博物館における分類学の再考と再構-生物多様性保全に向けた保全分類学の挑戦-
Project/Area Number |
23K05899
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45030:Biodiversity and systematics-related
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Research Institution | Lake Biwa Museum |
Principal Investigator |
川瀬 成吾 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 主任学芸員 (90750505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山野 ひとみ 倉敷芸術科学大学, 生命科学部, 准教授 (70811983)
北村 淳一 三重大学, 生物資源学研究科, リサーチフェロー (00432360)
田畑 諒一 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 主任学芸員 (00793308)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 保全分類学 / カゼトゲタナゴ類 / 形態学 / 自然史博物館 / 標本 / 淡水魚 / 絶滅危惧種 |
Outline of Research at the Start |
コイ科タナゴ亜科種カゼトゲタナゴをモデルに,希少種保全とこれからの自然史博物館の基盤となりうる保全分類学を展開する.種カゼトゲタナゴは絶滅の危険性が高いにも関わらず,和名や学名が不確定である.分類の混乱が保全のための施策立案や一般への種の理解などに支障をきたしている.種カゼトゲタナゴは十分な標本を得ることが難しいため,博物館標本も活用し,分類学的研究を展開する. 保全が急務である日本産種カゼトゲタナゴの研究を先行して進め,早急に適切な和名を与えた後,大陸産種の解析を加えて,学名を確定させる.本研究成果をすみやかに博物館等の展示に反映させ,資料提供や講演などを通して国民に広く啓発する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、絶滅が危惧される淡水魚カゼトゲタナゴ類の類縁関係を明らかにするとともに分類学的課題を解決することを目的としている。2023年度は、カゼトゲタナゴ類の分類学的課題を解決する上で最も重要となるAchilognathus smithii (=Rhodeus smithii)のタイプ標本を精査することを第一の目標とした。 2023年11月3日から11月14日の日程でタイプ標本が保管されているロンドン自然史博物館を訪問し、タイプ標本BMNH1907.12.23.125(1個体)の標本調査を実施した。外部形態について、31項目の計測と15項目の計数を行った。また、軟X線写真から脊椎骨数の計数、頭部側線系の観察も実施した。申請者らが保有するスイゲンゼニタナゴとカゼトゲタナゴの形態情報と比較したところ、多くの形質でちょうど両集団の中間に位置し、明確にどちらに位置づけらるか結論づけることは困難であった。今後、より詳細に検討する必要がある。 また、本タイプ標本は、産地がNodogawa River, Kiotoとなっており、どこを指すのか不明確なことが以前から問題視されている。もし仮に京都の淀川だとすると、スイゲンゼニタナゴの分布とされている兵庫県千種川水系から広島県芦田川水系までという現在の常識とは大きく異なることになる。今回、改めてラベルと当時の古い台帳を確認したが、それ以上の情報を得ることはできなかった。しかし、同じ日に登録された「Nodogawa River」の標本を確認すると山陽地方には生息しないイタセンパラが含まれていた。このことから、京都の淀川と解釈することが最も自然と考えられた。 以上のように2023年度では、本類で最も重要なタイプ標本の調査を実施できた。しかし、まだ多くの課題を残しているので、引き続き他のタイプ標本の精査や国外産種との比較などを行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず第一の目標としていたAchilognathus smithiiのタイプ標本の情報を得ることができたことは大きい。また、それを使った形態比較も実施できた。以上から、初年度は、順調に進行していると考えて問題ないだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目以降、Acanthorhodeus atremius (=Rhodeus atremius)などのタイプ標本調査や韓国や中国に生息するR. notatus、R. fangiとの比較を行う必要がある。また、シーボルトの日本動物誌にカゼトゲタナゴ類に類似するスケッチが描かれているという問題があるため、オランダやドイツに所蔵されているシーボルト標本の調査も視野に入れる必要がある。 カリフォルニア科学アカデミー、ナチュラリス生物多様性センターや韓国のカウンターパートと連絡を密にして、調査を実現する。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)