Project/Area Number |
23K06046
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47010:Pharmaceutical chemistry and drug development sciences-related
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
藤井 晋也 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (60389179)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
|
Keywords | リン / ホスフィンボラン / ケミカルスペース / 創薬化学 / 構造展開 / ホスフィンアミド |
Outline of Research at the Start |
本研究は、リンを基盤とした新たな医薬品の構造展開手法の開発を目的とする。新規骨格構造としての応用が期待できる、ホスフィンアミド誘導体、ホスフィンボラン誘導体の2系統の含リン化合物について、物性解析および活性化合物創製の両者を指向した化合物を系統的に設計、合成する。続いて、安定性や疎水性等に関する構造物性相関を検討し、構造展開オプションとしての性質を解明するとともに、核内受容体シグナルを標的とした生物活性評価を行い、医薬品リード化合物の創出につなげる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
リンは様々な原子と安定な結合を形成する、本来は構造展開の多様性に富む元素であるが、現在の創薬化学では、リン酸エステルやホスホン酸誘導体の他は広く未開拓の領域である。そのため本研究では、リンを用いた多彩な構造展開手法を開発し、現在の創薬化学では未踏のケミカルスペースを開拓することで、斬新な医薬候補化合物の創出を目的とする。当該年度は特に、リン-ホウ素の配位結合を有するホスフィンボランについて、その特性の解明と、生物活性化合物への応用を検討した。 まず、ホウ素原子上にヒドロキシフェニル基を有するホスフィンボラン誘導体の合成を検討し、ヒドロキシフェニルボロン酸と種々のホスフィンとを水素化リチウムアルミニウムあるいは水素化ジイソブチルアルミニウム共存下で反応させることで、系統的な化合物の合成が可能であった。次に、合成したB-置換フェニルホスフィンボランの構造物性相関を検討するとともに、エストロゲン受容体リガンドとしての活性を検討した。その結果、B-置換ホスフィンボラン誘導体は、生物活性を発揮するのに十分な安定性を有することを明らかにするとともに、いくつかの化合物がエストロゲン受容体アゴニスト活性を示すことを見出した。 さらに、フェニル基上にトリフルオロメチル基を有するB-フェニルホスフィンボラン誘導体についても構造展開を行い、合成した化合物がヒドロキシフェニル誘導体よりも高い安定性を示すこと、また顕著なプロゲステロン受容体アンタゴニスト活性を示す化合物の創製にも成功した。 これらの結果は、B-置換ホスフィンボランが創薬化学研究の構造展開オプションとして有用であることを示すものであると考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、ホスフィンボランの合成法の検討や構造物性相関の検討を中心とした構造展開を想定していたが、対象とする化合物群が当初の予想以上に安定であり、また合成に関する知見も速やかに蓄積したため、多様な化合物の合成が可能となった。そのためヒドロキシフェニルホスフィンボランと、トリフルオロメチルフェニルホスフィンボランの2系統の化合物群について多様な構造展開を速やかに実施することができた。それぞれの化合物群における構造物性相関および構造活性相関の検討から、ホスフィンボランの創薬科学への応用に関する有益な知見を数多く得て、年度内に2報の学術論文として発表するに至った。また、2つの化合物群間の比較から、B-置換基の電子効果によるP-B結合の安定性の違いについて考察することができ、今後の研究の方向性への示唆をも得た。そのため、当該年度は当初の計画以上に研究が進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
ホスフィンボランについては、既に2系統の構造物性相関と、生物活性化合物の創製に成功している。一方、ここまでの検討から、B-置換基の電子状態が、P-B結合の安定性に大きく影響することが示唆された。そのため今後は、P-B結合の性質について、物理化学的な観点からの検討を行い、ホスフィンボランの基礎化学に踏み込むとともに、構造展開オプションとしての基盤を確立する。 一方、P-N結合を持つホスフィンアミド誘導体について、いくつかの予備的検討を行い、創薬化学研究への足掛かりを掴んだ。今後、ホスフィンボラン誘導体についても系統的な合成展開と、構造物性相関および構造活性相関の検討を行い、創薬化学研究における構造展開オプションとしての特性を明らかにする。
|