Project/Area Number |
23K05964
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 46010:Neuroscience-general-related
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
佐々木 幸生 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 准教授 (10295511)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | 横浜市 / 神経生物学 / 脆弱X症候群 / RNA結合タンパク質 / FMRP / 液-液相分離 / RNA顆粒 / 相分離 |
Outline of Research at the Start |
神経細胞は神経軸索や樹状突起末端で必要なタンパク質を局所翻訳するため、mRNAとRNA結合タンパク質と共に神経輸送顆粒を形成する。脆弱X精神遅滞タンパク質 (FMRP) は神経輸送顆粒の構成成分の1つであり、mRNA輸送と局所翻訳に関与する。しかし、神経輸送顆粒の形成機構は未解明である。この研究では、光遺伝学的手法等を用い、FMRP含有輸送顆粒の形成機構や神経軸索伸長・シナプス形成との関連を明らかにすることを目的としている。これにより、神経輸送顆粒の形成機構について新たな知見が得られることが期待される。
|
Outline of Annual Research Achievements |
脆弱X症候群の原因遺伝子産物FMRP 等のRNA結合タンパク質 (RBP) は細胞質内でmRNAと結合し、RNA顆粒を形成する。RNA顆粒にはストレス顆粒、Pボディの他に、神経細胞でmRNAの輸送と翻訳調節に関与する神経輸送顆粒等に分類される。これらの顆粒形成には液-液相分離という共通の原理が作用していると考えられているが、詳細は不明である。本研究では、ストレス顆粒と神経輸送顆粒の両方に含まれるFMRPを含む顆粒形成機構を明らかにする。まず、FMRPのKH0、KH1、KH2ドメイン及び天然変性領域のRGG box配列に点突然変異を導入した遺伝子を293T細胞に発現させ、ストレス顆粒を形成するかを検討した。その結果、KH1、あるいはKH2ドメインに変異を導入したFMRPはストレス顆粒形成が低下していた。これらのFMRP変異体をマウス大脳皮質神経細胞に導入したところ、神経輸送顆粒形成が低下していた。一方で、KH0、RGG box変異体は輸送顆粒を野生型と同様に形成した。KH1、KH2ドメインはmRNA結合に関与することから、mRNA結合がFMRPの液-液相分離を誘導し、ストレス顆粒と神経輸送顆粒を形成することが示唆された。 我々はFMRPの液-液相分離を時間空間的に制御するために、KH0を含むN末端側をシロイヌナズナの光依存的オリゴマー形成ドメインであるCry2と入れ替えたOptoFMRPを開発した。これを神経細胞に発現させ、神経突起に青色光を照射したところ、OptoFMRPが顆粒を形成し、突起内を移動することが観察された。これは神経輸送顆粒形成を光遺伝学的手法で時間空間的に制御できたことを意味する。今後は、上記の変異体をOptoFMRPに導入し、神経輸送顆粒形成が生じるか観察する。さらにOptoFMRPによる神経輸送顆粒形成が神経突起の形態に影響を与えるか検討する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ストレス顆粒と神経輸送顆粒形成の両方に関与するアミノ酸残基を同定し、液-液相分離にKH1、KH2の両方のドメインが必要なことが明らかにしたことから、1年目の目標である「どのドメインや領域、さらに翻訳後修飾や電荷の程度が顆粒形成に影響を与えるかを明らかにする」を達成した。FMRPの天然変性領域の翻訳後修飾の変異体や電荷の程度を大幅に変更した変異体は野生型と比べ、ストレス顆粒形成能に有意な差はなかった。今後はOptoFMRPの野生型と上記変異体をそれぞれ神経細胞に導入し、光遺伝学的にFMRPの液-液相分離を制御することにより神経細胞の表現型が調節できるか検討する。
|
Strategy for Future Research Activity |
神経突起内で光遺伝学的に液-液相分離を誘導し、OptoFMRPを含む顆粒を形成できた。今後はまず、上記の変異をOptoFMRPに導入し、FMRPを含む顆粒が培養細胞内や神経突起内で形成されるか検討する予定である。さらに、野生型と変異体OptoFMRPを神経細胞に導入することでRNA顆粒形成を時間空間的に制御し、軸索の伸長やシナプスの形態、機能を制御できるか検討する予定である。
|