Project/Area Number |
23K06118
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47030:Pharmaceutical hygiene and biochemistry-related
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
松永 俊之 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (80306274)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 肺がん / プロスタグランジン代謝酵素 / アルドケト還元酵素 / 抗がん剤耐性化 / 抗がん剤耐性 |
Outline of Research at the Start |
肺がん化学療法における課題として抗がん剤に対する耐性獲得が挙げられる。そこで本研究では、汎用される抗がん剤で継続的処理することにより耐性獲得した肺がん細胞を調製し、その耐性獲得機序の詳細を調査する。また、耐性獲得に関わる因子の阻害剤等を用いて、肺がん細胞が抗がん剤耐性を誘起しない画期的な治療法の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
肺がんA549細胞とH23細胞を5種の抗がん剤 [白金製剤シスプラチン (CDDP)、微小管阻害剤PTXとDTX、トポイソメラーゼ阻害剤イリノテカン (CPT-11) とエトポシド (ETP)]を含む増殖培地で継続的に培養することによってそれぞれの抗がん剤に対する耐性株の樹立を試みた。今回使用した抗がん剤に対するH23細胞の感受性はいずれも高く、耐性株は樹立できなかったが、A549細胞のCDDP、PTXやDTXに対する耐性株の調製に成功した。プロスタグランジン (PG) 代謝酵素として注目しているアルドケト還元酵素 (AKR) アイソフォームのこれら3種の抗がん剤耐性細胞での発現変動をPCR法とウエスタンブロット法にて調査した結果、3種の抗がん剤に対する耐性化はいずれもAKR1B10とAKR1C3の発現量を増大させた。また、AKR1B10阻害剤は他のアイソフォーム阻害剤よりも著明に抗がん剤毒性に対する感受性を高めただけでなく、抗がん剤感受性はAKR1B10過剰発現によって低減し、本酵素のノックダウンによって増大した。さらに、抗がん剤耐性細胞では転写因子Nrf2の恒常的な核移行が認められたことから、AKR1B10はNrf2の恒常的活性化によって発現上昇し、これら3種の抗がん剤に対する耐性獲得において主要な役割を果たすことが示唆された。 AKR1B10のリコンビナント酵素を調製して上記3種の抗がん剤の代謝能を調査したが、本酵素はこれら抗がん剤をほとんど代謝しなかった。また、これら抗がん剤処理時には脂質過酸化副産物である強毒性アルデヒド体の生成が亢進するが、その生成は耐性細胞では認められなかったことから、AKR1B10による抗がん剤耐性獲得は、抗がん剤自体の代謝ではなく、抗がん剤処理時に生成する強毒性アルデヒド体の解毒に起因すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に予定していたH23細胞由来の抗がん剤耐性株を調製することができなかったが、A549細胞では3種の抗がん剤に対して高度に耐性獲得した耐性株を樹立することができた。また、ここで得た耐性細胞を用いてPG代謝酵素であるAKRアイソフォームの発現変動や耐性化に関わる主要酵素の同定についても既に終了しているため、おおむね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度以降には調製した抗がん剤耐性細胞を用いて、AKR1B10の発現調節機構において中心的な役割を担うNrf2活性化機序 (Keap1変異や転写共役因子等の同定) を精査する予定である。また、発現上昇したAKR1B10の意義を明示にするために、抗がん剤処理時に細胞内で増加する活性酸素由来カルボニル化合物(脂質由来アルデヒドやケトン体など)を探索する。さらに、薬剤の細胞外への排泄に関わるABCトランスポーター (ABCB1やABCC1など) の発現変動や意義等を調査し、可能ならば抗酸化防御機構の変動の詳細についても検証するつもりである。
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