Project/Area Number |
23K06137
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47030:Pharmaceutical hygiene and biochemistry-related
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
姫野 誠一郎 昭和大学, 薬学部, 客員教授 (20181117)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角 大悟 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (30400683)
原 俊太郎 昭和大学, 薬学部, 教授 (50222229)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | ヒ素 / 筋肉 / 血管毒性 / 高血圧 / 糖尿病 |
Outline of Research at the Start |
本申請者は、これまでバングラデシュのヒ素汚染地域において、動脈硬化などの血管病変、インスリン感受性、骨格筋量に関する種々の血液バイオマーカーを測定することにより、ヒ素が血管内皮細胞を標的とした毒性を示すこと、また、ヒ素が筋肉量の低下を介してインスリン抵抗性の亢進に関与していることを見出した。これらの疫学調査で得られた知見に基づき、本研究は、血管内皮細胞、筋肉由来細胞、実験動物を用いて、ヒ素による血管障害、筋肉毒性の機序を解明することを目的とする。さらに、ヒ素に応答する新たなバイオマーカーを特定し、ヒトでの調査に応用可能かを検討する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
マウスへの亜ヒ酸曝露実験:ICR系6週齢雌マウスに無機ヒ素(メタ亜ヒ酸ナトリウム)を短期、あるいは長期与えた場合の影響を検討した。短期実験では、無機ヒ素を複数濃度で3日連続投与腹腔内投与した。ヒ素曝露により誘導されることが知られている肝臓のheme oxygenase 1(HO-1)やグルタチオン合成に関わるγGCSmのタンパク質発現量は投与量依存的に増加した。しかし、肝臓における酸化LDL受容体の受容体Lox-1、血管収縮因子Endothelin1、血管弛緩因子NOの合成酵素NOS3のmRNA量には有意な変化が見られず、血糖値、尿糖の変化もみられなかった。そこで、より長期間、高濃度の曝露実験として、無機ヒ素を100、200 ppm含有する飲料水をマウスに4、8週間摂取させた。尿糖、血糖値、および肝臓におけるLox-1、Endothelin1のmRNA発現量に変化はみられなかった。しかし、NOS3のmRNA発現量はヒ素の投与濃度依存的に低下した。研究代表者の姫野は、バングラデシュのヒ素汚染地域において血中NO濃度がヒ素曝露濃度依存的に低下することを発見しており、これを支持する実験データが得られた。しかし、まだmRNAレベルのみの結果であり、さらに検討を進める必要がある。 過酸化脂質の関与に関する実験:膜リン脂質中の不飽和脂肪酸量を制御する長鎖アシルCoA合成酵素ACSL4の遺伝子欠損マウスを用いた検討を開始した。まず、ヒ素と同様に、過酸化脂質産生を亢進すると考えられるパラコートやメトトレキサートを投与して肺毒性が変化するか調べたところ、ACSL4の欠損により肺毒性が抑制されることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、マウスを無機ヒ素に曝露する際の基本的な条件検討に時間を費やし、また、ヒ素曝露によって直ちに糖代謝に影響が出る、という知見は得られたかった。短期曝露だけでなく、長期曝露、さらには経世代的な曝露が必要と考えられるので、来年度以降にそのようなアプローチを続けたい。また、in vivoにおける筋肉の分化に対する無機ヒ素の影響については初年度に開始できなかったので、2年度以降に開始する予定である。過酸化脂質レベルを制御する酵素ACSL4遺伝子のノックアウトマウスを用いた実験については、まず酸化ストレスのポジティブコントロールとしてパラコートを投与した場合の影響を検討した。次年度以降にヒ素曝露の影響を検討する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
マウスへの無機ヒ素曝露実験では、筋肉に注目した実験を開始する。筋分化への影響を検討するため、無機ヒ素に曝露したマウスにおける筋肉の分化マーカーの発現を調べる。筋肉分化マーカーとして、MyoD、Myogenin、Myomager、Myomakerなどの検討を予定している。また、成熟マウスでは筋肉分化へのヒ素曝露の影響が検出しにくい可能性があるため、交配・妊娠・授乳期のマウスをヒ素に曝露し、仔マウスの筋肉量、筋肉分化への影響、および遅筋や速筋の筋力への影響も検討する予定である。一方、マウスをヒ素に曝露した際に、骨格筋のみならず、筋分化に伴う脂質組成が変化する可能性についても検討する。特に、過酸化脂質生成への影響を解析し、ACSL4欠損がAsの効果に及ぼす影響についても検討する。
|