Terrestrial mammal adaptation on islands through the case study of the Ryukyu Archipelago mammals
Project/Area Number |
23K05910
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45030:Biodiversity and systematics-related
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
林 昭次 岡山理科大学, 生物地球学部, 准教授 (60708139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊澤 雅子 北九州市立自然史・歴史博物館, その他部局等, 館長 (10192478)
久保 麦野 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (10582760)
中西 希 北九州市立自然史・歴史博物館, 自然史課, 学芸員 (40452966)
小林 峻 琉球大学, 理学部, 助教 (60838150)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 陸生哺乳類 / 島嶼化 / 琉球列島 / ケナガネズミ / シカ / アマミノクロウサギ / 生態 / 生理 / 成長様式 |
Outline of Research at the Start |
琉球列島の哺乳類は島嶼環境の影響を強く受け、その体サイズが小型・大型化する傾向にある。そこで本研究では離島域における哺乳類の小型・大型化の要因を明らかにするため、琉球列島のシカ類(ケラマジカ)・ウサギ類(アマミノクロウサギ)・ネズミ類(ケナガネズミ・トゲネズミ)の生態・生理を観察・解析する。そのために①歯と骨の組織観察による「成長様式」の解析 ②カメラ調査を用いた「繁殖様式」を中心とする生活史の観察 ③胃内容物と歯のマイクロウェア観察による「食性」解析を行い、それらのデータを他の離島・本土集団の近縁種と比較する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、離島域における哺乳類の小型・大型化の要因を明らかにすることを目的として、琉球列島のシカ類(ケラマジカ)・ウサギ類(アマミノクロウサギ)・ネズミ類(ケナガネズミ)の生態・生理を観察・解析することを目指している。これらの種のA)成長、B)繁殖様式、C)食性について、研究分担者とともに解明することを試みている。今年度の各項目における研究実績は以下の通りである。 A)成長:ケラマジカの成長パターンについて、骨組織解析を通じて年齢に伴う体重および体長の変化を明らかにし、その成果が国際誌に受理された。特に、島ごとの成長速度の違いを比較することで、環境要因の影響を解明した。アマミノクロウサギおよびケナガネズミに関しても同様のアプローチで成長データを収集し、解析を進めている。 B)繁殖様式:繁殖様式については、ケナガネズミの巣穴および行動観察を行い、子育て行動の特徴を解析した。特にケナガネズミはハブに積極的に捕食されていることが明らかになった。 C)食性:食性の解析には、アマミノクロウサギとケナガネズミの歯の摩耗度を解析することで食物資源の利用状況を調査した。特にケナガネズミに関しては、島間で歯の摩耗度に差異が見られたことから、餌の違いがある可能性がある。 以上の成果は、9月に琉球大学で開催された哺乳類学会にて、研究分担者と琉球列島の哺乳類に関する自由集会を開催し、予察的な成果を報告した。今後は、これらのデータを基にさらなる解析を進め、これらの島嶼域の動物の生態が大陸・本州の近縁種とどのように違い、それらの違いがどのような環境要因と関連しているかを解明していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況は以下の通りである。 骨組織サンプルの収集:研究に必要な骨組織サンプルはおおむね揃った。ケラマジカ、アマミノクロウサギ、ケナガネズミの各種から採取した骨サンプルを分析対象とし、各種の成長パターンや骨組織の特性を明らかにするための基礎データを確保した。 モニタリング調査の開始:沖縄県北部のやんばる地域において、モニタリング調査を行うためのカメラと巣穴の設置が完了した。これにより、ケナガネズミの行動パターンや巣穴の利用状況を詳細に観察・記録することが可能となった。現在、モニタリング調査は順調に進行しており、初期データの収集が進んでいる。 歯の摩耗度解析:アマミノクロウサギおよびケナガネズミの歯の摩耗度解析については、おおむねデータを採取することができた。これにより、各種の食性や食物資源の利用状況についての詳細な情報を得ることができ、島間での差異や環境要因の影響を分析する基礎資料が整った。 論文出版と投稿:ケラマジカに関する成長パターンおよび骨組織解析の成果については、国際誌に論文が出版された。また、ケナガネズミ・アマミノクロウサギの歯の摩耗度解析に関する研究成果も論文としてまとめ、投稿を行った。これにより、本研究の一部成果が学術的に認められ、今後の研究進展に向けた基盤が整った。 以上の進捗状況を踏まえ、今後は収集したデータを基にさらなる解析を進め、離島域における哺乳類の小型・大型化の要因解明に向けて研究を深化させていく予定である。引き続き、各種データの収集と解析を継続し、研究成果を積み重ねることで、島嶼生態系における動物の適応戦略と環境要因の関係を明確にしていくことを目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方法については、以下の点に重点を置いて進める予定である。 追加サンプルの収集:現在までの研究において、ケナガネズミおよびアマミノクロウサギの幼体サンプル、ならびにトゲネズミや日本本土の近縁種との比較が不十分であることが判明している。これらの不足分を補うために、追加サンプルの収集を計画している。具体的には、博物館での標本調査のスケジュール調整を行い、必要なサンプルを確保するための手続きを進めている。 モニタリング調査の継続:やんばる地域で開始したモニタリング調査は、引き続き継続して長期的なデータを収集することが重要である。特に、季節ごとの変動や年間を通じた行動パターンの解析を行うため、カメラや巣穴の定期的なメンテナンスとデータ回収を怠らずに行う予定である。これにより、より精度の高い生態データの蓄積を目指す。 胃内容物の観察:今年度は、新たに胃内容物の観察を行う予定である。これにより、各種の食性についてさらに詳細な情報を得ることができると期待している。胃内容物の解析を通じて、食物資源の利用状況や食物連鎖における位置づけを明確にすることを目指す。 成果の学会発表および論文投稿:研究成果は随時、学会発表や論文投稿を通じて公表していく予定である。特に、これまでに得られたデータを基にした中間報告や予察的な結果を学会で発表し、フィードバックを得ることで研究の方向性を修正・強化する。また、論文投稿を通じて、国際的な学術コミュニティとの連携を図り、研究成果の普及と評価を目指す。 以上の推進方法に基づき、研究を順調に進めていくことで、離島域における哺乳類の小型・大型化の要因解明に向けた成果を積み重ねていく。引き続き、研究チームと連携し、効率的かつ効果的な調査・解析を行い、貴重な知見を得ることを目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(9 results)