Project/Area Number |
23K06139
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47030:Pharmaceutical hygiene and biochemistry-related
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
東 恭平 東京理科大学, 薬学部薬学科, 准教授 (10463829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米野 雅大 東京理科大学, 薬学部薬学科, 助教 (40866307)
秋本 和憲 東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 教授 (70285104)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | ヘパラナーゼ / オーラノフィン / 浸潤 / 抗腫瘍活性 / 難治性乳がん / 非定型プロテインキナーゼ / ドラッグリポジショニング |
Outline of Research at the Start |
血管基底膜に存在するグリコサミノグリカン (GAG)鎖がGAG分解酵素によって分解を受けることが、悪性度の高い癌細胞の浸潤・転移に重要であることが報告され、それの「酵素活性阻害剤」が数多く開発されてきたが、半減期や副作用の問題から有効薬は未だ見出されていない。我々は、既存薬ライブラリーから「GAG分解酵素の遺伝子発現を抑制する化合物」をいくつか同定した。本研究では、既存薬の作用機作からGAG分解酵素遺伝子の発現制御機構を解明すると同時に、その既存薬が乳がんの転移・浸潤抑制に有用であることを証明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ヒト結腸がん由来HCT116細胞株にヘパラナーゼ (HPSE)遺伝子のプロモーター領域とホタルルシフェラーゼ遺伝子を融合させたプラスミド (pHPSE-Luc)を形質導入した後、既存薬ライブラリを添加した。最終濃度0.1 uMでHPSE遺伝子のプロモーター活性を10%以下に阻害した薬剤として、オーラノフィンを含む12種の化合物を同定した。 オーラノフィンの治療標的の一つであるatypical protein kinase C (aPKC)に着目し、乳癌患者ゲノミクスデータ解析を行ったところ、HPSE1とaPKCλおよびζの発現量に正の相関性があり、および両方の遺伝子発現が高いほど予後不良になることが示唆された。 乳癌細胞株3種 (MDA-MB-157、MDA-MB-231およびMDA-MB-468)の浸潤能とHPSEの発現量に相関があることが示唆された。実際、MDA-MB-231細胞株のHPSE遺伝子の発現をsiRNAで抑制した結果、浸潤能の阻害が認められた。また、オーラノフィン添加によりMDA-MB-231細胞株の浸潤能の抑制も確認した。オーラノフィン添加、又はaPKC遺伝子の発現を siRNAでノックダウンした結果、HPSEの発現量が減少した。12種の化合物のうちいくつかはNF-kB阻害活性を有していたことから、siRNAを用いてrelA遺伝子を抑制した結果、HPSEの発現量が減少した。 以上の結果より、乳がん細胞株におけるHPSE遺伝子の発現は、aPKCとその下流のNF-kBによって制御されることが明らかとなった。また、オーラノフィンは、チオレドキシンレダクターゼ阻害剤としての増殖抑制効果の他、HPSE依存性の浸潤に対しても阻害効果があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、乳がん細胞株におけるHPSE遺伝子の発現調節機構を既存薬とsiRNAを用いた実験系により明らかにした点で順調に進展したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
MDA-MB-231細胞株はHPSE依存性の高い浸潤能を有するのに対し、MDA-MB-157とMDA-MB-468細胞株ではHPSEの発現が認められず、浸潤しなかった。そこで、MDA-MB-157とMDA-MB-468細胞株にHPSE cDNAを形質導入した結果、HPSEタンパク質の発現量は著しく上昇したが、二つの細胞株の浸潤能はほとんど変化しなかった。また、既存薬の評価に用いたHCT116細胞株のHPSE遺伝子の発現を調べた結果、MDA-MB-157と468細胞株に比べて高いにも関わらず、際立った浸潤能は認められなかった。HPSEはリソソームタンパク質であり、基底膜の主成分であるヘパラン硫酸の分解活性の至適pHは酸性側にある。HPSEはどの様な条件の時にがん細胞の浸潤に寄与するのか明らかにできれば、オーラノフィンの有用性がより高まることが期待される。今年度はHPSEが浸潤能に寄与する条件の解明を試みる。
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