Project/Area Number |
23K06152
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47040:Pharmacology-related
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
久野 篤史 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30468079)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤谷 直樹 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10374191)
野島 伊世里 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (10827398)
細田 隆介 札幌医科大学, 医学部, 助教 (20749428)
矢野 俊之 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40444913)
田中 希尚 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (60533362)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | 急性腎障害 / 糖尿病 / ネクロプトーシス / オートファジー / RIPK3 |
Outline of Research at the Start |
糖尿病は急性腎障害の重要な危険因子である。申請者は糖尿病の腎尿細管細胞において、蛋白を分解する機構であるオートファジーの障害がAKI増悪に寄与することを見出したが、オートファジー障害がAKIを増悪させる機序は不明である。ネクロプトーシスはAKIの原因となる。オートファジーが阻害されたモデルでは、腎虚血再灌流後の腎組織でRIPK1, RIPK3の蛋白発現量が増加し、オートファジーの回復によりその増加が抑制されることを見出した。本研究の目的は、オートファジーとネクロプトーシスの未知の関連から糖尿病によるAKI増悪の機序を明らかにして、新しいAKI予防法に結びつく知見を得ることである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 尿細管障害マーカーであるKIM-1の腎組織におけるmRNAレベルを定量PCR法により評価した。KIM-1 mRNAレベルは非糖尿病・糖尿病ラットともに腎虚血再灌流(I/R)により増加したが、その上昇の程度は糖尿病でより強かった。 (2) 免疫染色では、糖尿病ラットのI/R後の腎で非糖尿病と比較してネクロプトーシスに重要なRIPK3の発現が尿細管細胞で増加していた。非糖尿病ラットでも、オートファジー阻害薬投与によりI/R後の腎尿細管細胞でRIPK3の発現が増加した。一方、糖尿病ラットにオートファジー活性化薬を投与すると、RIPK3の染色性が低下した。 (3) RIPK3の発現変化が転写制御によるものかどうかを、定量PCR法によるmRNA定量法により評価した。RIPK3 mRNAレベルは非糖尿病・糖尿病ラットともにI/Rにより増加したが、その程度は糖尿病でより大きかった。非糖尿病でもオートファジー阻害薬の投与によりRIPK3 mRNAレベルのI/Rによる増加は亢進した。逆に糖尿病ではオートファジー活性化薬によりRIPK3 mRNA レベルが低下した。 (4) RIPK1 mRNAレベルは腎I/Rによる変化が明らかではなかった。一方、MLKL mRNAレベルは非糖尿病・糖尿病ともに腎I/Rにより増加したが、その程度には両者で差を認めなかった。 以上より、腎虚血再灌流による尿細管細胞の障害は糖尿病でより強いこと、RIPK3は急性腎障害における細胞死が生じるとされている尿細管細胞で発現が糖尿病により増加すること、またその増加は転写レベルの変化に依る可能性が考えられた。またRIPK3のmRNA発現量がオートファジーにより負に制御されていると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖尿病による腎虚血再灌流でRIPK3が増加する機序として、オートファジー障害による転写亢進を介する点が明らかとなった点。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1) ネクロプトーシスに重要なMLKLのノックアウトマウスおよび野生型マウスにおいて糖尿病モデルを作成し、糖尿病による急性腎障害の悪化がネクロプトーシス経路を介するかを評価する。 (2) オートファジーによるRIPK3の発現制御の標的部位が転写レベルである可能性が示唆されたため、まずは腎虚血再灌流によるRIPK3の転写制御を明らかにする。それら転写に関与する因子がオートファジーにより制御を受ける点に着目して評価を勧める。この検討のために、培養近位尿細管細胞株を用いた低酸素・再酸素化モデルを確立し、オートファジーを阻害・活性化によるRIPK3の転写制御の変化を評価し、オートファジーの標的蛋白を同定する。
|