Project/Area Number |
23K06175
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47040:Pharmacology-related
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
棚橋 靖行 京都産業大学, 生命科学部, 准教授 (60582418)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | Piezo1チャネル / 平滑筋細胞 / カハール細胞 / PDGFRα+細胞 / SIP複合体 / 腸管運動 / Ca2+ / 機械刺激受容チャネル / 平滑筋ーカハールーPDGFRα+細胞複合体 |
Outline of Research at the Start |
近年、過敏性腸症候群などの消化管運動障害の患者が増加し、社会的に注目されている。しかし、それら病気の原因解明や治療薬の開発は十分ではない。これは、腸管の運動調節メカニズムがいまだに完全に明らかにされていないのが一因である。本研究では、腸管運動制御メカニズムの全容を解明する一環として、腸管運動制御を担う平滑筋細胞-カハール細胞―PDGFRα+細胞複合体に着目し、各細胞におけるPiezo1チャネルの発現、および、それらPiezo1チャネルの腸管平滑筋収縮調節における役割について主に検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,腸管運動制御メカニズムの全容を解明する一環として,腸管運動制御を担う平滑筋細胞-カハール細胞-PDGFRα+細胞(SIP)複合体に着目し,各細胞における機械刺激受容性陽イオンチャネルPiezo1の発現および腸管平滑筋の収縮調節における役割について検討している。今年度の成果は以下の通りである。 1.小腸運動調節におけるPiezo1チャネルの役割:Piezo1チャネルの選択的作動薬であるYoda1をマウスに投与すると,小腸輸送能が亢進したのに対し,同チャネル阻害薬であるGsMTx-4を投与すると,小腸輸送能は低下する傾向を示した。また,マウス小腸片標本において,Yoda1およびGsMTx-4を適用した時の張力変化をマグヌス法により記録したところ,Yoda1は平滑筋の収縮を増強したのに対し,GsMTx-4は筋収縮を抑制した。 以上の結果は,Piezo1チャネルが小腸運動ならびに平滑筋の収縮を増強するように調節していることを示唆している。 2.カハール細胞に発現するPiezo1チャネルの関与:マウス小腸からホールマウント標本を作製し,Piezo1タンパク質に対する抗体ならびにカハール細胞のマーカーであるc-kit抗体を用いて免疫組織化学染色を行った。その結果,カハール細胞におけるPiezo1蛋白質の発現が明らかとなった。小腸において筋層間神経叢のカハール細胞を欠損することが知られているW/Wvマウスを用いて,Piezo1チャネルによる平滑筋収縮制御におけるカハール細胞の関与について検討した。W/Wvマウスの小腸片標本におけるYoda1誘発性収縮反応は,コントロールマウスの標本において発生した反応と比較して有意に小さかった。 以上の結果は,カハール細胞に発現するPiezo1チャネルが小腸平滑筋の収縮を興奮性に制御する可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた通り,正常マウスを用いて,カハール細胞におけるPiezo1チャネルの発現ならびに腸管平滑筋収縮調節における役割について,順調に研究を進めることができた。現在,次年度以降に向けて,カハール細胞特異的Piezo1欠損マウスの作製に着手している。また,前述のとおり,W/Wvマウスの小腸片標本においてもYoda1誘発性収縮反応は完全には消失しなかったことから,この収縮反応にはカハール細胞以外のPiezo1チャネルも関与している可能性がある。次年度以降は,この点についても検討を進めていく。以上のことから「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までに得られた結果から,カハール細胞に発現するPiezo1チャネルが小腸運動を興奮性に制御している可能性が考えられた。次年度以降,この仮説を裏付けるために,カハール細胞特異的Piezo1欠損マウスを用いた研究を進める。まず,Piezo1欠損マウスにおいて腸管輸送能を測定し,正常マウスの場合と比較する。また,同欠損マウスから作製した小腸片標本において,Piezo1作動薬を投与した時の蠕動運動および平滑筋の張力変化をそれぞれ記録し,正常マウスの場合と比較する。これらの実験により,カハール細胞に発現するPiezo1チャネルの腸管運動調節における役割について明らかにする。また,Piezo1チャネルより下流の情報伝達機構を明らかにするために,正常マウスの腸管片標本において,Yoda1誘発性収縮反応に対するCa2+除去栄養液,電位依存性Ca2+チャネル阻害薬,リバースモードのNa+/Ca2+交換輸送体,Ca2+活性化Cl-チャネルなどに対する阻害薬の効果を検討する。さらに,カハール細胞標本において,機械刺激またはPiezo1作動薬を適用したときの細胞内Ca2+濃度および膜電位変化をそれぞれ測定する。これらの実験の一部については,予備実験にすでに着手している。さらに,平滑筋細胞やPDGFRα+細胞におけるPiezo1チャネルの発現ならびに小腸運動調節における役割についても,カハール細胞と同様に検討していく。
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