Project/Area Number |
23K05909
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45030:Biodiversity and systematics-related
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
三井 裕樹 東京農業大学, 農学部, 教授 (40613138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬戸口 浩彰 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (70206647)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 生殖的隔離 / 春化応答性 / 原因遺伝子 / 系統地理 / 接合後隔離 |
Outline of Research at the Start |
ハマダイコンの異系統間は「春化応答性変異による交配前隔離」と「発生不稔による接合後隔離」の2つの機構が進化しており、本研究では、異なる緯度に生育するハマダイコンの3系統を用いて、春化経路遺伝子群の配列決定および発現解析により、開花を制御する遺伝子(ダイコン属で報告されている約150の開花関連遺伝子)の発現差を検出し、発現差のある遺伝子の全長配列を決定する。また、異系統間の雑種を作出し、ゲノム比較により適応的な形質変異に関わる遺伝子を検出する。さらに、系統間交配および胚発生観察により種子形成の不稔が生じる発生段階を同定しそこで特異的に発現する「不稔遺伝子」を同定することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
日本列島の海岸域に広域分布するハマダイコン(アブラナ科ダイコン属)について、琉球列島(低緯度)、本州(中緯度)、北海道(高緯度)の集団を用いて、各3集団(各6株)を人工気象器で実生から栽培し、低温なし、低温(6℃)20日、低温(6℃)40日の条件で花芽形成率(抽苔率)を比較した。その結果、低温なし条件では、低緯度集団は播種後約40日で全て抽苔したが、中・高緯度集団は播種後3ヵ月で全く抽苔しなかった。低温20日条件では、低温処理終了後約10日で低緯度集団が全て抽苔し、中・高緯度集団はそれぞれ約20・40日で約90%抽苔した。低温処理40日条件では、低温処理終了後約10日で低・中緯度集団が全て抽苔し、約20日で高緯度集団が約90%抽苔した。以上より、ハマダイコンの地域集団には花成に要する低温刺激の量(春化応答性)に地理的な変異が存在することが示された。 高緯度集団(北海道の3地点)、低緯度集団(西表島、種子島)を人工気象器で栽培し花期を同調させ、交配実験を行った。人工授粉では蕾段階から花序に袋掛けを行い、開花後に花弁と雄蕊を除去、別個体から採集した花粉を受粉後再度袋掛けを行い、2週間後に果実を採集した。その結果、結実率は低緯度(種子親)×低緯度(花粉親)で約36%、低緯度×高緯度で約44%、高緯度×高緯度で約9%、高緯度×低緯度で約5%であり、組合せ間で有意差はなかった。また、同様の受粉処理の後、受粉後10日まで24時間毎に果実(子房)を採集してエタノール・酢酸(1:9)溶液で固定、抱水クロラール溶液を用いて組織を透明化し分干渉顕微鏡で胚の様子を観察した。その結果、受粉後5~8日目で8~16細胞期の胚が観察され、受粉後9~10に目で球状胚、心臓型胚が観察された。いずれの交配組合せでも正常胚が確認されたが、高緯度集団同士、低緯度集団同士で正常胚の観察数が比較的多かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
R5年度中にRNAを用いた遺伝子発現解析を実施する予定であったが、サンプル準備が遅れたためR6年度に実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
春化応答性変異の原因遺伝子探索については、RNA抽出までほぼ完了しているためR6年度の前半で発現量解析を行い、異系統間で発現差がある遺伝子をスクリーニングする。得られた候補遺伝子について、DNAサンプルをPCR増幅したアンプリコンシーケンスを実施し、塩基配列レベルで変異の同定を目指す。
低緯度および高緯度の集団を用いた交配実験で、同系統間より異系統間の交配で結実率が低下すると予想したが期待した結果が得られなかった。予備実験では異系統間の交配で結実率が有意に低下しており、今回の実験では受粉の方法を変えたこと、高緯度集団で不完全な(異常な)花形態が生じたが系統があり十分なサンプルが得られなかったこと等が影響した可能性があり、R6年度に受粉方法と使用サンプルを見直し再検証を行う。
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