Project/Area Number |
23K06157
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47040:Pharmacology-related
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
秋葉 聡 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (70231826)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 非アルコール性脂肪肝炎 / IVA型ホスホリパーゼA2 / 肝線維化 / 肝星細胞 / 類洞内皮細胞 |
Outline of Research at the Start |
非アルコール性脂肪肝炎における肝線維化の治療法の確立は、肝硬変・肝がんへの進展を防ぐための最重要課題であるが、現状は効果に乏しく継続し難い食餌療法のみである。本研究では、起炎関連酵素であるIVA型ホスホリパーゼA2(IVA-PLA2)が治療標的分子となる可能性を明確にするために、高脂肪食誘発性の肝線維症モデルマウスにおいて食餌療法を想定した実験系を用い、食餌療法のみでは回復し難い肝線維化が肝星細胞など細胞種選択的にIVA-PLA2を欠損させた条件下では軽減されることを検証する。本研究は、NASH肝線維化に対する薬物療法や標的細胞指向性創薬に関する新規観点を提示するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪肝炎における肝線維化の治療法の確立は、肝硬変・肝がんへの進展を防ぐための最重要課題であるが、現状は効果に乏しく継続し難い食餌療法のみである。本研究では、起炎関連酵素であるIVA型ホスホリパーゼA2(IVA-PLA2)が治療標的分子となる可能性を明確にするために、高脂肪食誘発性の肝線維症モデルマウスにおいて食餌療法を想定した実験系を用い、食餌療法のみでは回復し難い肝線維化が肝星細胞など細胞種選択的にIVA-PLA2を欠損させた条件下に軽減されることを検証する。 2023年度は、肝線維化形成後の食餌療法を想定した実験系を確立する目的で、マウスに高脂肪食(35%脂肪分)を9週間投与して明確な肝線維化を形成させた後、食餌療法を想定した普通食(5%脂肪分)に変更したところ、脂肪肝は2週間で消失したが、肝線維化の程度はむしろ4週間まで促進され、以降予想に反して10週間後においてもほとんど軽減されていなかった。この結果から、少なくとも食餌療法のみでは回復しない肝線維化の系が確立できたと考えた。この肝線維化に先行して3週間の高脂肪食投与により誘起される単球走化因子(MCP-1)の発現増大や炎症性細胞の肝組織への浸潤は、肝星細胞、類洞内皮細胞、単球/マクロファージ、肝実質細胞のうち、肝星細胞での選択的IVA-PLA2欠損マウスで軽減された。さらには、活性型肝星細胞の培養系においてもMCP-1発現がIVA-PLA2特異的阻害剤により有意に抑制されることを見出した。これらの結果から、高脂肪食下に活性化された肝星細胞のIVA-PLA2はおそらく、その産物である脂質性メディエーターの作用を介してMCP-1の発現亢進に伴う炎症を誘起すると考えられることから、高脂肪食下の環境が是正されて肝実質細胞での脂肪蓄積は改善されても継続的な炎症のために肝線維症が維持されると推察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
薬剤誘導性の時期選択的IVA-PLA2欠損マウスを作出するにあたり、全身性または細胞種選択的なCreリコンビナーゼの発現がタモキシフェン投与によりエストロゲン受容体への作用を介して誘導されるマウス(CreERTマウスと表記する)を購入して使用するが、その納入が遅延したことから、タモキシフェン投与によるCreリコンビナーゼの発現条件の設定実験が予定よりも遅れている。しかしながら、他の検討項目に関してはおおむね順調に遂行できていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
食餌療法下でのIVA-PLA2欠損による肝線維化軽減効果を検証する目的でタモキシフェン誘導性の時期選択的(全身性)IVA-PLA2欠損マウスを用いるが、IVA-PLA2を欠損させるためのタモキシフェンの投与条件を確定させる。高脂肪食投与に続く食餌療法を想定した普通食に変更した後に、タモキシフェンの投与条件を適応し、食餌療法のみでは回復し難い肝線維化がIVA-PLA2を欠損させた条件下に軽減されることを検証していく。なお、研究開始当初は、培養細胞系を用いての「肝線維化を担う細胞応答へのIVA-PLA2の関与の解明」に関する実験は2025年度に予定していたが、「現在までの進捗状況」に記載したように遅延が生じた検討項目があったために、当該検討項目を前倒しで2023年度に実施した。その結果を公表するとともに「研究実績の概要」に記載した。
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