役割はほとんど解明されていない。本研究では基部陸上植物ゼニゴケの雄生殖器である雄器托内の造精器に、特異的かつ主要脂肪酸として含まれる新奇な水酸化脂肪酸を見出した。造精器の脂肪酸組成は葉状体とは大きく異なり、当該水酸化脂肪酸と14:0, 16:0, 16:1Δ9のみから構成される。雄器托表面に水滴を滴下するとこれらの脂肪酸を含む中性脂質が精子と共に分泌されることから、コケ植物の生殖過程において重要な役割をもつ可能性がある。発現パターンから推定した生合成酵素遺伝子の遺伝子破壊変異体の造精器では、当該脂肪酸が完全に消失すること、変異体の雄器托から放出された精子の運動性が野生型と比べて低下することを確認した。雄生殖器特異的な脂質の構造解析のため、理化学研究所の代謝システム研究チーム(平井グループ)との共同研究を開始した。今後、雄生殖器の脂質の構造解析、特異的脂質欠損変異系統の稔性と精子の卵への誘引行動、他のコケ植物とゼニゴケの雄器托の脂肪酸組成の共通性、生合成酵素遺伝子の転写制御の仕組み、などの解析をさらに進めることで、コケ植物における水酸化脂肪酸の生殖過程における生理的な役割の包括的な解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゼニゴケの雄生殖器特異的な脂肪酸の欠損変異体の表現型解析を進めたところ、雄器托で生産され外部に放出される精子の運動性が低下することを明らかにした。これは当該脂肪酸の生理的役割の解明につながるものである。さらに、雄生殖器特異的な脂質の構造解析のため、理化学研究所の代謝システム研究チーム(平井グループ)との共同研究を開始した。以上のことより、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
理化学研究所平井グループとの共同研究により雄生殖器脂質の構造解析を進める。運動性低下を示した脂質欠損変異系統の精子が卵に正常に誘引されるか、受精や胞子形成、胞子の発生という有性生殖のプロセスが進行するかを検証する。また、コケ植物における雄器托の脂質組成に共通性がみられるかを調べるために、複数の蘚苔類の雄器托を採集して脂質分析に供する。他のコケ植物の採集、分析は広島大学理学研究科嶋村先生との共同研究により実施する。特異的脂質の生合成酵素遺伝子の発現制御に関わる転写因子の探索については、候補となる17遺伝子についてゲノム編集による遺伝子破壊系統の脂質組成解析を進める
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