Project/Area Number |
23K06079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47020:Pharmaceutical analytical chemistry and physicochemistry-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 いづみ 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (40634994)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 複合体解析 / 相互作用解析 / 酸化ストレス / パーキンソン病 / 酸化還元 / 化合物 / 複合体構造 / 分子間相互作用 |
Outline of Research at the Start |
パーキンソン病発症機構を明らかにする上で、酸化ストレスによるドパミン神経細胞死を制御する機構を明らかにすることは最重要課題である。我々が合成した新規神経細胞死抑制薬HUP381の結合因子として、酸化還元酵素 Xを同定した。本研究では、数々の反応が起こる神経細胞内で、どの経路の破綻がパーキンソン病発症の鍵となる神経細胞死を引き起こすのかX /HUP381複合体の役割から解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病の発症機構を解明し、さらにその臨床応用を進めて行く上で、パーキンソン病の発症機序の一つである酸化ストレスによる神経細胞死を制御する機構を明らかにすることは重要である。申請者は新規に合成した神経細胞死抑制化合物HUP381の結合因子として酸化還元酵素 (Factor X)を同定した。 本研究では、X/HUP381複合体の役割から、酸化ストレスによって起こるどの経路の乱れが、パーキンソン病発症に重要かを解明していく。 パーキンソン病は神経変性疾患の一つであり、酸化ストレスによるドパミン神経細胞死がその発症機序のひとつにあげられる。神経細胞死がパーキンソン病の根本原因であるものの、神経変性そのものを改善する薬は現在までになく、その開発が望まれている。神経細胞死抑制化合物HUP381はED50 < 0.2 nMで神経細胞死を抑制し、パーキンソン病モデルマウスの運動能低下を0.01 mg/kgという低濃度で抑制した。このHUP381のターゲット因子探索の結果、同定されたのが、Factor Xである。Xはパーキンソン病の進行に伴い上昇し、パーキンソン病後期では消失する。このことから、Xの酸化ストレス後に担う働きが病態進行を食い止めている可能性が考えられる。 申請者は補因子が結合しないXの精製系を予備実験にて確立していた。令和5年度はアポタンパク質作製の透析条件をさらに改良し、回収率と安定性を向上させることができた。さらにこのアポタンパク質とHUP381を用いた共結晶化をおこなった。共結晶化に並行して、電子顕微鏡解析を行うため、アポタンパク質単体での解析を試行しており、氷包埋条件の検討を進めている。また、表面プラズモン共鳴法にてX/HUP381の結合親和性を測定するため、Xのアポタンパク質のChip上への固定化条件と測定条件を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Xから補因子を除くため行う透析では、これまでのグアニジン塩酸塩法にかわり、KBr透析法を用いることで、収率を約10%から60%へと大きくあげることができた。こうして作製したXのアポタンパク質と神経細胞死抑制化合物HUP381を用いて、結晶化キットにてスクリーニングを行い、結晶が得られた複数条件にて、Hanging drop法での結晶化を行った。結晶が得られた条件では、当初、多結晶が得られる傾向があった。そこで、さらに結晶条件検討を進めることで、単結晶が得られる条件が定まってきている。電子顕微鏡測定においては、Xの氷包埋条件検討の中で、溶解度の低いHUP381の溶解に使用しているDMSOの影響が懸念されたが、DMSO20%存在条件においても、グリッドの作成を行うことができた。Xは様々な量体での結晶構造が報告されており、測定結果の3次元モデル化において、本測定条件でのXの量体を見定める必要がある。Xアポタンパク質の溶液中量体を特定するため、本学に令和5年度末に導入された分子量分布測定装置RE・FEYNにて、予備測定を行った。その結果、Xアポタンパク質が二量体で存在していることが明らかになってきている。X/HUP381の結合親和性測定においては、Xアポタンパク質のchip上への固定化条件を検討し、低分子との親和性測定に充分な量のXアポタンパク質の固定化に成功している。このように、X/HUP381複合体結晶化と結合親和性解析のための条件検討が進んでいるため、概ね順調に進んでいると言って良い。
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Strategy for Future Research Activity |
X/HUP381の結合親和性測定においては、R5年度に構築した測定条件にて、Xアポタンパク質とHUP381の表面プラズモン共鳴法での測定を進めて行く。X/HUP381の複合体結晶化では単結晶条件を元に、結晶条件を展開していく。さらに、並行して電子顕微鏡測定を分子量分布測定装置で量体状態をとらえながら進めることで、XとHUP381の複合体構造を明らかにしていく。
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